第4話 俺の部屋にもう一人、知らない女がいたんだが?
俺の部屋の中に女の子がいる。
こんな怪奇現象、夢でもあり得ねえ。
なんなんだ、これ?
「さっきからなにブツブツ言ってんの?」
ルーナが顔を覗き込んでいる。
少々ロリっぽくて、性格が残念だが可愛いっちゃ可愛い。
「――って、あーーーーっ!!」
突然、ルーナが叫んだ。
「うおっ! ビックリした!」
「やっばっ! 道閉じちった」
モニターを見ながら、ルーナが眉をひそめる。
「何の話だ?」
「あっちとこっちを繋いでた空間ゲート。完全に……消えちゃった、かも」
「それってヤバいんじゃないか?」
「ま、いっか。帰れなかったら……ここに住めばいいし?」
よくねえよ。どう考えてもマズいだろ。
もうちょい深刻に捉えてくれって、マジで。
奇怪な女と同棲とか、最後に死ぬやつじゃねーか。
「それよりさー、結構、ヤバいよ」
「なにがだ?」
「生気。吸われ続けてる」
「誰にだ?」
「その女の人」
ルーナが俺の後ろを指差したので、振り向く。
思いのほか、真後ろにいた。
……お菊ちゃんが。
「ぎゃああああああ! ななななんで? いつからいた?」
「最初から」
お菊ちゃんが弱弱しくピースをする。
「馬鹿な! 撒いたはずだ!」
お菊ちゃんがフルフルと首を横に振る。
「真後ろにいたから」
「なん……だと……?」
ピッタリ真後ろにいて、気づかせなかっただと!?
お菊ちゃんって中国拳法を使う海王なのか?
「ね? 邪気がついてたでしょ?」
ルーナがどや顔で控えめな胸を張っている。
「よ、よし! じゃあ、祓ってくれ、邪気を」
「合点承知の助!」
ルーナがドンと胸を叩く。
「げほっ、げほっ!」
強く叩きすぎたのか、咽ている。
「そういうのいいから」
「……よ、よーし、それじゃーいくよー! み~こ~み~こ~!」
かめ〇め波の構えだ。
……てか、さっきと仕草違うくね?
「破ーーーーー!」
往生際が悪い。
そこまでパクるなら『波』でいいだろ。
とにかくルーナがみこみこ破を放った。
そして――。
何も起こらなかった。
「おい……。出てないぞ、何も」
「やっぱダメか~。しゃーないね」
「なんで撃った?」
「ノリで出るかなーって」
「いいから、さっさっと祓ってくれって!」
「やだなぁ。できるわけないじゃん。私、巫女だよ?」
え? 巫女ってそういうのが仕事じゃなかったっけ?
てかできないなら、なんで来たし?
「あ……ああ……」
みこみこ破にビビッてしゃがんでいたお菊ちゃんがすくっと立ち上がった。
鬼の形相だ。
足元には割れた皿が散乱している。
「8枚、足りない!」
そう言って襲い掛かってきた。
いや、割ったのお前だよ!
人のせいにするなっ!