接触
2020年2月1日
モルドニア王国近海
国境警備隊
「おい、知ってるか?ブルニア王国が例の大陸召喚儀式を成功させたらしいぞ」
「本当か!?ブルニアはその大陸に上陸したのか?」
「いや、まだらしい。儀式で予想以上の魔術師を消耗したかららしいぞ。」
「そうか。ていうか、なんでそんなこと知ってるんだよ。」
「さっき、上の連中が話してるのを盗み聞きしてさ。大陸から未知の生物が来るかもそれないから注意しろだってさ。」
「まあ、大陸はここから離れているんだろ?」
「ああ、かなり遠いはずだぞ。」
「今日も問題なく終わればいいんだが・・」
「おい!あれはなんだ!」
突如、船の反対側の見張り員の叫び声が聞こえた。
「おい、どうした!」
「あれを見ろよ。」
見張り員が海に向けて指をさす
「なんだ、あれは!」
見張り員が指をさした方向を見ると、島のようなものがいくつも見えた。
「あんなところに島なんかあったか?」
「いや、なかったはずだが。」
「ていうかあれ、少しずつ動いてないか?」
船員が口々に話し出す。
船長室
「何やら外がさわがしいがどうした?」
「それが、巨大な国籍不明の船がこちらに向かってきておりまして。船員達が慌てふためいています。」
「国籍不明だと?」
「はい、見張り員は左寄りに赤い丸がありそこから何本か赤い線が描かれている旗だと言っております。」
「確かに知らないな。」
「やってきた方向から考えるとブルニア王国が召喚した大陸と同方向です。」
「よし、臨検という目的で接触するぞ。すぐに1隻船を送れ。」
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大日本帝国 使節団護衛艦隊 旗艦赤城
臨時で創設されたこの艦隊は空母1隻、駆逐艦4隻で編成された。
「司令、所属不明の艦隊から1隻が離脱、こちらに向けて進んできます。」
「すぐに出迎える準備をしろ。」
「了解」
船内が一気にあわただしくなる
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「船長、あの一番でかいやつでいいんですね?」
「ああ、おそらくあれに指揮官が乗っているだろうからな。」
臨検部隊の乗った船が赤城に近づくと赤城から階段が下ろされた。
「これをのぼれというのか?」
そのまま部隊が上にのぼると広い甲板にでた。そこには何人か人が立っていた。
「ようこそ、航空母艦赤城へ。」
「こちらこそ。我々はモルドニア王国国境警備隊だ。この艦隊の臨検をしに来た。そちらの所属は?」
「ここで話すのはそちらにとっても話しにくいのでは?中に入りましょう。」
そういい、臨検部隊は中に案内された。
空母赤城艦内
船の中は思った以上に明るかった。やがて少し歩くと1つの広い部屋に案内された。なかは廊下と同じく明るく、そして涼しかった。
「それでは改めて、私は所属はモルドニア王国国境警備隊だ。そちらは?」
「我々は大日本帝国海軍使節団護衛艦隊、司令の長野です。そして隣にいるのが」
「大日本帝国外務省の使節団長の田中です。」
「大日本帝国?我々はそのような国家は聞いたことがありませんな。」
「我々もモルドニア王国という名の国家は初めて聞きました。にわかには信じがたいでしょうが、我々の祖国である大日本帝国は数週間前、この世界に転移してきました。」
ここで、臨検部隊の隊員達は気づいた。この人々はブルニア王国が召喚した大陸にすんでいた人々だということに。
「我々はあなたたちの国がこの世界に転移させられた理由を知っています。一度、本国に来ていただけませんか。」
この部屋にいた日本人全員が今の言葉に驚く。
「本当ですか!?ではモルドニア王国に案内していただけませんか。」
「もちろんです。」
そして使節団をのせた艦隊はモルドニア王国に向けて進むのだった。