5話 想い。
5話 想い。
ある日突然、春は何かをノートに綴り始めた。
「何かいてるの?」
そういって、誠が覗き込むと
「ヒミツ!」だなんて言って、見せてもらえなかった。
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そして今日。
2002年1月4日
春は別の世界にいってしまった。
「春…先にいっちゃうなんて、ひどいよな…」
正直言って、すごく泣きたかった。
でも、なぜか涙がでなかった。
こんなにも寂しくて、切なくて、つらいのに。
やっぱ僕は〝変わり者〟なのだろうか。
いろいろと考えながら、
春の残していったものを整理していた。
「あ、これは…」
鍵のついた扉のなかにあったのは、
いつ、見せてといっても、決して見せてくれることはなかったあのノートだった。
「春、見せてもらうよ。うんいいよ。」勝手に答えちゃって、怒られるかな
なんて言いながら、表紙を一枚めくった。
そこには、大きく
<大好きな誠へ>
そう書かれていた。
へ?僕宛?
疑問に思いながらページをめくっていった。
春のノートに書かれていたのは、
誠のことや夢のことだった。
『誠へ、先に居なくなってごめんね?
実は、そろそろだってことは、誰よりも一番気づいていました。
日に日にます体中の痛み、精神的な苦痛。でもそれを癒してくれるのは誠でした。
きっと誠がいなかったら、今の私はいないと思う…
私ね、本当は誠といっぱい話したかったんだ~
でも、もう残された時間はすくないから、こっそりノートに綴りますね。』
まだ、読み始めてすぐなのに、誠は涙がこぼれそうだった。
あぁ、これが涙なのか?
生まれて初めて実感する涙。変な感じだった。
『私、最近よく夢をみます!!
あのね!誠の夢なの!その夢は誠が私に永遠を誓ってくれる夢…。
あーあ、現実にならないかなぁって毎日思います。
どうやら、ウエディングドレスを着るという私の夢は叶いそうにないです…。(´・ω・`)』
気遣いのつもりか、顔文字が書かれていた。
その顔文字をみると携帯の顔文字を必死に写す春が目に浮かんで、なんだか微笑ましかった。
『あとね!誠に好きって伝えたときのシーンとかがね!頭の中をぐるぐる~って巡るの!
これって〝走馬灯〟?なのかな…?私やっぱりもう死ぬのかな。
「そんなこというなよ」って絶対口ずさみそうだね、誠は(笑)』
ほんとに口ずさんでしまった誠は恥ずかしくなって
「ごめんな口ずさんで!何で知ってんだよ」
と顔を赤らめながらぶつぶつといっていた。
『あー聞いて聞いて~あのね!今日天使が手招きしてる夢をみたの!
お迎えなのかな~っておもっちゃった!(笑)
でもね!わたしまだ誠と離れたくなかったから、まだ行かないって言ったのよ?えらいでしょ~(笑)』
誠は目をうるうるとさせた。
実は誠も走馬灯や天使が迎えに来る夢を見ていた。
でも、春と同じように『まだ行かない』と同じことを言っていた。
「似たもの同士かよ…」
口ではそういったものの
本当は、すごくうれしかった。
『誠、わたしはもうだめみたいです。
なんだか、目がよくみえません。
最後に、これだけ、伝えますね。
誠、愛してます。先にいって待ってるから、ゆっくり来てね。』
最後はガタガタに書かれた文字。
「なんで、春が先にいなっくなっちゃうんだよ。」
まだ受け入れられなかった。
なにかのドッキリだ。そう思う…いや、そうとしか思いたくなかった。
「すぐに逝くから…待っててね。愛してるよ。これからも、ずっと…」
閲覧ありがとうございました!!
いやぁ…毎回思うんですが、
小説書いてると、ついつい感情がこもっちゃって、こっちまで泣きそうになります((ぉぃ
次ーか、次の次ぐらいで完結するとおもいます。
レビュー感想お待ちしております!
よろしくお願いいたします!