プロローグ
イかれたキャラが書きたくて書きました。良かったら読んでみてください。
「嫌よ、嫌よ、絶対嫌!だって怖いんだもん!痛いんだもん!なんで私なの?私が勇者なんて決めた奴誰よ?!」
「また始まったよ!勇者様の駄々っ子!なんで俺がこんなガキのお守りをしないといけないんだよ。こりゃまたあれしないとなー。」
そう言って男は文句を言う女の子の頭に手をのせる。
「嫌!嫌!それ痛いの!頭痛くなるの!お願い!やめて!」
そんな少女に構わず、男は呪文を唱える。唱え始めると少女はさらに叫びだす。そして、唱え終わると少女は俯く。男は少女に尋ねる。
「調子はどうだ?エリス。」
すると、少女は顔をあげ、ニヤッと笑いながら目をギンギンにして答える。
「最高!今すぐ誰か殺したいの!」
「ああ。今日もちゃんと働いてもらうぞ!」
そんなことが今日も王都の城で行われていた。
この世界は平和だった。なぜなら勇者がいたからだ。勇者が魔族をほとんど殲滅してしまい、人間がこの世界の天下を取ったのだ。
今、一人の魔族の青年が旅に出ようとしていた。彼は母親と二人暮らしだったが同じ魔族を探して旅に出る。
「ルゼフ、気をつけてね。特に勇者には気をつけて。魔族だったら女でも子供でも関係なく殺すらしいから。」
「分かってるよ、母さん。角も隠してるし大丈夫だよ。」
「そう?あなたにもしものことがあったら死んだお父さんに申し訳ないわ。」
「大丈夫だよ。魔王だった父さんの代わりに今は僕が魔王なんだ。魔王の役目を立派に果たしてくるから。」
ルゼフの父、魔王は2年前に勇者に殺された。勇者が襲撃の際、ルゼフと母は命からがら逃げ出して人気のない森で暮らしていたのだ。
そして、ルゼフの魔王の役目を果たす時が来た。それは魔族の復興だ。魔族の生き残りを集めて、魔族をもう一度復興させるのだ。
「じゃあ、そろそろ行くね!母さん、元気でね!」
そう言って手を振るルゼフ。ルゼフは旅に出た。
一方、その頃、先ほどの少女は王都に帰ってきた。しかし、その姿は魔族の血でまみれており、右手には刃に血がべっとりついた刀を、左手には魔族三体の首を持っている。顔はずっと無表情だ。街を歩く彼女に街の住人達は、
「ああ、また勇者様が殺したのか。いつ見ても気味が悪いな。」
「ほんとに英雄なのか?ただの殺人鬼にしか見えないだが…」
「魔族もかわいそうだよな。何もしてないのに皆殺しにさせられてな。」
こんな声があちこちから聞こえてくる。勇者を褒めるような言葉は一切ない。
そして、少女は王城に帰ってきた。一人の青年が警備の兵士とともに出迎える。
「おかえり。今日もご苦労だったね。えっと、勇者。」
少女は無表情から一変晴れやかな笑顔になった。
「ただいま。ブワル。今日もいっぱい殺してきたよ♪でも、全然弱かったの。全然物足りないわ。今からまた狩りに行っていい?」
「構わないとも。だけど、そろそろ魔法が切れる時間だ。少し休んでから行くといい。それに
体を洗った方がいい。」
少女は自分の血まみれの体を見る。
「確かにそうね。じゃあ風呂に入ってからまた殺しに行こう♡」
「そうした方が良いね。」
そう言って少女はスキップで去った。立ち去る少女を見ながらブワルは警備に、
「おい、あれの名前ってなんだっけ?」
「は!エリスという名前だと思います。」
「そうだった。そうだった。まぁ、道具に名前なんかあったって意味ないけどね。」
そう言ってブワルもその場を立ち去る。少女は自分の立場も何も知らない。利用されてるだけとは知らず、今日も魔族を殺す。
読んで頂き、ありがとうございました。
良かったら、ブクマや評価をよろしくお願いします。