オーバーホール(2)
自称趣味人なオヤジの独り言です。
そう、いつものように……
腕時計が好きだ。
ちょっと古い(50年位前の)機械式の腕時計が好きだ。
特にロービート(5振動や6振動)の腕時計が好きだ。
ということで、またまた修理に出していた時計が出来上がってきました。
国産第三位の多石時計でもあるリコーダイナミックオート45石自動巻き防水ケース入りというもの。
45石の自動巻き時計、今作ったら幾らくらいのプライスタグがつくんでしょう?
まぎれもない高級品、まぁ作らないでしょうけど(笑)
リコーエレメックスにタカノの技術者さんはもう残っていないでしょうし、そもそもシャトーの復刻版を出した時にはムーブメントはETAだったし。
ちなみに石数の一位はオリエントグランプリ100の100石、二位もオリエントのグランプリ64で64石、三位がこのリコーダイナミックオート45石、四位はシチズンクリスタルセブンの43石と続きます。
多石化は五輪開催で世界から日本に注目が集まるのを利用してアピールする意図があったようです。
五輪開催の1964年を記念してグランプリ64が製作され、その後どうせならキリのいい数字でとグランプリ100が企画されました。
セイコーは競争には不参加だったようで一番多かったものでも39石。
金持ち喧嘩せずってところでしょうか(笑)
まぁその影響で海外メーカーでもウォルサムなどの100石時計やラドーの93石なんてものもありましたね。
多石化された時計の殆どは飾り石で性能には関わっていませんが。
そういえば、本物の一流と呼ばれているメーカーの時計は石数を文字盤に表示してませんね。
所謂ラ・テ・ウ辺りのクラスだと表示してますが(笑)
まぁ雲上クラスは自分には買えないし、無理して買っても維持するのが大変そうだし(主に費用面で)
ちょっと頑張れば買えますけど、その後も頑張らなきゃいけないってわけで><
さて、話は戻って機械式時計は多数の細かなパーツが組み合わさって出来上がっています。
以下の文章もご存知の方はスルーして下さいね。
その細かな可動部品は金属なんですが、磨耗防止のオイルがあろうと金属同士だと回転軸なんかは長い期間に少しづつすり減ってしまいます。
その防止策として軸受け部分に人工ルビーなどの非常に硬い輝石を用いるわけですね。
嘗てはその石の数が多いほど高級だと言われていたんです。
実際は17石或いは19石あれば実用上全く問題無いと言われています。
手持ちの17石時計でも30石以上の時計と精度に違いは見られません。
それよりは時計個々の個体差や整備履歴が大きく影響します。
ただ……石数が多い方が気分は良いことは事実。
エエモンなんやでぇ~と主張してきます(時計が)
私自身は100石時計なんて持ってないのでネット画像で見るしかありませんが、飾り石が施された機械は美しいものが多くて物欲が刺激されてしまいます。
自動巻きローターや外周部に人工ルビーやサファイアが規則正しく埋められていて本当に美しい。
但し、ひと頃に比べて値上がり気味でとても入手できませんが><
ウォルサムの100石時計は調べてみると実際に100石使用されていたかどうか疑問ですし、機械自体もごく普通のもの(当時の標準の17石)と共通だったようです。
分解写真を見る限り飾り石の数がそれほど沢山では無かったような……
このダイナミックオート45石も機械自体は33石と全く共通で、自動巻きローターのベアリング12個が人工ルビーに置き換わったものです。
33+12で45ということ。
この個体は東京五輪の少し後くらいの製品だと思われますので、かれこれ50年以上前の生まれですね。
持ってる時計達の殆どがこの頃のものですが、戦後の高度経済成長期でもあり頑張ってる感がヒシヒシと伝わってきます。
今回のこの時計なんですが、実に不思議なところがあるんです。
仕上がったばかりで時間がよく合うのは、まぁそうなんですが。
平置き状態だと若干マイナス気味、日差にしてほんの数秒マイナス。
逆に実装状態だと若干プラス気味、日差にしてほんの数秒プラス。
まだ数日しか使っていないので今後どうなるのか興味深いところです。
現在のところは外している時の姿勢差を利用しなくても殆ど時間が正しく合ってしまうという恐ろしい状態。
半世紀前の機械式時計ですから、まさに奇跡!!
しかもロービートですからね。
この自動巻き機械はセイコーのように両側どちらでも巻き上げるわけではなく片巻き上げだった筈ですが、巻き上げの効率もとても良いように感じます。
現在でも世界中の色んなブランド時計で使われているシチズン傘下のミヨタの機械も片巻き上げですしね。
過去の経験では平置き状態で少しプラス方向、実装で少しマイナス方向というのが通例でしたから少々戸惑っています。
どなたか詳しい方がいらしたら教えて欲しい。
本当に教えて欲しい。
実はこの時計、全く同じものをもう一本持っていてセイコーやシチズンなんかとは違ってマイナーメーカーですから将来の為にと入手したものです。
メジャーどころの製品なら入手しやすいですけど、マイナーメーカーは機を逃すと次はいつチャンスがあるかわからないですから。
もう一本の方は手持ちのダイナミックオート33石と同様にとてもキレイでまるで現行品のような個体で、日常に気兼ねなく使うには少々惜しいのでこちらをオーバーホールに出しました。
45石の18金無垢ケース入りも欲しいんですが、出物自体がありません。
もしあっても高くて手が出ません。
しかし……昔のリコーの機械式時計、あなどれませんよ!!
前身というか時計の中身はマニアが多くてその技術力を評価されているタカノの時計が元になってるわけですし、当然と言えば当然なのかもしれませんが。
そう言えばタカノも中々値が下がりませんね、シャトーシリーズなんかは品があってとても好きです。
日常使用するにはちょっとドレッシーなんですけどね。
リコーダイナミックオート45石自動巻き防水ケース入り
左側がキレイな方で右側が今回の修理上がり品
文字盤の縁の方に変色が見られることや11時~12時の分表示や55表示が消えかけているところが確認できます
わかりにくいんですが右側は秒針がオリジナルではないのか若干太くて短くなっています(折れた?)
左側の秒針は超細くて何だか高級な時計って感じがします
防水ケース入りとは言っても当然防水性を期待してはいけません
SS側、GP側、18金無垢、防水ケースなど色々作られました
この時計はGSほどの高級感は流石にありませんが、56KSあたりとはタメ張れるんじゃないでしょうか
どうでしょう?
スミマセン、調子に乗りました
贔屓目というやつですね、結構気に入ってますから
同じ仕様の33石版もその内入手したいんですが、出物が中々ありません
*撮影時間がズレているので時刻表示もズレてます
この自動巻き機械よりもう一世代後に発表されたダイナミックワイドも良い時計ですよ。
中の機械も新世代のものになっているとのこと。
一応持ってますが、状態の良いものがさらに何本か欲しいと思ってます。
二本、あぁ三本、いやもっとかな……
今持ってるものは時間もよく合いますし普段使いに最適ですから眺めて楽しむ用のキレイなものが欲しいというわけで。
病気ですね、一応自覚はしています。
見た目はまるでR社のデイデイトな時計ですが、この頃は他社の多くも同様でしたから気にしません。
そういう時代の製品です。
以前に曜日まで付いてるものはいらないと書いたことがありますが、このシリーズだけは集めたい気持ちになるのが自分でも不思議です。
久しぶりに使おうと思って曜日と日付けを合わせた後で時間を合わせようとして、つい日付けを進めてしまうところはご愛嬌。
このダイナミックワイドという時計、曜日合わせは針回しで行いますが日付けは二段引き出しになっている竜頭を二段引き出して進めます。
ですので竜頭を引き出す際に勢い余ってついつい日付けを進めてしまうというもの。
思わず「あっ!」という声が出ます。
面倒なのでそのまま出掛けてしまうこともありますよ。
シチズンのオートデーターセブンなんかも同じ機構でしたね。
オートデータセブンは中の機械はジェットのものなので、ジャージャー、或いはシャラシャラと独特の音がするところが好ましい時計です。
ダイナミックワイドデラックスになると2時位置に日付けを進めるボタンが付きましたが、そうでない方が好みです。
より便利な方が使いやすい筈ですが何故でしょう?
全体のデザインのまとまりでしょうか。
便利なことこの上ないオートマチックの車よりマニュアルミッションの車の方が好ましく感じてしまうのと同様かもしれません。
オヤジなだけかもしれませんけどねっ(汗)
左側がリコーダイナミックワイド25石自動巻き
右側がリコーダイナミックオート33石自動巻き
ダイナミックワイドの方は文字盤にかなり痛みが出ています
時間は正確ですけどね(笑)
デイトの位置がIWCのcal.8531ほどではないですがcal.8541よりは寄り目気味
サイクロップレンズついてます
ギザギザなフルーテッドベゼルや王冠を模した「W」マークが益々R社のデイデイトな時計を彷彿とさせてちょっとパチ臭が……
もう一本SS側があり文字盤もキレイですが、ドック入りしてます
このダイナミックシリーズの書体はとても品があって好きですねぇ
ダイナミックワイドは厚みがあります、ダイナミックオートより分厚くてズッシリしていて実際に手に取ると安物感は微塵もありません
ダイナミックオートの方は写真が上手く撮れてませんが、今年作られた新品と言われても信じられるくらいキレイな個体
モノからすればとんでもなく安値で入手しましたが、最近はリコーも少しづつ値が上がってるのでもうあんな値段では購入できません><
こっちは勿体なくて使えない……ってこともなくて普通に使ってますけど
「33」という数字には個人的に特別な思い入れがあるんです
永遠の憧れの車「Alfa Romeo tipo33 stradale」の「33」です
時計とは全く関係ない話ですね、スミマセン
今回掲載した時計も以前に書いたDA◯SOで買ったNATOベルトを合わせてます
最近は写真のようなカーキの無地が個人的にツボです
無地の方はストライプ柄のものより少し地が厚いようです
これだけで何となくミリタリー時計のような風貌に見えるから不思議
この頃のリコー機械式時計の中身は実質タカノですし、そもそもタカノはドイツのLaco(W.W.Ⅱ当時独空軍にパイロット時計を納付していたことが有名)を元にしているわけだからミリタリースタイルが似合って当然と言えば当然ですが
便利なもの(クォーツとか電波ソーラーとか)を使えば何の面倒も無いことは十分に承知してます。
えぇ一応は持ってますよ、何本かは(念の為)
しかしオヤジになると、というか男には譲れぬものがあるんです(言い訳以外の何モノでもないな)