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少年の詩

『adolescenceの透明』


確かにあるはずなのに 指先は見えない

出口のない鏡の迷路

閉じ込められた光がやがて

抗いながら 消える


思春期の透明


透明が生まれる

砕けた僕の心臓

思考は現実を突き抜けて

もう遠くなってしまった

僕の肉体を探す


仮想の檻の中から

冷めた目が社会を追う

確かにいるはずの僕を通り抜けて


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

『針とパズル』


針を呑んだままパズルは砕けた

欠片の痛みと とげしい痛みを

のぞいても のぞいても

丹念に取りのぞいても

針は抜けずにパズルは喪った


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

『神官』


神々の夢のまにま

私たちは生きる

不可能ごとを目指して

神々はまぶたを閉ざし

ためいきを語る

自由で安定した世界を創りあげる

あきらめ切れぬ その夢


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

『孤独になれない』


本当の孤独なんて

知ることはできないんだ

へその緒を切っても

血は続いている

両親をシチューにして

残さずすべて平らげても

両親の両親が

両親の両親のそのまた両親が

この世に生きて存在していた永遠連鎖のなかで

本当の孤独なんて知ることはかなわない


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

『花吹雪』


さやさやと風が鳴く日

花がひとひら

読み止しの本にまるで栞のように


そのうちふと

呼ばれたふうな心持ちで目を転ずるも

もはやなにもない

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