11:初めての装備変更
店主が手を加えた私の制服は私が思っていた以上に良いものだった。
その色はまさに漆黒。綺麗な黒になった制服は元々黒だったようにすら思える、無駄のない着色である。
「どうだねお嬢さん。気に入らないとこがあればいくらでも言いな。どのくらい付与できたかは装備しないとわからんから装備してもらいたいんだがな!」
「…見た目は気に入ったわ。着たら買わなきゃいけない、なんて言わないでね?」
「もちろんさ。さあ、着てみてくれ」
促されるままに試着室で着替える。
ふむ、サイズも変わっていないのでピッタリだし着心地も満点。
気になる能力値は…と
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
名前:篠宮唯香
性別:♀
年齢:15歳
Lv:51
経験値:70%
体力:57
MP:25
物攻:59
魔攻:25
物防:20+20
魔防:15+20
器用さ:66
速さ:65+5
幸運:75
所持スキル
言語理解
全属性魔法対応
身体強化Lv5
自己再生Lv1
予知Lv1
加速Lv5 効果UP(Lv6相当)
隠密Lv15 効果UP(Lv16相当)
暗殺Lv20
攻撃連鎖Lv1
解析Lv1
乱舞Lv1
効率化Lv1
威圧Lv1
魔法
空間転移Lv1
装備:制服・改
武器:小型サバイバルナイフ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
防御力だけじゃなくスキルの効果まで上がっている。
相当いいな、これ。
それを店主に言うと少し不思議そうな顔をした。
「スキルの効果…?防御と隠密の付与以外してないはずなんだがなぁ…?」
これも転生者の装備だからこそのチートだろうということにして購入し、私たちは店を出た。
「ぜったいまたくるから!」
と、乃愛が店主に指を突き立て謎に怒った顔をしていたが、それを見た店主は顔が溶けていた。
◇
「乃愛ちゃん服どうする?アレでいい?それとも他に買う?」
「ん〜いいや〜。のああれだけでいい〜」
乃愛は少し気だるげというか、どうでもいいという風に言葉を返す。
「私、次武器屋にいってみたいわ。出来ることなら私の相棒に見合うか、それ以上に使いやすい得物を見繕いたいの。」
「得物って…言い方が獲物みたいで何となく猟奇的だね。」
「この呼び方気に入ってるのよ。相棒か得物。ちょっとかっこよくない?」
「まぁ、そうかな?とりあえず武器屋ね。行ってみよっか!」
ということで私たちは武器屋へ向かった。
武器屋には広めのスペースがあり、試振用と書かれた看板が立てられ、店の全面に様々な形の武器が取り揃えられていた。
「おじさん、このナイフくらい使いやすくて小さい、丈夫な短剣はあるかしら?」
店主らしき男に話しかけると、男は綺麗な手袋をはめた右手を出してきた。
「貸せ。無闇に使いはしない。」
私が相棒を渡すとそれを上から下から眺め、軽く振り、突き、最後に薄刃を光に透かして見た。
「ミスリルか…いい武器だ。うちにこれ以上の短剣はない。だが、何も付与されていないようだな。銀貨1枚で攻撃力付与してやる。どうだ。」
ミスリル?何かはわからないが、とにかくぶっきらぼうな男の提案に私はシノに目を向け、うなづくのを見てから男にうなづく。
「よし、5分だ。まってろ。」
男は左手にも手袋をはめ、相棒を奥に持っていった。
「唯香ちゃん、いつから冒険者になるの?」
「え?そうね、ひと月くらいは働こうと思ってるけど、なるべく早めになりたいわ。Lvもサクサク上げられそうだし」
「唯香ちゃん、一応先に転生してた先輩としてアドバイスさせてもらうとね、この世界、結構転生者多いけどみんな勇者みたいな能力持ちじゃない。だからゴブリンみたいな弱い魔物に簡単に殺されることも多いんだ。この世界の人だって、魔物の恐ろしさを知ってても殺されることも沢山あって、強い人だって簡単に殺されちゃう。唯香ちゃんたちはチート持ちだから既に強いけど、出来たら無理しないで欲しいんだ。何ならずっとうちで働いてほしいくらい。だから」
「心配ありがとう。大丈夫。私だって死にたくないもの無理はしないし、防具屋さんが言ってた森でレベル上げしてから行くわ。」
「え、でも、森は今凶暴化した魔物が増えてるって…」
「大丈夫。私たち二人とも隠密があるし、私に至っては暗殺があるのよ?絶対無理はしないし、一体ずつしか相手しない予定だし、問題ないわ。」
話しているうちに店主が戻ってきた。
「待たせたな」
店主は表情を変えずに私の相棒を手渡した。
「武器の力の確認とかって出来ないのかしら」
「…お前、転生者か。なんでミスリルの武器を…まぁいい。ステータスから武器の名前を長押ししてみろ。」
言われたとおりにすると左側に武器、右側に武器ステータスというふうに画面が変わった
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
小型サバイバルナイフ(相棒)
攻撃力 +60 +20(攻撃力付与)
耐久値 5000 +200(追加効果)
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「耐久値?」
耐久値という単語にシノが反応する
「耐久値は簡単に言えば何回全力でぶっ叩いたら壊れるかっていう目安だ。使って減っても、手入れすればまた元の値に戻る」
「なるほど。便利なものね。ありがとう店主さん。またいつか来るかもしれないしその時はよろしく。」
「ああ。死ぬなよ」
店主と軽く握手して、私たちは店をあとにした。
私たちが店に入っているあいだ、乃愛はずっと置かれた武器を見て目を輝かせていた。
◇
ひと通り歩き回ったことで昼時になった。
「ゆいか〜おなかすいた〜」
「そうね、そろそろお昼が欲しいわ。」
「ゆいか、それもそうなんだけど〜べつの〜ね〜?」
「あ、そっち…」
「え、そっちってどっち?私、うちに戻って軽く作ろうと思ってたんだけどどこか行きたいところでもあるの?」
「シノには知らせた方がいいわね…とりあえず家に帰りましょう。」
踵を返した時、胸に隠したセンサーが急に反応を示した。
「ん」
「んにゅ」
私と乃愛は互いに頷き、その反応の主を探すことに決めた。
「どうしたの?二人とも何かあった?」
「シノ、多分3人目。私の友達。」
「え、また?」
シノは驚いたような顔でこっちを見る
「とりあえず探しに行くわ。ついて来て…って言いたいとこだけど乃愛、おぶってやりなさい。」
「あいあいさー!」
元気のいい返事とともに乃愛がシノをかつぎ上げる。さながら狩られた獲物のように。
「えっ、ちょっと、えっ!?」
シノは目を白黒させている。
「じゃ、探しに行こうか。」
私たちはセンサーが反応を示す方角へ走り出した。




