決着の時
第一部・終幕
負けのなくなった八王子軍団。リラックスムードで斉木が前に出る。一方のジミーには悲壮感が漂う。柔道技を得意とする斉木は相手の懐に飛び込みたい。必然的にジミーは距離をとって戦うことになる。
ヤンキー特有のバカみたいな怒声もなく静かな立ち上がりだが、次鋒戦とは比べ物にならないほどの緊張感に包まれていた。
こういうときはジレたほうが負け。業を煮やした斉木が強引に掴みにいこうとした瞬間、ジミーの右ストレート一閃!
斉木はそのままうずくまり、押さえた口からはボタボタと大量出血。グロテスクな光景に観客たちの顔から血の気が失せていく。
「勝負あったか」
誰もが思ったが、うずくまったままの姿勢から一瞬でジミーの足をとった斉木がいとも簡単に寝技に持ち込むと、ギリギリと締め上げ、あっけなくギブアップを奪ってしまった。
勝負は決した。3勝1敗1分で八王子軍団の勝利だ。しかし斉木の出血は止まらず、そのままタクシーで病院に直行、大事をとって入院することになった。
ただひとり外的ダメージを負っている斉木(顔が腫れ上がってしまった)が入院し、しばらく学校を休んだことで、団体戦は学校側に知られることはなかった。
その後、騒動を牽引した格好のジミーは居心地の悪さを感じていたようで、夏休み前に自主退学の道を選んだ。もともと帰国子女で頭がよかったこともあり、レベルの高い海外の学校に入り直すとかなんとか、風の噂で聞いた。
ジミーが学校を去る日は、八王子軍団も総出で見送った。超美人の母親と一緒に職員室から出てきたジミーは、少し照れたような子どもっぽい表情を浮かべていた。