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殺し屋JKが異世界で冒険する話  作者: 飯泉翔羅
第二章:異世界を冒険、二つ目の国にも
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40:冒険者ギルドでの戦闘

重たい金属の扉の先には、30m四方程度の下が土になったフィールドがあった。


側面は完全に壁で、出入口はこの扉だけ。空中にはなにか丸い物体が3つ浮いている。


「あれは…?」


「あれは映像を撮って別のところにそのまま映すことが出来る魔道具さ。カメラって呼ばれてる。このカメラであんたらが俺にボコボコにされて自分が甘々だったってことを知る瞬間を、さっき観戦に行った奴らに見てもらうわけよ」


丁寧にも、ゼンが説明してくれた。余計なことも言っていたが、些細なことだ。ふいに、先程の受付嬢の声が響いた。


『まもなく、戦闘を開始します。使用武器は木製の、各々得意とする武器。最強の豚耳、ゼンと、冒険者を舐めた4人の少女との対決です。武器は今転移させます。この場での殺人は禁止とさせていただきます。破った場合、相応の罰が与えられますのでご注意ください。』


声が途切れると同時にゼンの手元には大きな斧が、私の手元には相棒に似た形のサバイバルナイフが転移された。乃愛の手には注射器の形をした木、瑠璃香とマリナは木の拳銃だ。どう考えても戦えそうなのが私しかいない。


「え、これこの銃使いようがないじゃん!」


「じゅうでなぐる…?」


「のあとしたらめんどくさいしぶきいらないまであるんだけどなぁ〜…」


各々手元の武器をみて呟いている。


私はとりあえず手を挙げて発言の許可を得た。


「ん?どうしたよおチビちゃん。」


「ちびって言うな。えっと、私以外戦えそうな武器じゃないんで、私とゼンさん?との一対一の戦いでいいですか?」


「ほぉ?冒険者でもないおチビちゃんが俺に1人で勝てるとでも?…ていうかあれ武器なのか?自信満々に戦おうなんて言うからどんなものかと思ったけど、やっぱりしょっぺぇなあ!」


注射器はまだしも、銃のことも知らないようだ。


「とりあえず、この戦闘であの子達には手をかけないでください。あの子達は何もしないので、私との一対一で。もし私が負けたらあの子達も含めて私たちに何をしてもいいわ。」


「ああ、まぁいいだろう。このカメラは有能で、声まで観客に届くようになってるんだ。お前のその発言は証明になるぞぉ?」


「私が勝ったらなにかご褒美下さいよ。いたいけな少女には全てをかけさせて、あなたは何もかけないのはおかしいと思いませんか?」


「そうだなぁ…金貨を4枚、人数分だ。まぁ、払うことにはならんだろうけどなぁ!」


ゼンは高笑いする。

うるさい声だ。


『準備はよろしいでしょうか。それではカウントの後、戦闘を開始します。5、4、3、2、1、スタート…』


勝負は一瞬で終わった。


私は始まった瞬間斧を振り上げてきたゼンの脇下をくぐり抜け、反転して飛び上がり、左手で両目を覆い、右手で得物を首に当てた。背の高いゼンの腰のベルトに足をかけているので、ぶら下がって腕を自由にできないなんて言うこともない。もし何かモーションを起こそうとしたら、私が右手を引くだけで、本物のナイフなら血が湧き出ることだろう。


それが分かっているのか、それともあっけに取られているのか、ゼンは全く動かなかった。


「これで、多分殺せたと思うんですけど、どうですか受付嬢さん?」


私はゼンから飛び降り、上を向いて声をかけた。


「しょ、勝者は、少女です…」


沈黙。誰も声を発しない。

そんななか、私たちはいつも通りだ。


「お疲れ様唯香。やっぱ早いわね!」


「さすがのあのゆいか〜♪」


「すごかった!みえなかった!」


3人が駆け寄ってきて抱きついてくる。背の小さい私は完全に埋まってしまった。主に乃愛の胸に。


「お、おい、お、お前、いま、何を」


ゼンがカクカクと震えながら話しかけてきた。が、私は埋まっていて声が出せない。


「む、無視するな!いまどんな卑怯な手を使ったんだって聞いたんだ!」


急にゼンが怒り始めた。また木斧を持って振りかぶる。この軌道だと…瑠璃香に当たりそうだ。


「ふざけるなぁぁぁぁあああ!?」


ゼンの斧は瑠璃香の頭に向かって振り下ろされた。しかしその斧は、瑠璃香の頭に届くことは無かった。瑠璃香が右手の人差し指と親指で斧の刃をつまんで止めていたからだ。


「真剣白刃取り!ただし指!」


ドヤ顔を決める瑠璃香。その腹に軽くジャブを入れる。


「ぐほっ!?」


「危ないでしょうが!やるなら両手にしなさいよ!」


この声に、またゼンが動揺した。


「ごめんなさい…」


瑠璃香が渋々謝り、そのまま木斧をゼンから取り上げて放り投げた。


『…戦闘は終了です。先程移動した経路でギルド内部へお戻りください…』


受付嬢のまだ少し動揺の残る声に従い、私たちはゼンを残してギルド内へ向かった。




ギルド内へ戻ると、そこは静まり返っていた。冒険者たちはいるし、皆酒を飲んだりもしている。だが誰も喋ろうとしない。

まぁ、あんな一方的な戦闘を見せれば当然だろうな。


「とりあえずこれで実力は証明できましたよね?」


私は青い顔をして戻ってきた鼠耳の受付嬢に声をかける。


「さ、先程はひどいことを言ってしまって、すみませんでした…」


「いえ、この国の人族への対応は分かってますから。その度に実力でねじ伏せればいいだけでしょう?」


笑顔で言うと、受付嬢は青い顔のまま苦笑いした。


「随分と好戦的ですね…。とりあえず冒険者登録をします。冒険者についての説明を聞きますか?」


「ええ、お願いします。」


受付嬢は未だに顔は青いが、しっかりと仕事の顔になって説明を始めた。

それをまとめると、


・冒険者のランクは最高がSSでS,A,B,というふうに下がり最低ランクはG

・冒険者登録したらGからスタート

・ランクEまでは魔物と対峙する依頼はほぼ来ない

・フリークエストとして全ランクに解放されている魔物討伐には、基本G~Eまでの冒険者は行けないが、高ランクと一緒、またはギルドが認めた冒険者ならば行ってもいい

・高ランクになると指名依頼や王族の警護など重要な任務を名指しで依頼されることがある


こんな感じだった。


「よくわかりました。」


私の返事を聞くと、受付嬢が受付の下から名刺サイズのカードとペンをとり出した。


「それでは登録します。名前と性別、年齢を記入してから、ここに親指を押し付けてください。」


言われたとおりに記入し、親指を押し付ける。するとカードが青く光り、すぐに収まった。


「はい、これで登録は終了です。シノミヤ・ユイカさん…。?シノミヤ…?」


「篠宮!?まさかあの伝説の篠宮か!?」

「え!?まさか!嫌、でもあの篠宮は男だし、年も…」

「だとしたら娘…にしては若いし孫とかか?」

「彼の親族ならあの強さも納得出来るが…」


先程までだんまりだった冒険者たちが私の名前を聞いた瞬間にざわつき出した。おじいちゃん、どんだけ影響与えているんだろう…伝説とか言われてるし…


「あ、あの…」


小さな声で受付嬢が声をかけてきた。なんとなく顔が赤らんでいる。さっきまで青かったはずなのに。


「も、もしかしてシノミヤウメオさんのご親戚とかで…?」


「い、一応私が孫ですけど…」


「「「おおおぉぉぉぉ!!!」」」


冒険者たちの野太い声が響いた。

なんか目をキラキラさせてこっちを見ている。心の底からやめて欲しい…


「あの!さ、サインを貰ってきてもらえないですか…!?」


受付嬢がどこからかサイン色紙を出てきた。そんなものこの国にもあったのか。


「や、無理ですよ。諦めてください。」


受付嬢は目に見えてがっかりしている。おじいちゃんがサインねだられるレベルで尊敬を集めているなんて知らなかったんだけど…


「そう言えば、唯香のおじいちゃんの話ってどういうことなの?」


「あぁ、そういえばあの時私とシノしかいなかったわね…」


いい機会なので私が聞いた話を3人にもしておく。その話をほかの冒険者たちも真剣な顔で聞いていた。そして多くの冒険者が、おじいちゃんと一緒に酒を飲んだというダニエルに嫉妬の炎を燃やしていた。


「ってかもうおじいちゃんの話はいいので残り3人の冒険者登録!お願いします!」


「分かりました…あ、そうだ。パーティー登録もしておきます?パーティーになっておけば獲得経験値共有ができますよ。あと、仲間の状態も見たり、何より念話でどこにいても話せるようになります!」


「丁度いい。お願いします。」


3人の登録の後、パーティー登録もすませ、受付嬢にお礼を言って冒険者たちが集まっている方に向かう。

そして、その中から解析を使うことのできた狸耳の男を呼び出す。


「な、何でしょう…」


狸耳の冒険者もだいぶいい体格なのだが、先程の戦闘を見ていたからだろう、縮こまっている。


「さっき、解析で私のステータス見たでしょ?どこまで見た?」


「す、ステータスは全部だと思います…しっかり武器や装備も見れたので…」


「あ、そう。あなた名前は?」


「た、タスギです。」


「タスギ。私たちのステータスの細かい数字、絶対に誰にも言わないこと。言ったら、どうなるかしらね?」


いい笑顔を浮かべながら彼に忠告しておく。

ステータスを知って利用しようとするやつが出てくるかもしれないし、念の為だ。


このあとは初めての依頼をこなそう。依頼ボードにはランク分けされた様々な依頼が貼り付けられている。どんな依頼がいいか4人で見ているときだった。


「おい、そこの女。」


周囲がざわついた。先程の戦闘を見ていた人なら誰もがこの言葉遣いに困惑するだろう。私の機嫌ひとつでボコボコにされるリスクだってあるのだ。

私が振り向くと、そこには、見た目は10歳くらいだろう、小さなケモ耳の少年がいた。服装がとてもきらびやかだし、このギルドにふさわしくない出で立ちをしている…

…何となく、このざわつきが私に対して言った言葉ではなく、この少年の存在自体にあるように思えてきた。


その懸念は正解だった。次のセリフで確定的に明らかになってしまった。


「私の妻にしてやる」


彼は、この国の王族の獣人だった。

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