(1)腕力ハラスメントによる形成
ここでは、分かりやすく男子を例にとり、話を進めよう。
子供暴力組織の形成の端緒は、子供同士の初対面の際にある。
大人なら、名刺交換、自己紹介、挨拶で始まる人間関係。
それが、子供の場合は、腕力ハラスメントから始まる。
一対一の初対面で、それはごく普通に、日常的に行われる。
手段は具体的には、相手の肉体に1発蹴りを入れるか、殴りかかることによる。
そして、次の瞬間に一対一の初対面の子供2人に、上下関係が生じる。
相手が反撃してきて喧嘩になれば、腕力を互いに認め合う対等の関係が成立する。
相手が反撃してこないか、反撃が弱いときは、攻撃側が上位になり、相手は下位と認識される。
この腕力挨拶が、一対一の初対面の際にあちこちで行われる。
1週間もすれば、クラスの男子全員に厳然たる上下関係が形成される。
腕力挨拶の連戦連勝者が男子組織のボスになり、ここに子供暴力組織が成立する。
また、腕力挨拶の連戦連敗者が、子供暴力組織から最弱と認識され、いわゆるサンドバッグ者と扱われることが決まる。
成立した子供暴力組織の最小のものは、数人規模である。
その構造は、ボス、数人の舎弟、使い勝手のいいパシリ舎弟、そして普段は組織外に存置され鬱憤晴らしの際に呼ばれ使われる(つまり殴られ蹴られ足を引っ掛けられ嫌がらせをされ金銭を巻き上げられる)サンドバッグ者となっている。