腐ったブタ
同時刻、エルの舞台裏であるストリッパー達の化粧部屋。
妖しく光るライトに、男性達を惹きつける為の衣装を身にまとった女達。その中の数人が吸うタバコの煙は部屋の中に充満しており視界を曇らせるほどだ。
「今日は貸し切りだってねぇ。一体どんなスターが来るのさ」
化粧台の大きな鏡の前に座りアイラインを入れている最中の女が、横に居るもう一人のストリッパーに向け話しかけた。
話を振られた女は足を組み、ゴシップ誌を読んでいる。いかにも気だるそうに相手を視線だけ向け答える。
「ドスターだって。オーナーが言ってた」
「ああー、あの甘ったるい匂いのする成り金ブタ」
二人の後ろで下着を外していた女も、話を聞いていたのか罵りを加える。
「あのくっさいブタ。半分腐ってんじゃなーい?」
もう一人が言ったドスターへの罵りに、二人は笑う。一人はタバコにより声帯がイカれた濁声で。もう一人は、耳を劈くような高音で。
「はははは! あれ半分じゃなく全部」
「キャハハハ! 全部って……そりゃ生ゴミの臭いしちゃうー」
そしてもう一人も一緒に笑い、更に言う。
「うっふふー。全部腐ってるのに何で此処に来てるのかしら。ペニス腐ってたら使い物ならないのにねー」
それを聞いた二人は、尚の事声の量を上げて笑いだし、その後も三人が飽きるまでドスター罵倒し続けた。