表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺し屋JKが異世界で冒険する話  作者: 飯泉翔羅
第一章:異世界最初の国、冒険前の下ごしらえ
8/71

8:二人目、初めてのバイト

「ありがとうございましたー。」


最後の客が出ていく。

時刻は10:30を回ったところで、ようやく対人系の仕事が終わった。


「唯香ちゃんお疲れ様〜…」


流石にシノも今日は疲れたようだ。

夜営業の時間は少し遅れてしまったものの、気合を入れて仕込んだシノの料理はその匂いだけでも人を引きつけるようで、昼以上に人が並んだ。貧乏なはずの国民はどこに外食できる金があるのだろう…


「ん、シノもお疲れ様。やっぱり大変ね。シノはよくこんなことを今まで一人で出来たわね。」


「そうだね〜…私一人の時は、動きっぱなしではあるけどやっぱり長い時間待っててもらって出来たんだ。」


「へぇー。他に店員さんやとおうと思わなかったの?」


「やといたかったけど、ここの国の人はみんな既に仕事を持ってるし、転生者が来てもみんなすぐ、冒険者になる!とかいって国を出ていっちゃうんだ。」


うんざり!と言った顔でシノは言う


「この国では冒険者になれないの?」


「なれるよ。けど国に活気がないから、つまり依頼も少ないし報酬も少ない。誰もこんなところを拠点に冒険者なんてしたくないよね…。」


「なるほどねぇ…」


「…正直、今回ここに唯香ちゃんが来てくれて助かってはいるんだ。だけど、唯香ちゃん今Lv51でしょ?これって、15歳からLv上げ始めたとして、30歳くらいの人がなるレベルなんだよ?」


「え、普通そんなにかかるんだ…」


「普通じゃなくて、騎士とか冒険者とか、毎日のように敵と戦っている人がかかる年数だよ。これもきっと、全部神のチートの仕業ってことなんだね…。」


「へぇ〜…」


つまりは、私が殺した約50の魔物は普通の騎士や冒険者の15年分の経験値なのね。


「じゃあ私のLv上げはだいぶ楽な上、ほかよりすぐ最強になれちゃうってことかしら。」


「最強…になるのはだいぶ先かもしれないね…。だってこの世界にはLv1000超えるとかいう人がいたりするから…」


Lv1000…

めちゃくちゃ強そうね…


「正直、私は唯香ちゃんはここで働くより冒険者になった方が儲けられると思うよ。」


うーん、そう言われても、まだ金がない食料の安定がない、そして冒険者になったところで私がモンスターにやられない安全圏まで達していない。そう考えると、ここで金を稼ぎながらどこかで雑魚い魔物を狩ってレベルを上げるのが一番ベストな気がする。

暗殺者として、あまり不安を残したまま戦地へ赴くのは良くない。


「そうね。いつか冒険者にはなろうと思ってるわ。でも、それはここでお金を稼いで、近くで魔物を狩ってLvを上げてからにする。私、確実に安全って思わないと行動したくないの」


「そっか。私としてはありがたいな。それじゃあこれからもしばらくのあいだはよろしくね!」


「ええ。よろしく」


こうしてシノと握手を交わし、私は当面の行動を決めた。








夜営業の片付けをしていると扉の開く音が聞こえた


「ごめんくだせぇ!」


「あら、リュウさん。と、乃愛?」


乃愛はリュウさんに背負われて眠っている。


「いやぁ、仕事を紹介できる場所って今ここしかなくってさぁ、申し訳ないんだけど、この子も面倒見てやっちゃくれんかねぇ?」


リュウさんが困ったように言ってくる。私はシノを見た。シノは少し顔が青い気もするが、真剣な表情で考えているように見える。

乃愛本人は寝ているが、ある意味これは面接みたいなものなので、私に出来ることはないのだ。


「唯香ちゃん。その子、料理はできる?」


と思ってたら急に質問された。

過去を思い出す。

…刃物を持っている時は、殺す時だけだったな…料理のりの字もなかった…


首を振る


「料理は無理だろうけど、乃愛は顔面がすごいから男が沢山寄ってくると思うわ。看板娘にでもしとくといいかもしれないわね。」


「…接客は?」


「正直微妙ね。この子は自分の欲望に忠実なの。」


「んぅ…ん?」


このタイミングで乃愛が目を覚ました。リュウさんの背中の上で体を起こし周りを見渡す。そして私を見つけると、リュウさんの背中から文字通り飛んできた。


「ゆーいかー!!」


私はそれをサクッとかわす。乃愛は顔面を強打した。


「…ね?」


シノに声をかけると、シノは苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

正直なところ雇いたくはないだろう。


「ねぇシノ、提案なんだけど…」


私は乃愛の利用法についてシノに話してみた。


「一回これで試してみて、ダメだったら解雇したらいいわ。ごめんね、こんな子で…」


「う、うん…わかった…じゃあ一時的に雇う形で…」


かくして乃愛の仮就職が決まった。

乃愛は本人の希望で私の部屋で寝ることになった。私としても乃愛と寝るのは元の世界からよくやっていたことなので問題は無い。



その夜。私が目を開けると、そこは神界だった。




んー?なんで神界?目の前に神様いるわね。なんで私また神界に来たの?乃愛に殺されでもした?


「…唯香ちゃん。なんで君、バイトなんて始めたの…?」


そりゃ金がないと安心できないし…


「魔物倒すとお金ドロップするよ?」


…え?まじ?


「金儲けもLv上げも魔物倒すだけで出来るのになにしてんのよ…早いとこ勇者として旅立って各国を助けて…」


でもなぁ、めんどくさいし、乃愛もいるし…

そう言えば乃愛にはチートあるの?魔防∞だけ?


「いや、チートは唯香ちゃんと同じ経験値100倍と、いくつかのスキルだけだよ。魔防は自然に∞になったんだよねぇ…」


あぁ、魔防に限って強くてニューゲームだったわけ…


「とりあえず君は早く冒険者を始めて!お願いだから!」


はぁ…仕方ないなぁ…。

乃愛の借金返したらさっさか行きますか…


面倒だなぁと思いながら私の意識は落ちていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ