怪しき者々
ドスター暗殺を打ち合わせたその翌日の夜、実行は時はもう訪れるのか。ゲイルはどう奴を仕留めるのか、ブラウンの笑声は何を意味したのか。訊くよりも目の当たりにした方が面白くあるだろう。
午前零時、クラブ「エル」前の通りにて、だ。
まだドスターの車は到着していない。あの二人の推測通り、通りには人ごみがひどく、おまけを言えばそこらじゅうにがガラクタが散乱している。怪しく光る街頭の光は、通りを見渡すにはあまりに少なく目で見える人、以上に気配では大勢に感じる、そしてそのほうが正しいであろう。
この中、ゲイルは何処に身を置き機会を待ち受けているのだろうか。
彼らの話から察するにゲイルは店内に潜むとは考えにくい。通り、ドスターが移動する為に外へ出てくる僅かな時を狙い彼は行動するはずだ。だが、彼らしい存在は見つける事が出来ない。
裏路地への入り口、ビルの廃墟にうずくまるフードを被る男。怪しくはあるが、風貌は老人、見た目から推測するに年齢は半世紀を余裕で越えていそうだ。
黒人の麻薬売りがクラブの方をじっと見ている。だが、ゲイルは黒人では無い、詳細は定かでないにしろ白人種であろう形容。それにアロハシャツにジーパンという軽装の中に、ドスターを仕留めるための道具が存在するとはこれまた考えにくい。