49:ゴルド子爵家の応接室で
長くなりましたー!
昨日は各時間が皆無だったのでかけませんでした!すみません!
翌朝。私はいつもと違う感覚をお腹に感じながら目を覚ました。何かがお腹のあたりで動いている。私はしっかり深呼吸して目を覚まし、その動いているものに触れた。
「ひっ!」
そのままナデナデする。この触り心地…サラサラの髪の毛?
と、ここまで考えて思い出した。サンを私と乃愛で挟んで寝ていたのだ。私は体を起こして、既に起きているであろうサンに声をかける。
「おはよう、サンくん。よく眠れたかしら?」
「は、はい!」
サンは顔を真っ赤にしながら体を起こした。ちなみに、乃愛はまだ寝ている。先程までサンをホールドしていたようだが、サンが小さかったこともあって抜け出されたようで、目を覚まさないまま、何かを求めるように両腕を動かしている。
「あ、あの、こ、このひと、だいじょうぶなのかな…?」
そんな様子の乃愛に恐怖を覚えたのか、乃愛から離れながらサンが訪ねる。
「いつもは私がホールドされてるから、助かったわ。ありがとうね、サンくん。」
私はサンの頭を撫で撫でする。
「え、あの、えっと、うん…」
一瞬困った顔になり、なにか言おうとしたが、諦めたのか、私にグリグリ撫でられるままになった。
「さてと、乃愛〜!おきなさ〜い!」
私は叫びながら乃愛に飛びかかりくすぐり始める。
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!やっ!やめっ!ゆいっ!ゆいかっ!おきたっ!おきたよっ!あひゃひゃひゃひゃひゃ!」
「ほらほらほら!さっさとしっかりめぇ覚ましなさい!今日も元気に行くわよぉ!」
私はノリノリでくすぐり、暴れる乃愛の服はどんどんはだけていく。そして、私がくすぐりをやめ、落ち着いた頃には色んなところが際どくなった乃愛が完成した。
「あ、あわわわわわ!」
サンは両手で両目をおおっている。いや、隙間から見てるな、むっつりさんめ。
「おはよう、乃愛。よく眠れた?」
「はぁ、はぁ…う、うん!よくねむれたよ!だきまくらがちいさかったけど…」
乃愛はサンの方を見ながら文句を垂れる。
「文句言わないの。ほら、朝ごはん食べに行来ましょう。」
私たちは珍しく、メイドさんが起こしに来る前に下へ降りていった。
「お、おはようユイカちゃん。昨日は随分遅かったようだね。」
「あ、ゴルドさん。おはようございます。すみません、心配かけて…」
「ホントだよ唯香!遅くなるなら遅くなるって連絡してよ!スマホあるんだから!」
「おはようユイカ…。わたしも…しんぱいした…。」
「…」
食卓には既にゴルド子爵、瑠璃香にマリナ、そして、バルドがいた。キッチンの方にはユリネが盛り付けしている様子が見て取れる。
「ごめんなさいね、マリナ。心配かけたわね。次はしっかり連絡するわ。マリナのスマホには…ね。」
「唯香!?私は!?私にも連絡してよ!?」
「なんでよ?私、朝の挨拶すらしないような非常識な人には連絡なんてしたくないわ。」
「えぇ!?おはよう唯香!これでいい!?私も本気で心配してたんだから!」
瑠璃香が目に涙を貯めて抗議する。流石にからかいすぎたかな?
「はいはい。いいわよ。おはよう瑠璃香。心配かけたわね。」
私より高い位置にある頭をポンポンと叩く。
「朝から仲良しで結構な事だな。ところで、そこでウロウロオロオロしている、サンくんだったかな?君の話を、出来たらご飯を食べながら聞きたいんだけれども。」
ゴルド子爵がいつもの人好きのする笑顔でサンに優しく問いかける。
昨日話したことをメイドがゴルド子爵にも伝えたのだろう。私もキースト達が来る前に話を聞いておきたい。
サンがこくりと頷くのを見て、ゴルド子爵は「君も食べながらリラックスして話してくれたらいい。」と食事を始めた。私たちもいただきますの後、食べ始める。サンは少し迷っていたようだが、私が食べるように促すと、おずおずと1口たべ、美味しさに気づいたようにガツガツ食べ始めた。
サンはひとしきり食べたあと、我を失って食事をしていたことに気づいて恥ずかしくなったのか、顔を真っ赤にしていた。
話し始める様子がない…まあまだ5歳の子供に話せと言っても何を話したらいいか分からないのかもしれない。
「サンくん、君は何があってあのダンジョンに入っていたの?」
なるべく優しく笑顔で質問する。
「えっと、ママとおかいものしてたんだけど、ぼくをよんでるみたいなこえがきこえて、よばれてるほうにすすんでたらあそこにいたんだ。」
「魔物…そこにいた生き物達になにかされたりしなかったの?」
「うん!みんなやさしくて、みちあんないしてくれたんだ!」
「魔物が優しく道案内…?」
私は昨日解析したサンのステータスを思い出す。
「ゴルドさん、この子には魔物対話術、ってスキルがあるんです。たぶんそれで…」
「対話ができたら案内してくれるなんてことは普通ないだろう…?」
「まぁ、それに関しては私もなんとも言えませんね…」
「それで、誰が呼んでいたんだい?その、骸骨の魔物かな?」
「ううん。あそこのもっとずーっとしたのほうにいるひと。おとこのひとかおんなのひとかはよくわかんない。」
「人?人なのかい?」
「うん。ひとだよ。だって、ひとのことばはなしてたもん。」
「そ、そうか…。」
「骸骨の魔物には襲われてなかったかしら?」
「あ、えっと、それはね、みためがこわくてにげちゃったんだ。それでおいかけてきてくれて、こわくないよ〜だいじょうぶだよ〜っていってくれてたの。だけどとちゅうできこえなくなったとおもったら、おとこのひとががいこつさんとたたかってて…」
「あ〜そういう事だったのね…ところで、お母さんは…?」
「ママ?…あ、ど、どうしよう!またかってにどっかいっちゃったからぜったいおこられる!」
サンは今ようやく思い至ったのか、頭を抱えている。
「ど、どうしよう…」
「サンくん、私たちも一緒に謝るから、正直に話しましょう。お母さんに嘘をついたり誤魔化したりしても、絶対にバレちゃうわ。逃げちゃダメよ?」
「うぅ…わかった…」
ちょっと涙目になりながらサンが頷く。これ以上聞くことはなかったので、どういうことかゴルド子爵と話し合いつつ食事した。
朝食を終え、しばらくすると、メイドさんが私たちを呼びに来た。
「王子様と、騎士様。そしてサンくんのお母様がいらしてます。」
「分かりました〜。乃愛、サンくん。行くわよ。」
絵を描いて遊んでいる2人に声をかける。
「「はーい!」」
精神年齢同じかこの二人…?なんて思ってしまった。
下に降りて、食堂に向かおうとすると、メイドさんに声をかけられた。
「王子様方は応接室です。ご案内しますね。」
いつもの狐耳メイドさんだ。「ありがとうございます。」と言いつつ尻尾をもふもふする。メイドさんは顔を赤くしつつも何も言わない。私はそれを許可と受け取り、乃愛と瑠璃香とも共有しつつ応接室に向かった。
応接室では、王子様とサンくんのお母さんがソファに座り、その後にキーストが立っていた。その正面のソファにゴルド子爵が座って談笑している。
「子爵様、王子様。篠宮唯香様とそのお仲間、そして、サンくんを連れてまいりました。」
メイドさんが頭を深く下げて報告する。その後ろでは私たちがもふもふしている。
「あぁ、ありがと…ユイカちゃん、やめてあげてくれないか?メイドが顔を真っ赤にしているぞ…」
ゴルド子爵が私たちを見て苦笑いをこぼした。
「サン!」「ママ!」
私たちの後ろに隠れていたサンくんが、お母さんの姿を見つけて、駆け寄っていった。お母さんはしっかり抱きしめている。その目には涙が浮かんでいた。
私たちはもふもふをやめ、生暖かい目を送る。
「なんだか、その目もやめてほしいなぁ…」
ゴルド子爵がまた苦笑いしている。これもダメかぁ…
「とりあえずユイカ。ほかの者も近くに来い。話しずらいだろう。」
王子様が手招きをするのでそれに乗っかってみんなでゴルド子爵の後ろまで来る。
「詳細は子爵から聞いた。彼には随分と特殊なスキルがあるようだな。」
「そうですね。私としてはダンジョンの下の方にいるっていう、その人に会いに行ってみたいところですけど。ダンジョンいたら結構トレーニングになりそうだし。」
「のあもいってみたい!つよいまものほどおいしい!かのうせいがたかい!」
乃愛も随分と乗り気だ。キングゴブリンみたいなおいしい血を持つ魔物を探し当てたいのだろうか。
「2人が行くって言うなら、私もパーティだし、一緒に行くよ。」
瑠璃香の言葉にマリナもこくこく頷く。
「だが、ダンジョンの最下層にはまだ獣王様すら到達したことは無い。そんな危険な場所に、まだ獣王様に勝てていないお前達が行けると思っているのか?」
キーストが脅してくる。そんな場所だったのか。流石に三人でもきついな…
「そうなんですか…ちなみに最深どこまで行ってるんですか?」
「46層だ。46層にはなんの攻撃をしても全くダメージを与えられない、全能力を防御に振ったような魔物がボスとしていてな、やられることは無いが倒せない、食料も切れる、ということで引き返した。」
「なるほど…じゃ、できる限りパンチ力上げてかないとですね。3人とも、今後はダンジョンの最深部攻略を目標にしましょう。」
「「「りょーかい!」」」
「ぼくもいきたい!」
この国での新しい目標を決めた私たちに、両の拳を握りしめたサンくんが言い放った。
「サン!だめよ!ましてノーマルなんかと一緒になんて…!」
サンのお母さんめっちゃ人族嫌ってる…
「やだ!ぼくのーまるのおねーちゃんたちといっしょにあのひとのところまでいきたい!」
「サンくん。今回は襲われなかったからいいけど、もしかしたら次に行った時には襲われちゃうかもしれない。そしたらサンくんが危ないの。それにサンくんのお母さんも、私たちみたいな人族に自分の息子を預けるなんてできないだろうし。」
「そんなのしらない!ぼくもいく!」
むぅ、困ってしまった。お母さんを前にしている今、私は迂闊に任せろなんて言えない。獣王様が倒せない敵がいるところに乗り込もうとしているのに、獣王様に負ける私たちがいったところで安全性を確保して戦い続けるなんてできるわけがない。しかも、私たちの強さを証明することも出来ないし…
「ユイカ。お前は私より強いな?」
急に王子様が問いかけてきた。
「は、はい。」
「いつから魔物を倒し始めた?」
「そ、それは、1か月前くらいからですね。」
「ふむ。今のステータスは?」
「え、こんな感じですけど…」
戸惑いつつもステータスを開く。
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名前:篠宮唯香
性別:♀
年齢:15歳
Lv:534
経験値:62%
体力:540 4up
MP:353 2up
物攻:509 4up
魔攻:353 2up
物防:390+20 4up
魔防:353+20 2up
器用さ:509 5up
速さ:603+5 4up
幸運:75
所持スキル
言語理解
全属性魔法対応
身体強化Lv16
自己再生Lv10
予知Lv3 1up
加速Lv20 効果UP(Lv21相当)
隠密Lv20 効果UP(Lv21相当)
暗殺Lv20
攻撃連鎖Lv9
解析Lv3
乱舞Lv6
効率化Lv18
威圧Lv2
猫目Lv20
抑止Lv1
見切りLv1 new!
魔法
光・空間転移Lv3
装備:制服・改
武器:小型サバイバルナイフ
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うーん、レベルは上がったけど、スキルにほぼ変化がない。精神的に疲れた状態で戦ってもあまり鍛えられないんだな。それなら獣王様と戦った方が強くなれる。
王子様は私のステータスをじっと見て、頷いた。
「ユイカ。お前なら私の父、獣王様と戦い続ければ、きっとステータス以上の戦いができる。今のステータスで十分私に釣り合う女だが、より強くなってくれた方が、私もさらに上が目指せる。」
「は、はぁ。」
何を言いたいのだろうか…。いまいち良く分からない。
「一ヶ月でこのレベルまで上がったのなら、戦闘技術はスキルに頼り切りだろう?獣王様と、もうひと月トレーニングすれば、確実に獣王様を超えられると、私は思う。そして、きっと、ダンジョンも手を抜いても攻略出来ると思う。」
あ、そういうことか。
「なるほど、つまり今からひと月で余裕でダンジョンをクリア出来るようになって、サンくんを守りながら最深部に行けってことですね?」
王子様は笑顔で頷いた。しかし「だが、」と王子様は続ける。
「サンの母もつれていけ。その上で最深部まで行くのだ。」
「「えぇっ!?」」
私ともう1人の声が重なった。サンくんのお母さんだ。
そして、王子様からは驚くべき言葉が発せられた。
「それが出来れば、お前もユイカを認めるだろう?なぁ、リーリン・バサラ姉様よ。」




