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恐竜戦車を知ってるかい?  作者: あいうわをん
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友達の仕事ぶり

 それから一年。タロウはその特性を活かし、走竜としての生き方を忘れるように、それこそ馬車馬のように働いた。タロウは馬ではないから竜車竜と言ったところか。


例の儀式のあった崖は採掘によりすっかり見る影をなくしていた。この地で鉄鉱石を採掘する傍らで、我々は北極へつなぐルートを新たに開発した。原油から燃料分を抽出し、残った部分はアスファルトとして舗装道路用にした。一旦ルートができてしまえば、あとはタロウのパワフルな走行で極地方で採掘したレアメタルと氷塊を中緯度の拠点に運んでいく。途中で氷塊は溶けて水になるがそれは垂れ流して幹線道路沿いをまず緑にしていく方針だ。緑は幹線沿いを中心にジワリと広がっている。ソラからみると、点でバラバラだった緑のほかに南北に広がる線の緑が見える。今はまだ一本だが後二本もルートを造れば今いる大陸は20%は緑で覆われるだろう。道路沿いに水路でも作ればもっと緑が増えるはずだ。そうすれば砂嵐も少しは収まるのではないか?そうすればもっと飛行艇から資源探査ができるようになるだろう。


私が資源調査をしている間もタロウはどんどん鉱石を宇宙船近くへ運んでいく。少しは休んだらどうだい?と言ったことがあるが、休みとは眠ることか?それなら私は十分に休んでいる、心配しなくていい、と返された。この種族は、ああ、もうタロウは走竜一族ではないのだが、遊びというものを知らないのか?そう尋ねると、遊びとは何か?と逆に問い返される。遊びっていうのは、うーん、改めて聞かれると難しい。遊びっていうのは、生きるために使う時間、例えば眠る・狩りをする・食べるといったことをしている時以外のことかな?君たちは狩りをして、獲物をとらえて食べた後、何をして楽しんでいるんだ?また、タロウに問いかける。


”我らは、食事の後は我らの過去について、我らの先祖について、長から話を聞くのだ。そしてそれを若い世代に語り継いでいく”

”それは遊びとは少し違うな。遊びっていうのは、もっと、こう、楽しいとか美しいとか感じることをするものだ。君達は何をしている時が楽しい?何を美しいと感じる?”

”狩りをして獲物をとらえて食べる時は楽しい。美しいとは良く分からないが、新しい餌場が緑濃くて豊かな光景の時、一日を生き延びて夕日を見れた時、良かったと思う感情の事でよろしいか?”

”もっとないの?花を見て美しいと思うとか・・・あ、この星は花がないね”

”花とは何か?”

”花っていうのは、そうだね。君達は緑を見て美しいと思うだろ?それはこの世界が土色、灰色に塗れているからだ。土色灰色の世界では生き物は生きられないからな。だけど、緑が多くっても生きやすい世界とは限らないんだ。緑だらけの世界には、赤や黄色い花が必要なのさ。花は実になり生き物に恵みを与える”

”ぜひ、あなたの言う、花というものを見てみたいものだ・・・”

”花を咲かせるためにも、まずは緑を増やしていこうか”

”ああ、そのために私はいま生きている”

なんだか遊びの話とはかけ離れてしまったが、タロウが生きがいを持ってくれた事は確かだ。良かった。


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