梶川の舞
ディスチャージ・デイズ第11話
副将戦は黄金カードになった。笑顔の悪魔・梶川と筋金入りのパンクス・ネギ。ネギは精悍な顔つきに逆立てた髪の毛が印象的な男だ。
2人が対峙しているだけで画になる。女子が見ていたら嬌声があがったことだろう。しかし残念ながら観客は野郎率100%である(別学の悲しさ)。
早く出番がこないかとウズウズしていた梶川は勢いよく飛び出すと、腰を落としてタックルでネギで倒しにかかる。ケンカ慣れしていそうなネギはパッと身をかわすと、くるりと回って梶川の背後をとった。
強引にふりほどいた梶川は、振り向きざまに右を1発入れようとするも不発。よろける梶川を掴んだネギは右膝で顔面を捉えた。
鈍い音が響くも、梶川はニヤニヤしながら左頬をさすりつつ、意に介さないといった風情で反撃に出る。
あっけにとられているネギの髪をガシっと掴むや、得意の頭突きを1発、2発、3発…。
ゴツ、ゴツ、ゴッ!と薄気味悪い音が鳴り響く中、どうにかこうにか両手で梶川を押し戻したネギは、頭を抑えながらフラフラ後ずさりを始めた。
「おーい、どこに行くんだよー」
満面の笑みを携えた梶川が跳び蹴りをかます。どうにか両手でガードしたネギだったが、よろよろと尻持ちをついてしまった。
ここぞとばかりに、リズムをとりながらネギのことを蹴りあげ始める梶川。ネギは亀のように体を丸めて防戦一方となってしまった。
飽きてきたのか梶川は蹴るのをヤメ、「立とうぜ、パンクの兄ちゃん」と一声かける。
ガッチリとガードをしていたおかげで大きなダメージのなかったネギは、 泥だらけになった制服の上着をはたきながら「うわさ通り、すごいな」と梶川を称えた。そして「負けた負けた」と言いながら背を向けてしまった。
「もう終わりかよォ~」
名残惜しそうに声をあげる梶川。ギャラリーサイドも、もう少しこの勝負を見たいといった空気が流れていたが、すでに一服つけ始めたネギの戦意は戻りそうにない。
そんなネギを苦々しい顔で一瞥するジミー。ポイントを逆転して余裕の笑みの斉木。大将戦は荒れる予感しかしない。