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第11話 巫女と友達と、切羽詰まったコラボ依頼

「……自分だけじゃなく、あたしにまでサボらせるなんていい度胸だね」

「す、すまん、田中……」


 なんだかんだ文句を言いながら、急な呼び出しにも応えてくれる田中。

 口が悪いが、良い奴なんだよな。


 そんな田中を、ルーナがジッと凝視している。

 田中の巨乳を。ガン視している。


「これが……異世界クォリティ……」


 やめろ。

 今のご時世、女でもコンプラに引っ掛かるぞ。


 田中は気付いてないからいいけど。


「それよりさ、この子……」

「ねえねえ、この人」

「「誰?」」


 ルーナと田中に、同時に尋ねられる。


 そりゃ、そうだよな。

 なんも説明してないもん。


 じゃあ、まずは田中から。


「えーと、大学の、唯一の友達の田中玲奈だ。目付きは悪いが、良い奴だぞ」

「目付きは悪いは余計だ」

「で、こっちはルーナ」

「ルーナ? 外人……か」


 田中がルーナの青い紙と目を見て、「なるほど」と頷く。

 しかし。


「なんで、外人の女の子がお前の家にいるんだ? ……あ、まさか!」

「ち、違う! 誘拐なんかしてない……」

「妹か」


 ……なぜ、そうなる?

 え? 田中、お前、俺のこと外人だと思っての?


 けど、まあ、面倒だから採用させてもらおう。


「親戚の子だ。しばらく預かることになってな」

「そう。この人の隠し子なの」

「……俺の話、聞いてた?」


 合わせろよ、話を。

 面倒くさいことになるだろ!


「で、あたしを呼んだのは?」


 だが、田中はスルーしてくれた。

 まあ、ルーナの年齢的に隠し子はありえんからな。


「新しくチャンネルを立ち上げたんだ。こいつが配信したいってんで」

「あー、コラボしたいってこと?」

「これが失敗したら……ヤバいんだ、俺の身が」


 ずっとルーナと同居する羽目になる。

 それは心身ともに危険極まりない。


 田中がため息混じりに顔を背ける。


「訳アリ? ったく、お人よしにもほどがあるよな」


 田中が視線を移すと、ルーナが「えへへ」と頭を掻いている。

 

 ……あんま、よくわかってねーな、こいつは。


「あれ? コラボってことはその人も配信者なの?」

「田中はVtuberだよ。登録者数10万だ」

「はえー! すっごい! 神じゃん!」

「あはは……。そう言われると照れるな」


 顔を赤くして、ポリポリと頬を掻く田中。


「よ、よし! じゃあお姉さんが、人肌脱いじゃおうかな」

「え?」

 

 ルーナがゴクリと生唾を飲み込み、田中の巨乳を見る。


 スパン!


 頭にチョップをかましてやる。


「いたっ!」


 お前がそんな期待をするな。

 巫女なんだから、もっと清楚に振舞え。


「配信はホラゲーでいいの?」

「あー、いや。その……悪いんだが、『心霊スポット紹介』をお願いしたい」

「でも、アレはあんたが止めたんじゃん」

「……俺に秘策がある。成功すれば、かなり強い画が撮れるはずだ」

「あんた、まさか……」


 田中には思惑がバレているかもしれない。

 似た境遇の持ち主だからな。


「よっぽどその子が大事なんだ?」

「大事っつーか、切羽詰まってるっつーか」


 田中が一瞬、口を尖らせたように見えたが、すぐにニッと笑う。


「オッケー。じゃあ、さっそく今夜やろっか」

「わーい! やったぁ! 初コラボだー!」


 ぴょんぴょんと飛び跳ねて喜ぶルーナ。


 自分で提案しておいてなんだけど。

 ――不安しかねえ。


 だが、やるしかない。

 たとえ、魂が抜かれる危険があるとしても。 

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