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第3話 画面の中の巫女が、俺の部屋に降臨した件

「いやあ、やればできるもんだねー。さすが私! さすが神環の巫女候補! イエーイ!」


 さっきまで寝ていたかと思いきや、いきなりのハイテンション。

 全くついて行けない。

 

 まるで視聴者のことが見えていないな。

 駄作極まれりだ。

 見て損した。


 リモコンを手に取り、モニターを消そうとした瞬間――。


「わーわーわー! タンマタンマ! ちょい待って! 消さないで!」


 少女が手を振って慌てている。

 どう考えてもこっちが見ているとしか思えない。

 

 ライブか? 動画の皮を被ったライブなのか?


 いや、んなわけない。

 ライブだったとしても俺の方はカメラがついてない。

 どうやったって、あっちから俺のことが見えているわけがない。


 もしかして声は届いているとかか?

 マイク入ってたかな?


 まあ、どっちにしても声とか聞こえてるのは嫌だな。

 消すか。


「むむむ! 見えます、見えます! あなたの傍に邪気がついているのが!」

「……見えるのか?」

「んー? 女の人? 髪が長くて、なんか白い変な服着た人」


 その姿、覚えがある。

 ……お菊ちゃんだ。


 けど、なんでこいつがそれを知ってるんだ?

 

「おや? 白い平たい物を持ってるね」

「皿か?」

「へー、皿っていうんだ、あれ」

「……おい、俺の声、聞こえてんのか?」

「なんで、枚数、数えてんだろ?」

「いや、聞けよ、俺の話!」


 すると画面の中の巫女がハッとして、「メンゴメンゴ」と謝ってくる。


 はい、こっちのこと見えてて声が聞こえるの確定。


 どうなってんだ?

 もしかして俺の部屋に隠しカメラとか仕掛けられてんのか?


 ……はっ!?

 まさか、キュン子の仕業か?

 ドッキリか?

 俺がチャンネル登録を解除した腹いせか?


「おけおけ。それじゃ、超絶美少女巫女のルーナちゃんが、さっそくあなたの邪気を祓ってあげる!」


 ルーナって。

 普通、巫女とかなら和風な名前にすんじゃね?

 設定ガバガバだな。


「いくよー! んーーー!」


 ルーナは胸の前で両手をクロスさせる。

 そして――。


「やーーーー!」


 両手を開いて、こっちに向けた。


「……」

「……」


 しばしの沈黙。


「どう?」

「なにがだ?」

「邪気。祓えた?」

「俺に聞くのかよ!」


 その辺は自分で「邪気は祓われました」とか言えばいいのに。


「んー。やっぱ、空間越しだとわかりづらいなぁ。……あれ? あんた神気高いね。これならルート繋げれるかな?」

「なんだ、神気って?」

「……あ、いけたっぽい! やるじゃん、私! よし、そっち行くね」

「は?」


 ルーナがそう言った瞬間、モニターの画面がパッと真っ暗になる。

 そして眩しい光が弾けたかと思うと、目の前に――。


「やっほー!」


 あの画面の中にいた、青髪の巫女――ルーナが、現実の俺の部屋に立っていた。

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