力士の彼氏にどす恋!
高校生活も終わりに差し掛かっていた夏野風鈴は、毎日のように忙しい日々を送っていた。ある日、社会科見学で相撲部屋を訪れることになり、その日が風鈴にとって運命的な日となるとは思ってもいなかった。
相撲部屋に到着した風鈴は、力士たちの荒々しくも美しい取り組みを目の当たりにし、興奮していた。そんな中、彼女の目を引いたのは、みならい力士の原大将だった。身長190センチを超える彼の筋肉質な体格と、真剣な表情に風鈴の心は一瞬で奪われた。
「かっこいい…!」風鈴は心の中で呟く。
その後、見学の合間に風鈴は勇気を出して原大将に声をかけた。
「ねぇ、大将、すごくかっこいいですね!もしよかったら、ちょっとお話しませんか?」
原は驚いたように風鈴を見つめた後、少し悩んだような顔をした。
「ありがとう。でも、みならい力士は恋愛をしてはいけない決まりなんだ。すまないが、そういうことは…」
風鈴の胸はしぼむように感じた。でも、その一瞬で風鈴は決意を固めた。あきらめたくはない。
その後、見学を終えた風鈴が帰ろうとしたとき、相撲部屋の親方に呼び止められた。
「おい、風鈴。ちょっと来い。」
風鈴は驚きながらも親方の元に駆け寄った。
「お前、レスリングをやっているな?」
風鈴はうなずいた。親方の目は鋭い。どうして知っているのか不思議に思った。
「実はな、原大将が最近スランプに陥っているんだ。お前、もし原大将と相撲で勝負してみるか?」
風鈴は驚いた。相撲で?でも、心の中ではワクワクしていた。
「もし勝ったら、お前の気持ちを許すと言っている。」親方は続けた。「ただし、勝負だぞ。」
風鈴は目を輝かせて答えた。「やります!絶対勝ってみせます!」
三日後、再び相撲部屋に足を運んだ風鈴は、気持ちを引き締め、準備を整えた。親方の言葉を信じて、全力で挑む覚悟があった。
取り組みが始まると、風鈴はすぐに原大将と対峙した。力強い突っ張りを見せる原大将に風鈴も負けじと立ち向かう。部屋の中からは大きな声援が上がる。
「どすこい!どすこい!」
両者は互いに譲らず、力強くつっぱり合いを繰り広げた。しかし、力を入れすぎた瞬間、風鈴の足元が崩れた。
「うっ!」
その瞬間、原大将が風鈴を押し倒した。風鈴は倒れ込んだが、彼女は悔しさを感じつつも、顔には笑みを浮かべていた。
「やったな、大将!」親方が大きな声で叫んだ。「長い間スランプだったが、やっと勝てた!これで二人の付き合いを公認する!」
風鈴は喜びに満ち溢れ、原大将に向かって言った。
「力士の彼氏にどす恋しちゃった!」
原大将は少し恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、力強くうなずいた。
「お前もなかなかやるじゃないか。」
二人はお互いに微笑み合い、まるで世界が二人だけのものになったかのような瞬間を感じた。
風鈴の恋が、どす恋に変わった瞬間だった。