表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

襲撃

クイナは暗い夜道を歩いていた。


すでに月は空高く浮かんでおり、周囲には人気が無い。


しかしクイナはおびえる様子はなく、真っ直ぐに帰り道を進む。


だが…。


ふと何かの気配を感じ、クイナは立ち止まった。


「…カウ」


呼ぶとクイナの影が動き、黒き犬となった。


カウは歯をむき出し、警戒した様子で目の前の闇を睨みつける。


クイナも思わず身構えた。


「―スゴイね。犬神使いになってから、そう月日は経っていないのに、もうそんなに力を身に付けたんだ」


暗闇の中から、1人の青年が出てきた。


黒づくめの服装、そしてフードの隙間から見える笑う口元。


「…あなたは?」


「う~ん…」


青年は苦笑し、肩を竦めて見せた。


「キミを喰らうモノ、かな?」


青年がそう言うのと同時に、青年の背後の闇がいきなりクイナに襲いかかった!


しかし同時にカウも巨大化し、闇に立ち向かう。


だが闇はムチのように動き、カウの体をからめ取ってしまう。


「ぐっ…!」


形勢は不利だ。


瞬時に悟ったクイナは、ポケットから橙色の折鶴を取り出し、『気』を込めて空に放った。


折鶴は光輝き、空の向こうへ飛んでいく。


「ん…? …また姉さんの入れ知恵か。相変わらず隙の無い人だな」


闇はその間にも、カウを締め上げる。


「カウっ!」


カウの体はムチによって変形し始め、顔は苦痛に歪んでいる。


クイナはカウに力をそそぎ込むも、その力さえも闇のムチから吸い取られてしまう。


「うっ…ぐっ!」


次第にクイナとカウの力が無くなっていく。


「諦めて、大人しくしてたほうが苦痛は少なくて済むよ?」


「誰がっ、諦めるものかっ…!」


カウと共に生きることを決めた。


例え寿命を削られようが、この身にどんな負担がかかろうが、カウと生きるからこそ受け入れられる。


「こんなっ所でっ…」


しかし膝から力が抜け、思わず膝をつきそうになる。


冬なのに、体中から汗がふき出す。


「はあはあっ…!」


視界も暗くなる。


このままではっ…!


「クイナさん、お待たせしました!」


少年の声が上から聞こえてきた。


顔を上げると、月の光を浴びて、大きな黒い鎌の刃が見えた。


白い髪に、金を含めた赤い両眼の少年が、鎌を振り上げ、カウを縛り上げる闇のムチを切り裂いた。


カウは自由になり、すぐにクイナの側に戻る。


「カウっ! 大丈夫?」


しかしカウは何度も足を折り、ついには道に倒れてしまう。


その様子を見て、カルマは顔をしかめた。


「遅くなって申し訳ありません」


「あなたは…?」


カルマは等身大もある大きな黒い鎌を持ち、黒い布で全身を覆っていた。


「カルマと申します。マカの同属です」


「ああ…」


クイナは数日前、マカに会っていた。


あの時、マカの言った言葉の意味が分かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ