10:初めての買い物
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目が覚めて、キョロキョロ周りを見渡していると、頭に神様の声が響いてきた。
「あー、あー、きこえるかい?」
「うっわすっごい!こいつ…直接脳内に…!が使えるんだ!さすが神様!」
「まぁまぁそう褒めるな褒めるな」
神を褒めながら、私は適当にメニュー、とか念じてみる。
すると目の前に映像が浮かび上がった。
「わっ!すごい!ステータス、アイテム、装備、マップ、システム!ステータスは…」
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名前:天城瑠璃香
性別:♀
年齢:15歳
Lv:1
経験値:0%
体力:12
MP:25
物攻:5
魔攻:25
物防:5
魔防:25
器用さ:5
速さ:17
幸運:75
所持スキル
言語理解
全属性魔法対応
身体強化Lv2
自己再生Lv1
完全記憶Lv1
交渉Lv20
隠密Lv15
欺瞞Lv20
話術Lv20
読心Lv10
魔法
光・治癒Lv1
装備:制服
武器:拳銃
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「すっごーい!魔法まである!ゲームみたいだね!次はアイテム…おっ、ちゃんとスマホ3台に銃に改造用の工具!あるねあるね!装備は…見たまんまか。持ち物はどう取り出すのかな…念じてみるか…と、スマホ出せた!しかも狙った通り1こ!これはすごいなぁ、たのしいなぁ!よっし、開けマップ!おおっ、近くに町がある!唯香たちいるかな?早く会いたいなぁ…」
性格が変わったように一人でしゃべり続ける少女に、神はかなり動揺した。彼女を調べた時にこんな情報はなかったのだ。
「おーい?きこえるー?」
「───マップを見る限り一番近い街になるべく早くたどり着かなければいけないと思うのだけど、私は疲れたくないから誰か商人でも通ってほしいな。ヒッチハイクヒッチハイク!元の世界でやってみたくて試せなかったことを今出来るなんてすごい!あっ、南の方から馬車が見える!大きい荷馬車だし、女の子たくさん乗ってるし、私ものせてもらえるかな。おーい!みえますかー!私も乗せてってー!」
全く聞こえていないようだ。彼女は声を上げながら馬車の方に走っていってしまう。
「あっ、あの馬車は───」
神が注意しようとしたが、間に合わない。すぐに声が届かなくなってしまう。
「なんだ…一番まともなの唯香ちゃんじゃないか…なんであの子達は話を聞かないのかな…前途多難だ…」
神は少女が馬車を止め、御者や商人らしき人と話している姿を見ながら、一人呟いた。
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◇
私たちは朝食のあと、シノの案内の元、街を歩き回っていた。街はやはりお世辞にも賑わっているとはいえず、大人から子供まで皆疲れた目をして働いていた。無邪気にはしゃぐ小学校に上がらないくらいの幼児たちだけが救いであった。
「うちはほかよりも味が良いので少し金がある人はみんなうちに来るんだ。そのおかげで今も働いている皆さんと違って私たちは休みが得られるの」
「なんとか出来るならなんとかしてあげたいわね…むりだけど…」
その言葉に答えるものは誰もいない
静寂を破るようにシノが話し始める
「これは私たちがなんとか出来ることじゃないよ!今は自分のこと考えよ!二人とも、どんな服がいいかな?」
「「うごきやすいやつ」」
「そ、そう。可愛いのがいいかな、やっぱり?」
「私は黒がいいわ。能力的にもね。」
「のあ、はーともちーふのぴんくのやつがいい!」
「唯香ちゃん、街での私服じゃなくて主に対魔物で考えてるんだね…逆に乃愛ちゃんはかわいさ重視か。それじゃあ先に防具屋に行こっか。戦闘服としてシンプルで動きやすい薄手のアーマーがいくつかあったはず!」
「おっけー。さっさと買い物済ませましょ。」
◇
防具屋には様々な防具が置かれていた。よくある騎士装備の鎧とか日本の侍のような甲冑とか、女子用でどこが防具だと言いたくなるような肌露出の多い装備とかもある。
私は正直、全身タイツみたいなやつでもいいか…と思っていたけど、これが想像以上に恥ずかしい。体のラインが出すぎているのだ。
うむむ…と迷っていると店主が話しかけてきた。
「お困りですかお嬢さん?どんな装備を…お嬢さん。全身タイツは君のような可愛い女の子が使う装備じゃないよ…」
店主が、私が手にしている全身タイツを見て苦笑いする。
「そうよね…私もこれはないわーって思ってたところなの…」
「こんな真っ黒なのばかり見てるってことは、お嬢さん、隠れながら戦うタイプかい?」
「え、ええ。まぁ。」
「今着てる白いのじゃ目立つもんなぁ。今着てるのは気に入ってるのかい?」
「そうね。私基本的にこの服で毎日生活しているから…」
「どうだい?1着預けてみないかい?」
私は店主の急な申し出に戸惑う
「どういうこと?」
「いやぁつまりだよ。その服を俺が改良して防御力あげて、黒くして返すんだ。どうだ?気にいってるならそれをそのまま使えた方がいいだろ?」
「なるほど…して、値段は?」
「驚く無かれ、オリジナル防具制作ただし元素材あり防御付与魔防付与隠密付与依頼主とそのお仲間はみんなべっぴん!合わせて銀貨1枚と銅貨20枚!」
日本円でだいたい12’000円。
シノを見る
シノは笑顔で頷いた。
「よろしくお願いします」
言いながら右手を差し出す。店主は笑顔で私の右手と手を交わした。
「今貸していただければ30分で仕上げますが、どうします?予備の服がないならこちらでお貸ししますよ!」
「じゃあ貸してもらえますか?」
「はいがってんしょうち!少々お待ちくださいねぇ」
言いながら店主は奥に引っ込んでいった。それと入れ替わるように、乃愛がなにか服を持ってやってきた。
「ゆいか!これほしい!」
乃愛が見せてきたのは、黒とピンクを基調として金色の金具がハートマークになっている服であった。
「お、おっきいお嬢さんおめが高いねぇ!そいつぁちょいと高ぇが物魔の防御力が2倍になる効果があるんだ!どうだい、お嬢さんはそれ買うかい?ちなみに銀貨10枚だ!」
戻ってきた店主がわらいながら言う。
乃愛がシノを見る。
シノは考え込んでいる…が首を横に振った
流石に一括で10万も払うのは難しいだろう。
「しの…だめ?」
乃愛が上目遣いでシノを見上げる。
乃愛は相当な美貌をお持ちだ。そしてそれを交渉に使う能力もある。これはシノが篭絡されるのも無理はないだろう…
「う…だ、だめ!今そんなに持ってないし!そんなにだしたら店の営業にも関わるから!」
なんと断ることに成功した。正直驚いたが、やはり対象が女性だと断られる可能性もあるようだ。ちなみに元の世界で男性は100%落ちた。
仕方ないので私は助け舟を出す。
「とりあえず取り置きはできますか?」
「おう。それくらいお安い御用だ!おっきいお嬢さん、お名前教えてくれないか?」
「しろののあ!」
「ほー。名字ありってことは貴族様か、転生者さんかね?」
「私と乃愛は転生者です。」
「ほーお!やっぱりかい。じゃあ、ゆくゆくは冒険者かい?」
「ええ。今は安全なところでお金を稼いで、武器や防具や食料なんかが手に入って自分の力が簡単に死なないくらいまで上がったらなろうと思ってるわ。」
「そうかいそうかい。なら5年はこの街で訓練するべきだな。Lvが20くらいまで行かなきゃなかなか外の魔物とは渡り合えないぜ。ちなみに俺は今Lv75だ。」
「75…すごい…」
シノが目を見張る。約50になるまで15年だから戦い始めて22,3年というところだろうか。店主の見た目は3,40台っぽいのでやはり15歳から20歳くらいでデビューしたのだろう。それがどうして防具屋なんてやっているのだろうか。
「去年親父が襲われて死んじまってな…急に防具屋を継がなきゃならなくなったんだ。今までやってたのは冒険者じゃなく無職で森の魔物退治だったから、なんの抵抗もなく継げたんだけどな。ちなみに、今もたまに森に行ってるぞ。」
森で魔物退治。もしかしたら金儲けに繋がるかもしれない。
「森ってどこにあるんです?」
「森は北門を出てすぐのところにあるが…魔物狩りしたいなら今はやめた方がいいぞ。何故か魔物が増えて、凶暴化してるんだ。今の俺くらいなら一人でぶっ潰せるだろうが、レベル1の女の子2,3人で相手に出来るものじゃない。」
「へぇ〜、行かないように気をつけます」
私は貸してもらった服に着替えながら、このあとどうするか考えるのだった。




