表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キフチュー仮面   作者: ジンベエ
10/25

その10

午後になってからお互い授業の時間が空いたので、秋山は見城を廊下で見つけて、先程の話の続きを求めた。すると見城は、辺りに誰もいないかを確認してから、静かに話し始めた。


見城「・・・それは今年の文化祭での企画なんです。」

秋山「文化祭?」


 樹布中学校は文化祭の事について、大体五月頃から教師の間で話が行われる。内容についてはほぼ毎年ルール等は変わらないが、その時々の文化や流行している話題について、生徒たちとのコミュニケーションも兼ねて、大人として許容できる範囲であるかどうかの、共有確認のための会議になる。例えば生徒たちから、こういう事がしたいと申請があるとする。それが今の世の中では流行していて、生徒たち若者にとっては、生涯の思い出の一つとなるのであれば、教師たちもその流行にしっかりとのっかり認識して、その思いを共有しようと踏み出す。ちなみに前年はダンスを取り入れ、教師生徒たち全員で踊った事がある。しかもそれをSNSに投稿するまでに至った。


見城「はい。それは僕自身が企画したんです。」

秋山「・・・先生自身が?」


 逆に教師からの申し出もできる。これにも十分な審査が必要になる。ただ秋山が復帰したのが、本日の九月なので、今年の文化祭の話し合いには参加していなかった。


秋山「え!?プロレス!?」


 そう言って大いに驚いた表情をした秋山に、見城は慌てて宥めた。


見城「しぃっ!静かに。」

秋山「あ、・・・ごめんなさい。」


 と秋山は小声になって見城に謝罪した。そしてお互い気を取り直して会話を始めた。


見城「・・・実はそうなんです。今年の企画として、採用になりました。」

秋山「・・・そうでしたか。・・・と言う事はもしかして?・・・先生がやる?」


 と秋山が恐縮しながら訪ねると、見城は笑顔で答えた。


見城「はい。だからみんなには内緒なんです。」


 それを聞いて秋山は納得した。


秋山「なるほど。そういう事なら、はい、わかりました。」

見城「ありがとうございます。」


 すると秋山は不思議そうな表情をして質問した。


秋山「・・・でも大丈夫ですか?段取りみたいなのはあるとしても・・・。」


 そう言われて見城の表情が急に強張った。


見城「それはありません。真剣勝負です!」


 その言葉と言い方を聞いて、見城の真剣な顔つき目つきを見て、秋山は再び驚いた。


秋山「・・・あ、すいません、変な事言って・・・。」


 そして見城は再び力強く言い切った。


見城「プロレスは常に真剣勝負です。そうじゃないと、生徒たちの為にもなりません。きっと、

   だからこそ、それが企画として採用された理由ですから。」

秋山「・・・はぁ~、・・・わかりました。・・・頑張って下さい。」


 秋山は少し放心状態のまま、取り合えず見城にエールを伝えた。


見城「・・・そうです。真剣です。じゃないと、生徒たち、・・・特にあの二人には・・・」


 と見城は視線を秋山には向けずに、何故か斜め上、遠い方向を見つめていた。


秋山「・・・二人?・・・え?お知り合いの方も来られるんですか?」


 そう聞かれて見城は、突然視線を秋山に向けて、逆に聞き返した。


見城「あの二人です。馬場と山本の二人ですよ。覚えていますか?」


 それを聞いて秋山の表情がハッとなった。


秋山「え?あの、馬場さんと山本君?ですか?」


 見城は大きく頷き、そしてその二人の事を話し始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ