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殺し屋JKが異世界で冒険する話  作者: 飯泉翔羅
第一章:異世界最初の国、冒険前の下ごしらえ
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28:王のお城の救出作戦


夜。営業も終わり片付けも終わって寝る準備で上の部屋にいる私たちの耳に、下の出入口の扉を叩く音が聞こえた。


こんな時間に人が来ることは私が来て初めてだ。もう一人来た、なんてことはないだろう。センサーの反応はない。


私たちが部屋を出ると、瑠璃香とマリナ、そしてシノも外に出てきたところだった。


「シノ、客?」


「いや、こんな時間に来ることなんて初めてだけど…不安だから一緒に来て?」


「いいわよ」


他のメンバーは部屋に返し、二人で下に降りる。

降りているあいだも叩く音は止まない。声も聞こえる。

これは…カリナ?


「はーいどちら様ですかー?」


シノがそーっと扉を開けると、そこには傷だらけになったカリナが息を切らせて立っていた。



「カ、カリナちゃん!?」


カリナはすっと中に入り扉を閉め、鍵も占めた。

そしてこちらに顔を向けて力が抜けたように倒れた。


「カリナ!大丈夫!?ちょっと!全員来て!」


私はすぐに上に呼びかけて三人を呼ぶ。

カリナは結構な怪我を負っているようだ。体中に斬られた傷があり、血がなくなっているのか顔も青白い。

幸い骨が折れたりはしていないようだが、早く治療しなければ手遅れになるかもしれない。


三人が降りてきた。瑠璃香を近くに寄せる。


「瑠璃香回復魔法あったでしょ?お願い。」


「ん、分かった。」


瑠璃香がカリナに手をかざし、治癒(ヒール)を唱える。一瞬光がカリナの体から溢れ、消えた。既に傷はほぼ塞がれ、綺麗な肌が戻っていた。


「うぅ…」


呻きながらカリナが体を起こした。


「いったいどうしたの?城で何かあったの?ダニエルさんは?」


「た、大変なんです!城が獣人族に占拠されて、王様が自室で人質にされて、ダニエルさんがなんとか逃がしてくれたけど、兵の殆どが獣人族に逆らえずに私たちを襲ってきて…もうどうしようもなくて…!」


カリナは相当混乱し焦っている様子だ。

きっと命からがら逃げ出して、体力が回復した今、記憶にある限りをなんとか伝えようとしているのだろう。


「わかったわ。ダニエルさんと王様を助けに行きましょう。けど、獣人族の話もしっかり聞かないといけないわね。」


4人の方に顔を向けると、4人とも真剣な表情で頷いた。


「シノ、マリナはここで待機してて。鍵を占めてカリナを守っていて。」


「分かった!でもこっちに兵隊来たらどうするの?私戦う力ないし、カリナちゃんもマリナちゃんも戦闘できないでしょう?」


「…そうね。瑠璃香、何か持ってない?武器になるようなものでも、最悪の場合に連絡できるようなものでも。」


拳銃を手にいれた瑠璃香だ。きっと拳銃の他にも神に無理を言って持ってきたものはあるだろう。


「ふっふっふ〜聞いて驚け私はスマホを持ってきた!!!」


瑠璃香は3台のスマホを手元に実態化し、掲げた。赤ケースのスマホが私、ピンクが乃愛、藍色が瑠璃香である。私たちの私物のスマホをそのまま持ってきてくれたようだ。流石である。


「ナイスよ瑠璃香。じゃ、パスコード消してシノに持たせましょうか。瑠璃香。」


「え!私!?ちょっちょっと待って私見られたくないものが普通にたくさん…」


「早く渡しなさいな。時間ないのよ?」


「うっ、くぅぅ…覚えてろよぉ!!」


そう言ってスマホの設定をいじり始めたところで乃愛のスマホがシノに手渡された。


「のあのやつ、もともとぱすわーどとかいれてないからこれつかって♪」


「あ、ありがとう…」


私と瑠璃香の争いを見ていたシノが少し動揺しつつ受け取る。


「せ、せっかく設定変更したのにぃ…」


瑠璃香は涙目になっている。


「さ、行きましょう。元の世界のミッションと同じよ。殺すか殺さないかだけ。気付かれないうちに意識を刈り取って、王様とダニエルさんを助けましょう!」



「「おー!!」」


瑠璃香と乃愛の声が重なる。

ダニエルの名前を出した時乃愛の顔が一瞬歪んだように見えたが、気のせいだったようだ。


私たちはカリナに王の自室の位置を確認した後、ゲストを出て全速力で城へと向かった。



城は不気味な雰囲気を醸し出していた。

やけに静かなのだ。物音がしない。


「二人とも、慎重に行くわ。隠密全開にして。」


城の裏側に回り込む。2階の陽の当たる場所が王の自室になっているらしい。そこの窓から隠密で侵入し、王とダニエルを助ける。王はともかくダニエルはどこにいるか分からないため、獣人を捉え、話を聞き出す必要がある。


「瑠璃香」


瑠璃香は頷くと城の壁から5m程のところで膝立ちになり、両手を握ってジャンプ台になる準備をした。


私と乃愛は助走をつけて瑠璃香の手に足を載せて、跳ぶ。

なんとか音を立てずに王の自室の両サイドの壁にひっつくことが出来た。


瑠璃香に目配せをすると、多分作ったのだろう、中の様子を見るための細長く、先が直角に曲がっている道具を投げ渡してきた。これは曲がるところに鏡があり、覗き込むと曲がった先のものが見えるという便利道具である。


中を覗くと、恐らく猫耳がぴくぴく動いているのが見えた。


「ゆいか、あのおとこ、おうさまいじめてるみたい。うめきごえがきこえる…」


「そうね…鍵は…閉まってるか。ん〜道具がないから音立てないのも難しいし、しょうがない。撃ち壊させよう。」


下の瑠璃香に銃を撃つ仕草をする。


瑠璃香は即座に銃を構え、数発撃った


ドパンドパンドパンドパン


窓は大きな音をたてて割れ、鍵もうまく壊れたようだ。瑠璃香の射撃スキルは恐ろしい。


「誰だ!」


猫耳男がこちらに来る。私たちには気づいていないようだ。王は転がされたままらしい。

猫耳男が壊れた窓をガラリと開けた瞬間、私は男の顔面に左足で蹴りを入れながら突入した。


「ぐあっ!?」


男は突然の奇襲に反応できずそのまま倒れた


ブスズサザクッ


少々生々しい音が聞こえた。窓の破片が男の背中に刺さったらしい。

男は声にならない悲鳴をあげている。一泊遅れて入った乃愛が入るなり男に向かい


「みりょう!」


を唱える。スキルなので別に頭の中で使おうとすればいいのだが、乃愛は言いたくなるらしい。

男は一瞬びくんと震え、目がハートになって乃愛に手を伸ばしてきた。


「うごくな。」


乃愛の命令で動かなくなる。


「よし、乃愛。交代。」


「あいあい!」


今度は乃愛が男に馬乗りになる。私は王様のところに駆け寄り、様子を見る。


「むぐ、むぐぐぐぐ…」


猿轡を噛まされて喋れていないが、特に体に以上はなさそうに見える。

私は猿轡を外しながら話しかけた。


「私たちはカリナのお願いで遣わされたただの殺し屋です。王様の命を助けにまいりました。今から縄を外すので動かないでくださいね」


言いつつ、手首と足首に巻かれた縄を相棒で切り落とす。かなり固い紐のようだが、相棒の強さにかかれば簡単に切れてしまう。ついでに王まで切りそうなので慎重に行う。

なんとか王を切らずに外し終えた。


「さて。王様は助けたし、あとはこの男よねぇ…」


「このひとめっちゃむねさわろうとしてくるからがんめんなぐっちゃった…しんではないとおもうけど、めっちゃはなぢでてる…」


机を回り込んで見てみると、男が幸せそうな寝顔で鼻血を出して寝ている姿があった。鼻が潰れている。


「乃愛…力入れすぎだよ…」


「うぅ…ついつい…」


話していると扉の外からたくさんの足音が聞こえてきた。


「ん、国の騎士団でも来たのかな」


扉が開け放たれる。

その先頭に立っていたのは瑠璃香がぶっ倒した門番の男だった。




「お、お前ら何者だ!ん?あ!お前ら馬車で見たぞ!ここでも俺の邪魔をするのかぁ!!!!!」


男は激しく激昂している。剣を手に今にも襲いかかりそうだ。


「乃愛。少しのあいだ耐えるからそこの獣人族縄で縛っといて。あと王様も守って。」


「あいあい!」


乃愛の元気のいい返事を背に、私は加速、身体強化、隠密、ついでに攻撃連鎖と乱舞も加え、速攻で叩きに向かった。


「おまえらのせいでぇ…消えた!?」


男が私を探す間に男の後ろにいる奴らを片っ端から叩きのめしていく。もちろん殺しはしない。みぞおちに一発とか、あごに一発とかそんな感じだ。


「ぐあっ!?」

「うぐっ!?」

「げはっ!?」

「ごばっ!?」

「ぎえっ!?」


みんな見えていないようでみごとに疑問形の悲鳴を残して倒れていく。


「ゆいか〜。のあもいっていい〜?」


場にそぐわないのんびりとした声に私は返答する。


「いいわよ。死なない程度にね。」


その声で乃愛もスキルをいくつか使ったのか速攻で叩きにきた。私が向かって左、乃愛が右をサクサク蹂躙していく。


何秒かかっただろうか。超速攻で来ていた全員をノックダウンした。


「さて、話を聞かせてもらうわよ。ここだと話しづらいから、ゲストでね♪」


私の笑顔にビビった門番の男はがったがたに震えている。


「これいじょうめんどうなことしたくないし、あなたもしばるからうごくな。」


乃愛の珍しい命令口調に男は硬直した。と、後ろから隠密を使って走ってくる気配をキャッチした。


「ん、うちもらし?」


「いえ、これは…」


扉からダニエルを背負った瑠璃香が現れた。


「お、瑠璃香お疲れ様」


「いやー大変だったよ。ダニエルさんマジで死ぬ寸前だった。私が回復魔法使えてほんとよかったね。」


ダニエルは意識はまだ内容だが顔色は悪くない。しばらく寝かせればそのうち起きてくるだろう。


「で、そっちは…終わったみたいだねぇ〜。」


「一応ね。あ、乃愛。その男、落としといて。」


「ん!」


乃愛は元気な返事とともに話しているうちに脱出しようとしていた門番の男の顎に一撃を入れぶっ倒した。そのまま縄でぐるぐる巻きにする。


「話を聞くのはゲストで。行きましょうか。」


猫耳を私、門番を乃愛が背負い、私たちは城をあとにした。

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