伝説のゲームをやってみた。~時はたってもやはり伝説だった~
この春、新商品が発売された。
どんなに古いゲームであってもその世界に実際に行ったみたいに体験することができるという業界に革命をもたらしたゲーム機だ。
この商品が発表されたとき、すぐに予約の手続きをした。
昔から大好きだったゲームがあるのだ。
いつかこんな世界にいってみたいなと思っていたのだ。
こんな形で叶えられるとは思わなかった。
商品が届いた。
箱を開けて早速起動させる。
そこに大好きなゲームをセットする。
昔のゲーム過ぎて専用の機械が必要だったが、そんなのは些細な問題だ。
ゲームを起動させると、始めに注意書きが出てくる。
特に大きく「このゲームは対応していないソフトをプレイされる場合不具合が生じることがありますあらかじめご了承ください。」と書いてあったが、あとはいつものことが書いてあるんだろうと気に止めなかった。
しばらくすると、読み込み時間が終わってゲームのスタート画面が写った。
しっかり動くことはできるみたいだ。
コントローラーでスタートボタンを押してゲームを始めた。
キャラクター作成画面が出てきた。
懐かしい。これだ、ここから始まっていくのだ。
職業は旅人にしておく。
最初は旅人か山賊かにしかなれない。
山賊はどれだけ頑張っても海賊にしかなれないので旅人しか選択したくない。
男性。初期装備は杖。多少魔法が使える。
次々に入力していく。
そして最後のニューゲームとかかれたボタンを押した。
どうやら成功したみたいだった。
五感はしっかり機能しているようだ。
このゲームは最初はなにも指示はない。
辺りを探索していればイベントが起こるはずだ。
とりあえずまっすぐ進んでいくと、おおきな湖が見えてきた。
そこには誰もおらず、ただ、静な空間がそこにはあった。
しばらくそこで座っていると、遠くから音が聞こえた。
気になって見てみると、人がここに向かって走ってくるではないか。
急いで立ち上がり、いつでも逃げられるように体制を整えておく。
だんだん近づいてくると、なにかに追われているのがわかる。
あれは・・・イノシシだろうか。ただ、イノシシはそこまで執拗に追っては来ないはずなので、魔物かなにかなのだろう。
魔物となればできることはない。自分はただの旅人なのだ。
今の状態ではなにもできない。
追われている人には申し訳ないが見つからないように草木の陰に隠れる。
追いかけられているのは女性だった。弓矢を背負って走っているのが見える。狩人なのだろう。
もう距離はないにも等しいくらい近くなっていた。
目の前には湖。
このままでは追い付かれてしまう。
「つっこめー!!」
女狩人(仮)は湖の直前で横に跳んでイノシシをかわした。
イノシシは勢いそのままに湖に落ちていった。
イノシシは急には止まれなかったようだ。
しかも、いままで水に落ちたこともなかったらしく、短いその手足でバタバタと溺れていた。
「ふう。こんなおおきなビックピッグなんてはじめてみたよ。少し時間稼げたらラッキーって思ってたけど、溺れるなんてね。」
どうやらあの魔物はビッグピッグというらしい。
イノシシじゃないんかい。
「ここで長居してたらいつ襲われるかわかったものじゃないね。早く帰らないと。」
湖でバタバタと溺れているビッグピッグを無視して女狩人は帰っていった。
女狩人が遠くに言ったのを確認した後、隠れていた草木からでた。
目の前には溺れて死にかけた魔物一匹。
こんな美味しい展開はない。
遠慮なく息の根を止めることにした。
ビッグピッグを倒すと、レベルアップの音が次から次へと聞こえてくる。
最初だからかこいつ一匹だけで20レベル上がっていた。
かなり経験値を持っていたみたいだ。
1レベル上がるごとにステータスが上がっていくが、それとは別にランダムでボーナスポイントがもらえる。
そのボーナスポイントでスキルを習得していって育てていく。
その際に容姿が変わっていくのが、このゲームの醍醐味のひとつだ。
いかにバランスよく育てていくのが肝になってくる。
かなり悩みながら一つ一つボーナスポイントを振っていく。
ボーナスポイントを振った後、職業が魔導師に変わっていた。湖で自分をみてみると、インテリジェンスなイケメンになっていた。
かなりうまくできた証拠だろう。
ここまででかなり満足したからログアウトしようとしたら、ログアウトのコマンドがなかった。
ゲーム機のヘルプを開いてみてもエラーが表示されるだけでどうにかできる気がしない。
どうやら古いゲーム過ぎて機械が故障したみたいだ。
故障してもこの世界にいるのは不思議であったが、それよりもこれからこの世界で過ごさなくては行けないことに一抹の不安を覚えた。
この世界は伝説のクソゲーと言われる「ファンタジー・オール・オンラインⅣ」の世界。
バグしかないことで伝説になった世界である。




