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殺し屋JKが異世界で冒険する話  作者: 飯泉翔羅
第一章:異世界最初の国、冒険前の下ごしらえ
2/71

2:初めての異世界



目が覚めると、そこは、異世界だった。

何を言っているかわからないと思うが、私も何を言っているかわからない。


そんな言葉が私の頭の中に浮かぶ。周り一面緑の草原で、私が倒れていたところには木が1本だけ立ち、木陰を作っていた。


「あーあー、聞こえるかなー?」


どこからか神様の声が聞こえる。というか、こいつ、直接脳内に…!


「君以外に聞かせる必要が無いからね。とりあえず、この道をまっすぐ北に進むと見えてくる街から助けて欲しいんだ。いま魔物に襲われてる。」


だいぶ恐ろしいことを平然と仰るなこの神様。

と言うより、人を殺す手段しか持っていなかった私が獲物もなしに魔物なんて倒せそうに思えないんですがそれは…。


「その点については大丈夫。君の相棒は念じれば出てくる。それと、頭の中で身体強化、って念じてみて」


言われたとおりにする。

身体強化…

んん?急に目が良くなったような…


「体も軽いと思うよ?力もスピードも身体の全部の能力があがるスキルだからね。」


スキル?この世界にはそんなゲームじみたものがあるのか…!Lv2とか言ってたし、成長もするのかな…?


「うんするする。君の場合魔物倒してけばあっという間に強くなるよ。成長速度100倍掛けたからね」


100倍…!?

なんでまたそんなチートを…


「だからこの世界を救ってほしいからだよ。君、転生させやすい世界の中で1番身体能力に優れてたから。」


そんなことはないと思う。だって私はまだ15歳でしかも女子。パワーやスピードだけじゃない、いろんな面で強いひとは元の世界に沢山いたはずだ。


「伸び代って意味でもね、君が最適なんだよ。もしかしたら君の周りの子達も連れてくることになっちゃうかもだけど…」


困ったような口調で話す神様。

周り…と言うと家族か、はたまた仲間か。


「とにかく、詳しいこととか分からないことはメニューからシステムに入ってみてみて。そういうのも念じればできるから。」


だいぶ適当なことを言う神だなぁと思いつつ、【メニュー】と念じる。すると胸の前当たりにステータス、アイテム、装備、マップ、システム、と五つの選択肢が現れた。【システム】にタッチすると、ほかの四つは消え、この世界について、スキルについて、アイテムについて、成長速度について…etc。様々な選択肢が出てきた。

あいにく私はそういうのを気にせず、実践の中で感覚を得て理解していくタイプなので、【システム】を閉じ、【ステータス】を開いた。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

名前:篠宮唯香

性別:♀

年齢:15歳

Lv:1

経験値:0%


体力:7

MP:15

物攻:9

魔攻:15

物防:5

魔防:5

器用さ:15

速さ:15

幸運:75


所持スキル

言語理解

全属性魔法対応

身体強化Lv2

自己再生Lv1

予知Lv1

加速Lv1

隠密Lv15

暗殺Lv20


魔法

光・空間転移(テレポート)Lv1


装備:制服

武器:小型サバイバルナイフ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


私は絶句していた。この世界には、魔法がある。しかも、私のスキルの中に全属性魔法対応とあるので、つまりは全属性魔法が使えるということだ。何種類あるかは分からないが…

経験値や自分のLv、ほかのスキルもかなり気になるが、ほかのメニューも見るために【ステータス】を閉じた。


【マップ】を開くと確かに北側に小さめの街がある。縮小していくと、ここが一つの大陸であり、その東の端に私がいることが分かった。


【アイテム】は、どこかのゲームのアイテムボックスのようになっていて、小型サバイバルナイフのみが入っていた。

上限値のようなものがどこにも書いておらず、どれだけものを入れられるかは分からなかった。


【装備】を開くと、左側に制服を着た私の姿、右側に【装備】と【装備リスト】の二つがあった。リストには何も無かった。


「だいたい分かったかな?」

急に神の声が聞こえた。驚かすな。

「はは、ごめんよ。でさ、そろそろ助けに行って貰いたいんだけどなぁ…」

正直めんどくさいが、元の世界に戻れないのであればここで生きるために必要なものを確保しなければならない。まずは金と宿と食料だ。それを得るのに魔物討伐は単純で楽だろう。魔法の空間転移で行けるのか…?


「あ、空間転移は一度行ったところじゃないと転移できないからね。あと、魔法じゃ元の世界にも戻れないから。」


一瞬考えた希望を即否定された…

仕方ない、加速と身体強化の二つを念じる。

…なんとなく体が軽くなった感じがする。

「はぁ…いくかぁ…」

一息ついて、北に向かって走り始める。

かなり早かった。体感では一般道を走る車と同じくらいじゃないだろうか。たいした時間もかからないうちに国の城門が見えてきた。城門の周りにはうじゃうじゃと同じ姿の魔物がたむろしている。


「耐えろ!絶対にこいつらを内側に入れるな!避難はまだ終わっていないんだ!訓練どおりだ!」


男が叫ぶ声が聞こえる。目を細めてよく見てみると、鎧を身にまとった国の兵士であろう人々が盾と剣を手に魔物に応戦していた。しかし、今見ているだけでも次々と兵士は倒され、魔物が内側に押し入ろうとしていた。


私は、スキルの中で無駄に飛び抜けている暗殺Lv20を使ってみることにした。体は人の殺し方を覚えているが、魔物は殺したことがない。スキルなら殺し方が分かるのではないかと思ったのだ。案の定、魔物にとって重要な器官が見え、どう動くのがスムーズに気づかれない殺しになるのかまで分かった。

「随分便利な機能ねぇ…」

呟きながらその通りに動く。

人形の魔物の首元を深めにズバズバ切っていくと、切られた魔物は動きを止め、首元を掻きむしりながら倒れ、動かなくなっていった


「もう少しだ!押し返せ!」


兵士たちは後ろの方で動く私のことに気づいていないようだ。私はザクザクと魔物を切り伏せていく。


だんだん兵士の顔がスキルを使わずに見えるようになってきて、ようやく兵士が私の存在に気づいた。


「っ!?てっ敵…じゃないな!みんな!援軍だ!魔物は後ろの方から削られている!今のうちに一気に押し込むんだ!」


兵士たちは「おおおぉぉぉぉぉ!」と雄叫びをあげ魔物を切り伏せる。私も休まず魔物を倒していく。



魔物が周りにいなくなってしばらくのあいだ、私は頭が痛くなって蹲っていた。兵士たちは疲弊し、私の方に寄ってくる様子はない。ステータスの変化によるものかもしれないという予測の元、兵士たちに背を向けて【ステータス】を開いた。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

名前:篠宮唯香

性別:♀

年齢:15歳

Lv:51

経験値:70%


体力:57   50up

MP:25   10up

物攻:59   50up

魔攻:25   10up

物防:20   15up

魔防:15   10up

器用さ:65   50up

速さ:65   50up

幸運:75


所持スキル

言語理解

全属性魔法対応

身体強化Lv5  3up

自己再生Lv1

予知Lv1

加速Lv5   4up

隠密Lv15

暗殺Lv20

攻撃連鎖Lv1   new!

解析Lv1   new!

乱舞Lv1   new!

効率化Lv1   new!


魔法

光・空間転移(テレポート)Lv1


装備:制服

武器:小型サバイバルナイフ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


私はレベルを見て驚いた。一回の戦闘(約50体の魔物とはいえ)で、一気にLvが50も上がっているのだ。ほかのステータスも殆どが大きく上昇している。


「戦闘お疲れ様!やっぱりあっという間に片付いちゃったね!」


私の能力随分と強くしてくれてるわね。

これが異世界転生特有のチート性能かしら。


「ちなみにいうと暗殺のスキルと隠密のスキルだけは君の元々の能力なんだよ?ある意味君自体がチートだよ。」


そうだったのか。たしかに私は暗殺に失敗したことなかったけど、異世界で能力が生かされるなんて…


「とりあえず、だいたい分かったかな。ステータスに関してはこんな感じで成長していくから。」


まぁ、とりあえずね。


「それじゃ、僕はもう神界に戻って見てるね!出来たら世界救ってくれると嬉しいけど、まぁ自由に生きてみて。この強さがあればきっと簡単には殺されないからね。僕は自由に生きるうちに世界を救う、に賭けるよ」


そう意味のわからないことを言い残して、神の声は聞こえなくなった。



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