夢の中の女。
夢の中の女。
私は夢を見ていた。
はっきりと夢とわかる夢。
私は仰向けでベットに寝ている。
でもなぜか意識ははっきりとしていて身体が動かない。
指先すら動かせないもどかしさに唸っていたら、下半身に違和感を感じた。
目線を足元にやると、私の腹の上に女性が馬乗りになっていた。
たくさんレースのついたキャミソールに薄手の赤いカーディガンを羽織っていた。
長いフレアスカートが少しめくれ、白いふくらはぎが見えていた。
髪は長く、黒く、なぜか顔は黒いモヤがかかったようで、よくわからなかった。
馬乗りのはずなのに、両脚からズルズルと女性が私に重なるように侵入してくる感覚がした。
ゾワゾワと自分が押し出されるような、塗り潰されるような感じだった。
動きたくても動けない。もどかしさと同時に恐怖を感じた。
乗っ取られる。咄嗟にそう思った。
でも動けない。私はそのまま女性を見続けるしかなかった。
どんどん重なる身体、感覚のなくなる身体。
モヤがかかって顔は見えないのにニヤニヤ笑っているようだった。
爪先から膝、太ももから腹、そして徐々に女性の上半身が沈み込んんできた。
ああこのままでは心臓に重なる。侵食される。そう思った。
見つめ続ける私に、なすすべはなかった。
女性の大きく胸元の開いたスクウェアタイプのキャミソールは、胸の谷間がよく見えた。
真っ黒な髪の毛とは対照的に真っ白な谷間だった。扇情的だった。
わあ。ええ乳。
大きくて形がよくて白くてモチモチの乳だ。
私は恐怖でいっぱいのはずなのに、一瞬そう考えてしまった。
触りたい。
その瞬間、ふっと身体が動くようになった。
身体には異常はなかったが、女性に軽蔑されたような気がした。
別に女性の胸に特段の興味がある訳ではないが、とても良い乳だった。
色艶形。
そんなことを考えながら私は眠りについた。
快眠できた。
その後同じ夢は見ていない。
夢の中に再度女性が出てきて猫に助けてもらうのは、この数日後の話。