【SS】あるカウンセラーはかく語る。
電子書籍「心(理×)霊カウンセラー」の投稿を始める前に書いた400文字の初期版です。
依頼者は30代女性。
予約時のメールに書かれていたのは
ここ3ヶ月眠りが浅い、または眠れないことに悩まされているという内容。
大きめのフレームのメガネ。
髪型はショートボブ。
時代的平均的シルエットの彼女。
その表情は・・・まあ想像通りだった。
一通り彼女の話を聞く。
こんな仕事をしているとまあ毎回のように聞かされる会社での出来事、不満、いざこざ。そんなよくありそうな話を一通り聞かされる。
それはそうだ。私はカウンセラー。
依頼者のそういう話を傾聴して、その心を蝕む「悪気」を軽くする、または消すことを仕事としているのだから。
1時間ひとしきり淡々と悪気を吐いたことで依頼者、彼女の表情は少し、ほんの少し明るくなったようにみえた。
私はそんな彼女に、入眠しやすくなる簡単な行動療法をアドバイスして今日の面談は終了した。
今日最後の依頼者を見送り、扉の鍵を閉めた。
今日最後の依頼者、いや、最初の依頼者かもしれない。
時刻は午前3時。
私は一言、つぶやく。
「永眠してるのに不眠なんてね・・・」
Kindleにて電子書籍を配信している作品「心(理×)霊カウンセラー」の初期版です。
この400字から、電子書籍の個人出版業の道が始まりました。
この物語は2025年7月に完結し、現在最終巻(4巻)の電子書籍化に向け
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