表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恐竜戦車を知ってるかい?  作者: あいうわをん
4/29

会話成功で一安心・・・友達になった

”今の音はなんだったのだろう?”


うわわ、聞こえる!ぐるるるるぅ、と聞こえていた音がはっきりとセリフになって聞こえる。落ち着け、奴の興味を知るんだ。まずはこちらの意図を伝える。


”今の音は君と話をするために、私がちょっと細工をした音だ”

”ああ、気が付かれたか。あなたは一体何者なのか?どこから来たのか?”

”私は他の星から来たものだ”

私は目線は走竜を見つつも空を指さす。


”星とは夜、空に輝くあの光のことか?”

こいつ、走竜のくせにえらく知的だな。


”そうだ、空に輝く星のなかには、君たちだけでなく多くの命が存在しているのだよ”

”・・・やはりそうか・・・そうではないかとずっと思っていた。自分達だけが存在しているのではない、世界にはもっとほかの命があるのではないか、ずっとそう思っていた”

すごい!自分の考えでそこまでたどり着いていたのか!素晴らしい知性だ!


”それで、あなたはここに何をしにきたのか?われわれを食いにきたのか?”

食うことしか考えてないのか?やっぱりケダモノだった。


”君こそ私のことを食おうとしてたんじゃないのか?”

”我らはさきほど狩りを終え、食べたばかりだ。腹が満ちている時に余計なものは食べない。さらに見知らぬものは食ってはならないと長に言われているし、それに・・・”


”それに、何だい?”

”話のできるものを食う気にはなれない”


ほう!すごい倫理の持ち主だ。命の中には同種同士で食い合い、殺し合いをする者もいるというのに。

私はこの個体に興味を持った。


”私をここまで運んだのは君かい?”

”そうだ。生きているなら水が必要だと思ったから、ここへ連れてきた。あのままあそこに放置していれば砂嵐と太陽の熱で干からびて死ぬことは目に見えていたからな。見たところ動けるようだから放っておいても大丈夫だな。私はそろそろ戻らないと。長達が心配する”

帰ろうとする走竜に私は呼びかける。


”ああ、君。助けてくれてありがとう。何か御礼をしたいんだが?”

”御礼とは何か?”

”御礼っていうのは、君が僕の命を助けたのと同じ価値のモノを君に返す、という行為のことだ”

”等価交換、というやつか”

”そうだ”

”・・・それなら君の話が色々聞きたい。また会ってくれるか?”

”もちろんさ。そのために君と話ができるようにしたんだから。それじゃ私たちは今から友達だね”


嘘である。自分が食われないように意思疎通を図るために、そうしたのだ。だが、私はこの個体に大いに興味を持った。前任者のレポートではこんなことは書かれていなかった。友達になって、この星の情報を入手しよう。


”それじゃ、僕を呼びたい時、ここで吠えてくれ。しばらくしたら現れるから”

”わかった。あなたのことは、何と呼べばいいのか?”

”そうだね、異星の方、とでも呼んでくれたまえ。それじゃ、君のこと、タロウ君と呼んでいいかな?”

”タロウ、とは何か?”

”うん、タロウというのは長男、という意味だ。君は見たところ、あの群れのなかの若いグループの中で一番大きいだろう?だから群れの長男なんじゃないかと思って”


それに今、宇宙を騒がせている、光の国、という星のリーダーが半端なく強く、その息子の名前がタロウ、というのだそうだ。それにあやかってみた。


”わかった、そう呼ぶといい。それでは、私は群れに戻る”


そういうと、タロウは群れへと帰っていった。これが私とタロウのファースト・コンタクトだった。友好的に接触できたようだ。あれから、私は、資源探査の傍ら、この走竜一族の行動を調べている。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ