ハンドガン取扱説明書(テレビショッピング風)
{この説明書を読んでいる君!今、まさに巨大生物に襲われてピンチということだね!でも大丈夫!このハンドガンがあれば巨大生物に襲われても安心していられるよ!なぜって疑問を持った君、このハンドガンはすごいんだ!どこがすごいかって?そ・れ・は!}
くそっ!なんだ?このふざけた説明は?私は頭に血が上るのを抑えながら、続きを読む。
{巨大生物と意思疎通ができるガンなんだ!コミュニケーションしたい大型生物の額に打ち込むだけでなんと相手と電気信号で会話ができる仕組みになっているのさ!もちろん相手側に痛みを感じさせることはないのでファーストコンタクトにも差し支えないという代物だよ!会話は付属のヘッドホンを装着するだけ!あとは君のトーク術で相手を翻弄するんだ}
おお!そうか!それはすごい!打ち込むだけでいいのか!さらに説明書を読む。
{このすごいハンドガン、お高いんでしょー、という方。一度使ってみてください。お値段ぴったり999,999クレジット。あなたの命には代えられませんよ。なお、使用後、使用したシグナルを本社に送る仕組みになっていますので、代金はその後に回収します。終}
くそっ!私の給料の2カ月分じゃないか!しかも何がぴったりだ?ぴったりなら1,000,000にしろってんだ!説明の内容がいちいち癇に障る!しかし、命には代えられない。
私はハンドガンを持って走竜の接近を待つ。走竜は私が起き上っている事に気付くと、こちらを向いた。かすかに唸り声が聞こえる。まだ遠い。徐々に近づいてくる。ごくり。うまくいくだろうか?私の銃の腕前は良くない。だから軍隊にも入れず、しがない惑星探査員をやっているのだ。私の、軍隊にいる友人によると、君ほど適任者はいないよ、だって頭もいいし運もある。何より好奇心旺盛だからね。君にぴったりの任務じゃないか、君だったら最適の星を見つけてたくさんの資源を発見できるさ、と言っていた・・・あれは絶対お世辞だ。その友人は今度、知的生命体の住む星を攻略する任に当たるらしい。成功したら勲章物だ。いいなあ。
おっと、回想に浸っている場合じゃない。奴がゆっくり近づいてきた。牙がぎらぎらしている。目付きも凶暴そうだ、らんらんと輝いている。明らかに私を興味の対象にしている。だんだん近づいてきた、息遣いまで聞こえる位置に。私の鼓動が速くなる、トクン・トクン・・・落ち着け。ここで失敗したら後がない、冷静に・・・。奴と目が合う。ん?意外と知性を有する眼差しだ。でも、油断は禁物。もう少し、もう少し・・・奴が顔を近づけてきた。今だ!私はハンドガンを撃った。カシューン!軽ーい感じの撃鉄音だ。本当に命中したのか?奴は何事か辺りを見回している。その隙に私は受信装置型ヘッドホンを装着した。ダイヤルを合わせる、巨大生物、ダイヤルはもう少し強めか・・・