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殺し屋JKが異世界で冒険する話  作者: 飯泉翔羅
第二章:異世界を冒険、二つ目の国にも
54/71

54:獣王国のお祭り

────────瑠璃香side────────


瑠璃香たちが家に帰ると、犬耳とリス耳のメイド2人が迎えてくれた。


「「おかえりなさいませ、アマキ様、マリナ様」」


「ただいまですメイドさん。」

「ただいま…」


「いつもの狐耳さんはどうしたんですか?」


「貧血で倒れたので今は休んでいます。」


「仕事が出来なくて申し訳ありません。」


「あ、大丈夫です大丈夫です!お大事にって伝えてください…ところで、唯香と乃愛は?まだ寝てるんですか?」


「はい。シノミヤ様たちは先程、食事をとられてからお休みになられました。今日1日のんびりするそうです。」


「今日1日って、もう3時すぎだけど…」


「ルリカ…はやくごはん…」


「あ、そうだね。メイドさん、マリナが料理するのでキッチン貸してくださいね」


「食材は揃っておりますのでご自由にお使い下さい。」


「御用がございましたらいつでもお申し付け下さい。」


「「では、失礼します。」」


2人は一礼して、そのまま奥へ行ってしまった。


「何となく、私は初めてメイドさんのメイドさんたるところを見た気がするよ…」


「…たしかに…」


私たちはその後ろ姿を見て呆然とつぶやいた。




マリナが昼ご飯(おやつ?)を作ってくれた頃には、既に午後4時くらいになっていた。

野菜多めで作られたヘルシーな料理は美味しいだけでなく、何となく体が元気になるような感じがした。


「ごちそうさま。すっごい美味しかった〜」


「うん…わたし、ゆうはんのしこみするから…」


「反応しょっぱいなぁ〜…でもありがと〜頑張って〜…」


ということでマリナはキッチンにこもってしまった。肉料理中心になりやすいわけだし、肉を漬けたりするんだろうか。


瑠璃香は特にやることもないので部屋に戻ろうと食堂を出た。


「ただいま…」


上に登る階段を登ろうとしたところでバルドが玄関に現れた。肩掛けカバンをパンパンにさせ、疲れきった表情をしている。


「あ、バルドさん、学校おつかれさま。」


「…あぁ、はい。どうも…」


あった時の面影はどこへやら。暗い表情に疲れきった目、低く掠れた弱々しい声。クスリでもキメてるんじゃないかと思うレベルだ。


「だ、大丈夫?相当疲れてるみたいだけど…」


「…まぁ、なんとか…。来週には戦闘大会もあるので…」


「戦闘大会…?って何?」


「あー…知らないんですね…説明…メイドにでも聞いてください…僕はもう寝たい…」


「あ、そ、そっか。ゆっくり休んでね…」


バルドはフラフラとよろめきながら自分の部屋に向かった。


「戦闘大会ねぇ…夕飯の時にでも聞いてみようかな。」


そう呟いた瑠璃香は部屋に戻り、夕飯の時間までスマホをいじるのだった。


────────────────



私たちが何度目だか分からない睡眠から覚め、夕飯を食べている時、不意に瑠璃香が口を開いた。


「そう言えばゴルドさん。さっきバルドさんが言ってたんですけど戦闘大会ってなんですか?」


なお、今バルドはいない。外でトレーニングしつつ食べてくるとの事だ。


「ん?戦闘大会か。戦闘大会って言うのは、この国で年に一回開催される戦うお祭りみたいなものだよ。今年は…ちょうど一週間後だね。この国のほとんどの冒険者、武術者は出場するし、別の国から戦闘大会のためにこの国に来る人だっているんだ。武器は全部木製だから互いに死ぬ事は無いようになってる。」


「へぇ…そんな大会があるんですね。すごく面白そうね。瑠璃香。」


「えっ、なに。すごく嫌な予感するけど…」


「ユイカちゃん、ルリカちゃんを1人で出そうとしてるでしょ…」


「ええ。ハンデに武器はナイフ1本で、優勝出来なかったら罰ゲームで裸踊り。ここまで考えてましたけど。」


「鬼畜!!!」


瑠璃香がいつもの涙を滲ませた顔で訴える。もちろん無視する。


「ちなみに、大会が始まってから今まで基本獣王様が優勝だね。ほかの優勝者は、ユイカちゃんのおじいさん、篠宮梅男さんとその弟子のベルガルド君だけだね。今年で16年目になるけど、獣王様が決勝に残らなかったことは1度たりともないよ。」


「へぇ〜。獣王様、出るんですかぁ…」


私は獣王様が出るということを知った瞬間にこの大会に出ることを決めていた。公式の場で倒したい。それで私が強いことを証明出来ればこの国で観光しやすくなる。


「ごるどさん、まださんかできるかな?」


乃愛も食いついてきたようだ。目が据わっている。


「一応当日受付もしているけど、予約するなら獣王様の城にある戦闘用窓口で受付ているから明日にでも行ってくるといい。朝9時から開くからね。」


ふむ…俄然やる気が出てきた。明日からガンガントレーニングして体の動きを極めて行くことにしよう。


「あ、そうだ。言い忘れていたが、一応1人ではなく2人で参加することも出来る。危険もない大会だし、マリナちゃんも参加させてみたらどうかな?」


「ペアありですか!?じゃあ私は乃愛と組んで行こうかしら。乃愛もそれでいいかしら?」


「だめ。ゆいかはるりかとでて。」


「うんうん、じゃあ私と瑠璃香で…って、え?えええ!?」


断られると思っていなかった。まさか、まさかとはおもうが、乃愛に愛想つかされたとかじゃ…


「のあとゆいかはめをつぶっててもかんぺきなれんけいができるけど、じゅうきぐみはぜんぜんわかんないから、ここでれんしゅうしたほうがいいとおもう。とくにるりか。るりかのぶき、いみわからなすぎるからすこしでもれんけいのくみたてをつくっておいたほうがいいよ」


「そ、そういう事ね…はぁ…」


「ゆいかゆいか、あいそつかされたとおもった?ねぇねぇ?んふふ♪のあのいちばんはいつでもゆいかだよ♪」


「それを聞いて本当に安心したわ。乃愛、しっかり考えてくれてありがとう。」


お礼を言いつつ隣にいる乃愛の頭をなでなでする。


「んふふ…♪」


乃愛は嬉しそうに顔をほころばせる。可愛い。このまま食べてしまいたいくらいだ。


「うーん、いつも通り私の意見は無視かぁ…悲しいなぁ…。」


「ルリカ…それがルリカの…やくめ…」


「嫌な役目だなぁ…はぁ」


きっと私と組める喜びを噛み締めているんだろう、涙をこぼす瑠璃香。


「そう言えばバルドさんも参加するんですよね?ソロですか?」


嘘泣きだったのか、瑠璃香は表情をころっと変えてゴルド子爵に訊ねた。


「いや、ペアがいるらしいが、誰とは言っていなかったな…まぁ当日のお楽しみの方がいいだろう。どうせやつでは君たちには勝てないからね。」


「あはは、どうですかねぇ…」


このあとは終始和やかに会話が続き、夕食の時間はおわった。




翌朝、私たちは私×瑠璃香、乃愛×マリナのペアで参加登録をしに行った。

私たちの申し込みで、ちょうど100組を超えたそうだ。相当数いるようで、結構経験値が稼げそうな匂いがする。登録する前にしっかりと説明を受けた。説明によると、


・相手を殺すような武器は使用不可(基本木製武器)

・自分で調達する場合は運営に認められた武器殺傷能力のない武器のみ使用可能

・トーナメント制で負けたら即終了。希望があれば特定のチームとブロックをできる限りではあるが分けることができる。(書面に記入した場合のみ)

・会場はアシュリンAの1、2層、バサラAの1層、クルルドA1層、ダブA1層の5箇所に設けられた戦闘フィールドで、魔物に邪魔される心配のないようマジックアイテムにより結界を貼る。

・1位から3位までは豪華賞品がある

・ジャッジは専門のスタッフが行い、本物の武器なら死ぬと判断出来た時点で勝負は決まる。制限時間は15分でそれを過ぎた場合は、ジャッジの判断でどちらが優勢かを決める。


とまぁざっくりこんな感じだった。銃器組は弾丸を確認してもらい、許可も貰えたので特に私たちに問題は無い。

トーナメント表は当日発表らしいのでとりあえずしばらくは訓練を続けるしかない。


私たちはそれから6日間、獣王様のところに通った。流石に獣王様も毎日戦っていたら書類やらなんやらの仕事が溜まりすぎるとのことで、お付きの人が課題を与えており、最初は王子様との訓練ばかりになったが、残り2日はしっかり獣王様と特訓できた。

さぁ、明日は戦闘大会だ。

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