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白き薔薇の仮面





場面は夜、王都の高級サロン。豪華なシャンデリアの下、貴族たちが集う中、ロザリンは微笑みを絶やさず談笑している。


彼女の周りには男性貴族が集まり、彼女の魅力に酔いしれていた。

「さすがはエヴァレット嬢。あの調停会議では素晴らしい判断をされましたね。」

「いやいや、あの清廉な姿にこそ真の品格を感じます。」


ロザリンは紅茶を飲みながら微笑みを浮かべる。

「まぁ、私はまだ未熟ですわ。ただ、皆様のお力添えがあれば、もっと成長できると思っていますの。」


その無邪気な声に、周囲の男性貴族たちは一層の忠誠を誓うような眼差しを向けた。


しかし、その一方で、ロザリンの瞳には鋭い野心が潜んでいた。

(この程度の男たちは私の駒に過ぎない。重要なのは、アメリアを超えるための“次の一手”をどう打つか。)




一方、アメリアは執務室でエドワードと共に調停の記録を確認していた。机の上には、ロザリンが提示した証拠や、彼女が会議で述べた発言の記録が並べられている。


「エドワード、ロザリン・エヴァレットについて調査を進めて。」

「既にいくつかの情報を集めています。」エドワードは手元の資料を広げながら続ける。

「彼女はエヴァレット家の次女で、特に目立った経歴はありません。しかし、最近になって急に評判が上がり、複数の貴族から支持を得ています。」


「最近になって、ね。」アメリアは目を細める。

「どこかに裏があるはずよ。純粋な才能だけでここまで上り詰められるとは思えないわ。」


エドワードは慎重に言葉を選ぶ。

「…彼女が複数の男性貴族と親密な関係にある、という噂もあります。」

「予想通りね。」アメリアは冷ややかに微笑む。

「身体を使って支持を得ているのだとしたら、それを暴くのは難しくない。」


「ですが、アメリア様、それを公にするのは危険です。彼女が巧妙に立ち回れば、逆にこちらが悪者にされる可能性も。」


アメリアは机に肘をつきながら考え込む。

「ならば、彼女の仮面を剥がすための確実な証拠を掴む必要があるわ。時間がかかっても構わない。」



数日後、再び調停宮殿で会議が開かれる。今回は貴族C家とD家による交易路の使用権を巡る争いだった。


ロザリンは白いドレスを纏い、微笑みを浮かべながら登場した。貴族たちがざわめく中、彼女は優雅に一礼する。

「本日も皆様の力になれるよう、誠心誠意努めさせていただきますわ。」


その言葉に、男性貴族たちはすっかり魅了されていた。


アメリアは冷静に会議の進行を見守りながら、ロザリンの発言を注意深く聞いていた。


ロザリンは今回も巧妙に双方を擁護する意見を述べ、場の空気を和らげる。

「C家の主張には十分な根拠がありますが、D家の事情も考慮する必要がありますわ。」


しかし、アメリアはその発言の中に矛盾点を見つけた。

「ロザリン様、それは一見公平な意見に聞こえますが、C家が提示した証拠には重要な欠陥があります。それを見落としていませんか?」


ロザリンは驚いた表情を浮かべるが、すぐに微笑みを取り戻した。

「まぁ、さすがはアメリア様。私もまだまだ勉強が足りませんのね。」


その場では穏やかに引き下がるロザリンだったが、内心では苛立ちを隠せなかった。

(この女、いちいち私の意見を突いてくる…でも、次はそうはいかないわ。)




その夜、ロザリンは高級サロンで男性貴族たちと密談をしていた。

「皆様、次の調停会議では私にお力添えをいただけますか?」

「もちろんだ、エヴァレット嬢。」

「貴女のような方を支えることは、この国のためでもあります。」


ロザリンはにこやかに微笑みながらも、内心では冷笑を浮かべていた。

(これでいい。彼らを駒にすれば、アメリアを押しのけることも容易いはず。)




数日後、ロザリンが貴族C家の主張を強力に支持する中、アメリアはその裏に隠された意図を暴いた。


「ロザリン様、C家が提出したこの書類ですが、奇妙な点があります。」

アメリアは冷静に証拠を手に取り、その筆跡や内容の矛盾を指摘した。


「これは…C家の書記官によって捏造されたものである可能性が高いですね。」


ロザリンは動揺を隠そうとするが、その目に僅かな焦りが浮かぶ。

「まぁ、それは大変ですわ。ですが、意図的なものだと断定するのは早計では?」


「ええ、だからこそ調査が必要です。」アメリアは鋭い目でロザリンを見つめた。

「そして、誰がこの書類を広めたのかも調べる必要があるでしょうね。」



調停は一時中断となり、ロザリンは不利な状況に立たされた。だが、彼女は動揺を見せず、優雅に微笑みながら言った。

「次回の調停も楽しみにしていますわ、アメリア様。」


その言葉に、アメリアは冷静な声で答える。

「私もです。今度は“真実”を持ってきていただけるといいのですが。」


ロザリンは退場し、エドワードがアメリアに話しかける。

「ロザリン嬢、明らかに何か企んでいますね。」

「ええ。」アメリアは冷静に答える。

「彼女がどれだけ駒を揃えようと、真実の前では全て崩れるわ。」


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