王都
遅れてすみません。
2月5日
モルドニア王国 港町レスト
ここレストはモルドニア王国でも有数の商業都市で毎日大量の交易船が行き来している。
そんな港にはいつもとは違い巨大な船が5隻港付近に停泊していた。
「大日本帝国の方々ですね、こんにちは。私はモルドニア王国外務局の外交官のアンドレです。国王より王都まで案内するよう仰せつかっております。」
「大日本帝国外務省使節団、全権大使の田中です。わざわざありがとうございます。」
二人は短い言葉を交わし、数人の陸軍と陸戦隊の兵士を合わせた使節団は王都へと向かうのだった。
2月10日
モルドニア王国 王都テルム 王城
「国王陛下、大日本帝国の使節団の方々を連れてきました。」
「おおそうか、私がこの国の国王であるアーレント2世だ。」
「私は大日本帝国外務省の全権大使の田中です。今日は、貴国と国交を結びたいと思い、やってきた次第です。」
ここで、モルドニア王国側の一人が発言する
「すまない、私はモルドニア王国軍務卿のコーバスだ。今、国交を結びたいといったが、我が王国と貴国が対等な関係でか?」
「もちろんです。」
「それは、我が王国が列強国ということを知ってのことかね。」
「それは道中、馬車の中で聞きました。」
「ではなぜ?」
「我が帝国も前世界では列強国であったため、そちらがこの世界の列強国であるというならば対等な関係になると思いますが。」
「世界によっては文明の進み具合も異なる。一概に列強国というだけで決めるのもどうかと思うのだが」
「ではあなたは我々の世界の文明がこの世界よりも遅れているといいたいのですか?」
ここで国王が仲裁に入る
「まあまあ、これ以上そのことで言い合っても何も決まらん。軍務卿もこれ以上は口を出すな。」
「はっ。分かりました。」
「では、まずお互いの国家の概要を話そうではないか。我が王国は植民地、属領、属国も合わせ人口は2億5千万人。属国を10か国保有しておる。主要な産業は鉱業だ。レストで見た通り、貿易が盛んだ。」
「我が国は人口36億人の連邦国家です。宗主国である大日本帝国政府は各民族に自治させており、すべての国が独自の軍隊、外交の自由などを保有していて、本国に大きな影響がでない限り介入することはほとんどありません。」
モルドニア王国の人々は人口の多さに驚く。
「36億人ですか。かなりの数ですな。」
「ええ、前世界でも4大列強国の中ではトップクラスでしたからね。」
「そうか、先ほど言った4大列強国などは後から聞くが、まずは貿易だ。こちらは魔石、鉄鉱石、石炭、金銀銅などを輸出できるがそちらからは何が輸出できる?」
「こちらとしては、まず貴国の港を見たところ我が帝国の貿易船が直接つけられる場所が1つもありません。すでに報告されていると思いますが、我々は港の外に船を止め、小型艇で港に着きました。このことから。まずは、そちらの湾岸設備の拡充を行いたいと思います。」
「港をか?それなら1度小型船に入れ替えて行うなり、初めから小型船でおこなえばよいのではないか?」
「それでは、効率が悪すぎます。拡充といっても我が帝国の技術ならば数週間で行えます。貴国との貿易が始まる前には間に合うでしょう。費用はすべてこちらで受け持ちます。どうですか?」
「そこまでするのなら、そちらに任せよう。それでそちらの輸出品は?」
「採掘用機械、輸送トラックなどの鉱業で使う機械系のものや自動車、水道、電気、ガスなどのインフラがメインです。」
「どれも聞いたことがないな。そのあたりも後で詳しくきこう。食料などは?」
「可能です。小麦、米、野菜、肉、魚などの殆どが輸出できます。」
「よし、貴国との国交締結は最優先で行おう。」
このモルドニア王国が今一番困っていたことは、食糧問題だ。近年、毎年続く不作により、世界各地で飢饉が起きていた。モルドニア王国も例外ではなく日々反乱が起きていた。その状況でなんでも食料を輸出できるという日本との外交は最優先で進めなければならないことだ。
「では後日、正式に条約を結びましょう。」
「うむ、分かった。」
こうして後日、王都で条約が締結されすぐさま日本の建設会社が湾岸の設備を拡張しだした。
今度、転移してきた国家の詳細を書きます。