3話 新野 春。
3話 新野 春。
「ま…と…わたし…ね」
今の春に数か月前のような元気はなかった。
精神的なストレスのせいで春は声も出ずらくなっていた。
かすれた声で必死に話して、苦しそうにほほ笑む春をみるのはつらかった。
そんな状況で春が話してくれたのは、子どものころからの話だった。
春は1981年6月生まれの末っ子として新野家に産まれた。
上は兄と姉で、二人とも成績は常に学年トップだった。
春は昔から勉強が嫌いで中学3年生までダラダラとしていた。
そんなある日のことだった。
春に居ても立っても居られなくなった両親は鉄格子の部屋を作りそこにいれた。
そして、1日10時間以上の学習の強要。
部屋には監視カメラが設置されてあって
1時間以上の必要以外の睡眠はもちろん
遊ぶのだって携帯の触るのだなんてもってのほか
許されるはずもなく、おかまいなしに親からのお叱りという名の虐待を受けた。
今思えば、どうして警察を呼ばなかったのだろうか…。
きっと怖かったのだとおもう。
携帯が親に盗聴されているのは薄々気づいていたから。
もしあのとき警察を呼んでいたなら…春の肉体は今頃
ボロボロになってなくなっていたかもしれない。
高校入学と同時に荒野家は春一人を置き去りにして
どこかへ消えてしまった。
孤独などなかった。
悲しみもなく、あるのは困惑と怒りだけだった。
両親の希望する、県でトップの公立高校に入学したのに
なぜ、置き去りにされたのかいまだにわからない。
春はそんな話を「今じゃ笑い話なんだけどね」と笑いながら言った。
誠はなぜか怒りがこみ上げた。
「なんで春の両親はそんなことしたんだろうね、見つけたら僕がぶん殴るから」
そんなこと、生まれて初めて発したかもしれない。
自分でもかなりびっくりした。
そんな誠に春は冷静に言った。
「きっと今頃、田舎で畑でも耕してるよ」と。
そんな春を見てるの自然と涙がこぼれた。
「ね…、ふ…もった…ん…だ、けど」
ぼーっとしてると、春が息苦しそうに「ふと思ったんだけど」
といってきた。
僕は慌てて、どうしたの?と答えると
春は何かを紙に書いて、ニコッとしながらその紙を渡してきた。
疑問に思いながらその紙をみると
〝今思ったんだけどね?私たちって17も離れてるんだね(笑)〟と書いていた
確かに、年齢差とか全然感じていなかったけど、よく考えると春が34で、僕が17か…。
「そうだね、全然感じないね」といって
春に返そうとすると、なにやら口パクとジェスチャーで〝う・ら〟といっているようだったので
裏をみてみると
〝誠好きだよ♡〟だなんて書いていた。
顔を赤くさせながら、春の方をみると、毛布を目の下まで上げてなにやら恥ずかしそうにしていた。
「僕もすきだよ。大好き」
そういって、手をつないで向き合って眠りについた。
2人に残された時間が少ないことはわかっているけど、
2人はそれを受け入れられなかった。
ずっととか、永遠だなんて言葉はないけど、
もしかしたら。
そんな言葉を信じることしかできなかった。
閲覧ありがとうございました(´;ω;`)
感想やデビュー、いただけると嬉しいです・・・(/ω・\)チラッ(*ノωノ)
4話以降もよろしくお願いいたします(o_ _)o))