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笑顔の女神①

再び訪れたデルタイル帝国の使者は、腰の剣とは別に、もう1つ剣を左手に携えていた。

この剣はもうひと振りこちらにもあり、あの左手の剣が意味するのは、2度目の遠征という事になる。


謁見の間で使者を迎え入れると、男は椅子にも座らずに話を始める。


「2度目の遠征だ、前回から間を入れずに出るのは、敵に態勢を整えさせぬ為だ。当然参加するであろう」


「心苦しいですが、今のパレス王国には、出せる兵は1人も居りません。前回の無理が祟り、この国は最早治める事さえ危ういのです」


「そうか、ならば我が帝国がこの土地を有効に使わせて頂こう」


そう言って右手に光を灯した男は、城の外に向けて光を飛ばす。

踵を返して城から去っていった男の光を気にしながら、最上階に駆け上がり、王都の様子を見渡す。


「異常は無いですね。ナハトさん、光を追って来てくださいませんか?」


真面目にいつも傍らに控えているナハトにそう頼むと、ふたつ返事で、魔力の翼で飛んでいく。

急いで階段を降り、多くの騎士とスレ違いながら中庭に駆け込み、予想通り中庭に居たチェリーとリュリュを見つける。


「どうしたのかなクライネ」


私の様子を見て何かを察したのか、チェリーは少し緊張した面持ちで、私に問う。

背後の中庭の扉が勢い良く開かれると、私の後を追って来たであろう、軍師が息を切らして歩いて来る。


「あの光は……何なんだ」


「デルタイルの使者が放ったものです、王都に被害は出ていないんですけど、やっぱり何か……」


「報告します、デルタイル帝国騎馬5000が、植民地であるメーリア国から、このパレスに向かっているとの事です、ナハト様からあった報告なので確実かと」


「そうですか、今から兵を纏めて出たとしても、行けるのは王都から2つほど離れた砦、最悪、王都から1番近い砦ですね」


1秒でも早く出撃する為に、ガルドナル将軍の下に行くと、男が放った光と、同じような光が私の隣に並ぶ。


「私が足止めします、その間に準備をして下さい。御武運を」


「待って下さい、1人で5000は不可能です、ナハトさん!」


「無駄だよクライネ、それは一方通行の伝令魔法だから。私がクライネに付いてるから、リュリュはナハトに加勢してきてくれないかな」


「それなら、私も連れて行ってくれないかな。このガルドナル、必ず食い止めてみせますぞ」


「お願いします、私たちもすぐに行きます」


リュリュの細腕に持ち上げられ、ガルドナルと共に飛び去った後ろ姿を見届け、すぐに伝令を飛ばして騎士を集める。

そうして王城の前に集まった騎士は、貴族の私兵を合わせても、僅か1000人、とてもじゃないが、5000を打ち破るなど不可能だ。


龍力が戻っていないヨルムは休憩の為に城に残り、ジャンヌと軍師とエルが、本隊に同行することになった。

リーザは戦闘に向かないと言って断念し、副将軍のテオドール・アドルノと言う青年が、指揮を執る事になった。


「パレス騎士出ます!」

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