情報
遅れてすみません。
帝都東京 首相官邸
今日の定例閣議ではこの世界の情報が大臣たちに伝えられていた。
「調査の結果、この世界の大まかな情勢を知ることができました。まずこの世界には12か国の列強国が存在し、各列強国は周辺の地域を支配しております。我々の周辺には、この世界で最初に接触したモルドニア王国、そして我が帝国への侵略を考えていると思われるブルニア王国の2か国が存在します。この2か国はどちらも魔術という技術で発達しています。」
ここで文科相が口をはさむ。
「この世界には科学で発達した文明を持つ国はないのか?」
「いえ、ブルニア王国からの情報によると、30年前の『列強国12か国会議』では2か国が魔術に頼らずに文明を発達させていくと発表したそうなので、それが科学技術であれば存在している可能性があります。」
「分かりました。」
「では先ほどの話の続きをします。この世界の列強国の3分の1は神聖エシスト教国のエシスト教を信仰しており、聖戦といって過去に何度も大規模な戦争を起こしています。」
法務相が質問する
「昔の白人至上主義のような迫害はしているのか?」
「はい、ですが有色人種の迫害ではなく、この世界に存在する獣人や亜人といった非人族を迫害している模様です。」
「その獣人や亜人とはなんですか?」
「漫画やファンタジー小説に出てくる猫や犬が人間になったような姿をしている種族です。今のところしっかりと分かっていないので情報が入り次第報告します。」
実は日本周辺の地域には亜人や獣人が住んでいないため、モルドニア王国からはいった情報しかないのだった。
「先ほど神聖エシスト教国が率いる勢力に対になるように存在しているのが亜人の国家です。それぞれ、エルフが率いるエストファニア王国、ドワーフの率いるドルテ王国、人狼族の率いるボォルフ共和国。この3か国が列強国です。中でもエストファニア王国は列強国の中でも魔術技術では世界トップクラスで、魔術文明の国の中では軍事力においてもナンバー1との情報も入っております。しかし、この国は亜人至上主義を掲げており、人族の国家の中では危険視されています。更に科学技術についても毛嫌いしているようです。」
「この情報が確かならエストファニア王国との接触は我々がこの世界での列強の地位を得た後にした方がよさそうだな。」
「次は軍事についてです。」
「まずは、陸軍からですが現在我が帝国陸軍は予備兵を除くと300万人です。それに対しブルニア王国は常時1000万人を超える大軍団です。ですが文明レベルを見る限り我が帝国の方が400年程進んでいるため、魔術という不安要素を入れても圧勝できると考えております。」
「次に海軍ですが、こちらは500隻、向こうは5000隻と数ではこちらが劣っていますが、諜報省や海軍情報部からの報告だと殆どが戦列艦や輸送船だと思われ、敵艦隊はたやすくうちやぶれると思われます。」
「空軍は敵の造船所、軍需工場などを中心に爆撃を行います。」
財務大臣が不安そうな顔をしながら陸海空の大臣に問う
「今回の戦争の出費はどれくらいになりそうだ?」
「陸海空をまとめても100兆円程で抑えるつもりです。」
「分かりました。」
「財務大臣が不安がるのもわかるが、前世界の中東紛争ほどにはならないだろう。」
前世界では、冷戦の終結によってアメリカ、ドイツ、日本、イギリスがそれぞれ、世界の覇権を握るため統治していた中東から撤退していったがその後、民族紛争が起き各民族は列強国が処理し忘れた兵器を使いあい大量の死者が出た。至急各国の軍隊が再び統治しようとするも原住民の反発が大きく20年間にもわたる大規模な紛争が起きた。列強4か国を合わせた出費は4000兆円を超えるといわれた。
「核を使う事は軍としては考えておりませんが、総理としてはどうですか?」
「私としても勝てる戦争に核を使うのは過剰攻撃だと思うし、野党に叩かれるのも面倒だからな。それに非人道的だ。それで進めてくれ。」
「分かりました」
最後に官房長官が会議を閉め、解散となった。