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第四話 突き付けられた武器の名は その二

「それとディアン様。お願いがあるのですが、よろしいですか?」

「……何だ」


 辞書の知識を全て手に入れたルビナが次に何を言うのか、全く予想がつかない!

 子作りとか言われたらどんな手を使ってでも誤魔化して……!


「料理を教えて頂けますか?」


 おおおぉぉぉ!

 平和的な要求!

 料理なんてので良いなら、幾らでも教えるよ!

 ……ただ何故かは確認しておかないとな。


「料理か。構わないが、急に何故だ」

「はい。辞書の料理の項目に、愛や愛情と言う記述が見られました。なので料理を覚えれば、ディアン様への愛に繋がるかと思いまして」

「ぶっ、……んん」


 スフェンさんが小さく噴き出した。

 咳払いして誤魔化しましたけど、口元緩んでますからね!

 スフェンさんにもルビナの気持ちについて話しておかないと、ラズリーみたいに余計な気を回されそうだ。


「ルビナ様。よろしければ私がお教えしましょう」

「ありがとうございます!」

「……良いのですか?」


 スフェンさんの提案に喜ぶルビナ。

 しかし執事の仕事が忙しい中、そんな事まで頼んで良いのだろうか。


「料理で愛を伝えたいなどと、男冥利に尽きる話。このスフェン、不肖ながらお手伝いさせて頂きますよ」


 違う違うそうじゃない!

 ルビナは恩義からの好意と、不安からすがる気持ちで私との関係をより確かにしようとしてるだけで、愛と言う言葉の意味もまだ良く分かっていなくて……。

 あぁ! 経緯含めて説明するとなると難しいなこれ!


「ルビナ様。これまでに料理のご経験は?」

「ディアン様のお手伝いで、芋餅を一度作りました」

「分かりました。一からお教え致しましょう。明日の昼食からで如何ですか?」

「はい! よろしくお願いします!」


 辞書を丸暗記したルビナへの驚愕が薄まったのは良い事だし、私と作った芋餅しか料理の経験が無いルビナに指導してくれるのも正直助かる。

 でも、余計な事吹き込みそうで不安!


「私も一緒にさせてもらえますか」

「はい! 喜んで!」

「いけませんよディアン様」


 何故止めるんですかスフェンさぁん!

 ルビナは喜んでって言っているじゃないですか!


「料理を演劇の舞台とすれば、調理場は稽古場や舞台裏。舞台で新鮮な驚きと感動を味わう為には、期待をしながら待つのがよろしいかと」


 要らないの! 驚きも感動も!

 平凡、安定、安心が欲しいの!


「ご安心をディアン様。ラッピス侯爵家筆頭執事の名にかけて、お口に合わない物をお出しさせる様な事は決して致しませんので」


 心配はそこじゃなくて!


「それと愛しさが高まられているとは思いますが、主人が出掛ける迄には起きて来られる程度に、今夜は納めて頂けます様お願い致します」


 そう言うとこだぞおおおぉぉぉ!

 ……これは今晩中に説明をしておかないとな……。

今日の友は明日の敵、


読了ありがとうございます。

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