十一議会①
参謀室に揃った面々をひとりずつ見ながら思い出していると、強面の男性から一斉に視線を浴びる。
縮こまって言葉を出せないでいると、重厚な鎧に身を包んだ男性が口を開く。
「王よ、我等を召集して何の用ですかな」
「は、はい。えっと……」
エルが用意してくれた資料を見て、戦争を始めると言う国の名前を確認する。
「デルタイル帝国から、人類連合に参加するよう要がありました。いえ、これは命令とも言えます」
当然その誘いがあった事は、重臣である貴族や将軍の耳には入っている。
だがこの態度を見ると、全員が参加に賛成しているようであり、最早集めた意味すら無く思えてくる。
だが、そんな中が手を挙げた将軍が立ち上がり、
「無闇に戦をするのは民の為になりませんな、それも他国の私利私欲ならば尚更。私は反対しますぞ、皆はどうかな」
机に両手を付いて前傾姿勢になった将軍が、座っている貴族たちをひとりひとり見ていく。
突然こちらに向いた将軍は、私の顔を見て胸に右手を添えて豪快な笑顔を作り、
「申し遅れました王よ、諸事情があり戴冠式に出られなかった事、申し訳なく思っております。この国の将軍をやらせてもらっております、ガルドナル・ミズルドです」
「宜しくお願いします、ご意見ありがとうございます。皆さんの本心はどうでしょうか」
突然の自己紹介に焦ったが、これを上手く使わせて貰って、皆に己が腹の内を吐く事を要求する。
その言葉を受けて次に副将軍が手を挙げ、鎧の胸を叩いて意見を述べる。
「俺も将軍と同じ意見だ、民を死なせたくない、そして戦争になると民が苦しむ。今の状況で戦争が始まればたちまち反乱が起き、貴族の屋敷を次々に襲い、最後はこの城にまで攻め込んで来る」
その意見を聞いて隣の者と雑談を始める貴族たちを黙らせる為、机を掌で叩く。
「ひとりひとりの意見を聞いています、相談の必要など皆無です。言った筈です、腹の内をお聞かせ下さいと」
少し痛かった右手を机の下に隠して、太股の下に入れて痛みに耐える。
叩くのはやめておいた方が良かったと後悔しているが、雑談は無くなり、皆の視線が一斉に私に集まった。
それでも誰ひとりとして挙手しない為、目を逸らしたやつから当てて行く事にする。
