1 死人がカラオケ
主人公は今どこに(゜Д゜≡゜Д゜)?
同日午前8時40分
修学旅行に向かう全学生の点呼を終え、学校長の有り難くない話を長々と聞いて、それが終わるとそれぞれのバスに向かう。
バスに乗ってみて違和感があったので、隣に座る同じクラスの男子に
「これって普通の観光バスだよな」
と聞くと、隣に座る男子生徒(永田勇毅)がこいつ大丈夫かという顔で
「普通のバスやで」
と答える。
些か、何がおかしいかもよく分からないので、そのまま座席に座るとアナウンスが流れ
まもなく発車します。
お座席にあるシートベルトを確実に装着して下さい。
とそのアナウンスが流れ終わって、座席にあるシートベルトを確認する。
確かに座席にはシートベルトがあった、不思議ではない。
でもそのシートベルトが座席の左右から伸びており、お腹の辺りで連結させるX型のシートベルトで、ジェット機とかについてそうなやつだった。
ヒヤリと汗が額から滴ると共に、エンジン音と共に妙な浮遊感がして、その後、バスは急加速し、空へと、雲へと突っ込んで行く。
まだ夢の中なのか⁉️
これが現実なのか⁉️
頭の中でハテナが幾つも出てきては消え、そして意識を手放した。
何か騒がしい音が聞こえると思って、目を覚ますと、バスの中でカラオケを誰かが熱唱しているのが聞こえる。
この曲は最近よく駅前のスーパーで流れている曲だと思い出し、歌っているやつを探すと、マイクを持ってノリノリで歌っている存在してはいけないやつ(水嶋美咲)が歌っているのが見えて、思考が停止した。
これは夢だ❗
そう判断できる位の衝撃を受けた。
なぜなら水嶋美咲は1週間前、屋上から飛び降り自殺して亡くなっており、その葬儀や告別式にまで出席したから確実だ。
そいつが歌っている。
これは全て夢だと思い、座席を後ろに倒して何も視界に入らないようにして眠るように努力すると少しずつ意識が薄れていった。
・・おい、起きろ
その呼び声に目を覚ますと、真っ暗なところに自分が一人で浮かんでおり、声が聞こえる方に目を向けると自分が立っていた。
見間違うことなく、間違いなく自分だ。
慌てて自分の姿を確認するもこの身体もやはり自分の身体だった。
そんな行動をしていると、もう一人の自分が俺に向かって
「お前、何のつもりでこんなことをした?」
と聞いてきたので、質問の意味が分からなかったので
「何のってなに?」
と聞き返すと、いきなりもう一人の自分が俺の腹を殴ってきた。
殴られた箇所は不思議と痛くはなかったので、もう一人の自分の方を見ると
「これは貸しやからな」
と言い残したかと思うと姿がかき消えていった。
それと同時に自分の意識も遠のいていくのを感じた。