暗殺のイメージ
クラブ「エル」の入り口を正面から写す一枚の写真。ゲイルはそれに注目した。
「ドスターが帰る状況を教えてくれ」
「来る時はいいのか?」
「余計な事はいい。とにかく教えてくれ」
「わかった。基本は変わらん、周りに護衛が三人付き入り口に用意した車に乗る。あとは――」
「待った。繁華街の様子はどうだ」
「そうだな、来るときに比べ多少減ってはいるが大した変わりはない」
「マスターが予想する時刻はどれくらいだ」
「大体三時から明朝にかけてと思う」
ブラウンが言った後、ゲイルはふっと笑う。既に空のコーヒーカップを見、何かを確信したかのように二度三度頷く。
「マスター。悪いがあと二回のチャンスは必要ない。そして、また悪いが一つ、頼みごとがある」
「ほう、大きく出たな」
「いいか?」
「ああ。だが俺に出来る範囲でな」
「問題ないさ。マスターにとっては簡単な用だ」
再び入り口の写真を見るゲイル。その頭には、恐らくドスター暗殺のイメージを浮かべているのだろう。一息ほどの間が経ち、ブラウンへ顔を向け、仕留める為の、ブラウンへの注文をする。
聞いたブラウンは、またよく低音が響く笑声を響かせる。