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ある冒険者の悲しき真実

作者: 文月みい
掲載日:2026/01/31

 子供の頃、町が魔物に襲われた時に、冒険者が助けに来てくれた。


 剣や魔法で、次々と魔物を倒していく姿は、強く勇ましく、俺の憧れの職業になった。


 俺も大きくなったら、冒険者になって、ダンジョンを攻略したり、いろんな所を旅しながら冒険がしたい。


 よし、冒険者になろう。


 まずは、強くなるために特訓だ。

 毎日、木の棒を振り回してたら、運良く剣士の能力に開花した。近所の同年代の子達の中では、俺は最強だ。目指せ最強剣士! 

 もっと強くなって、Aランク、いや、Sランク冒険者になってやる!


 親に話すと、俺が冒険者になることを応援してくれた。家族の応援は心強い。

 


♢♢♢


 そして、大人になり、念願の冒険者になった。すぐに仲間もでき、パーティーを組んで依頼をこなしていく。

 順調に冒険者として、成功していくはずだったのに…。




 いやいやいや!待って!聞いてないよ!


 「今日はここで休みましょう」って、笑顔で言われても、えっ?何かの間違いでは?


 冒険者の旅って、野宿が当たり前なの?


 嘘でしょ!聞いてないって!


 俺は、綺麗好きなんです。外で寝るとか無理なんです。魔物は大丈夫だけど、虫は苦手なんです。野宿してて、顔に虫が飛んできたら、どうします?

怖いですよね。ムリー!


 えー、お風呂も入れないの?無理だよ。


 さっき、魔物を倒して返り血浴びちゃったんですけど、どうしよう。

 魔物の血に釣られて虫とか来ない?大丈夫?


 はぁ、宿屋に泊まるから、温泉入るぞ!って楽しみすぎて、いつもより余計に返り血浴びちゃったよ。

 お風呂入れないなら、魔物も何かこう、上手く、ちょいって切って血が出ないようにしたのに、派手にヤっちゃったよ。


 俺って、毎日、お風呂に入りたいタイプなんです。汚れや臭いに気をつけてます。 


 もし、「あの人、なんか臭くない?」とか思われたら、ショックで闇落ちして、世界滅ぼしちゃうよ。


 はぁぁ。綺麗にしたい。体洗いたいお風呂に入りたい。


 えっ、近くに川があるって?無理です。冷たい水に入って風邪引いたら大変だし。


 あぁ、何かストレスでお腹痛くなってきたな。トイレはどこかな?


 まさか…。トイ…レは、あり…ますよ…ね…


 いやー!野宿だからトイレも自然にって、絶対にダメだって。


 お尻を何かにガブッて噛まれたらどうする。

または、虫にお尻を攻撃されるかも。カマキリとかオウサマバッタとか。バッタ界のオウサマだから、不敬になるかもよ。


 そもそも、宿屋に泊まるって思ってたのに、それが普通じゃないなんて。

 うちの町に来た冒険者達は、みんな宿屋に泊まってたよ。野宿なんてしてなかったし、そんな人いなかったけどな。

 誰も、野宿したことありますって顔してなかったよ。宿屋サイコーって顔してたし。


 冒険者は、野宿が当たり前ですって、誰も教えてくれなかったよ。教えて欲しかったな。


 俺はいったい何のために冒険者になったんだ。


 あんなに憧れてたのに、野宿の事を思うと辛くて、耐えられそうもない。

 清潔でいられないなんて、冒険者って何て大変な職業なんだ。


 やっぱり、冒険者になる人は選ばれた人なんだな。


 好きなことや、なりたい職業が、自分に合うとは限らないんだな。


 はぁ、野宿さえなければ、俺だって冒険者が続けられるのに。俺の綺麗好きな所さえなければ…。


 みんな、すまない。俺は野宿に耐えられそうもない。今から猛ダッシュで町まで行って、宿屋に宿泊するから、また明日合流しよう。


 えっ?次の町まで山越えするから大変だって?そんなの野宿に比べれば楽勝だ。


 それじゃあ、温泉目指して、いってきまーす


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