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たとえ転生してもうさぎを愛してる  作者: ガーネット兎
第2章〜マッサージ師はハムスターと亀とうさぎと旦那と共に
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女神特製ダンジョン⑤

女神様は苦悩していた。

転生させたマナと健太が日々どんちゃん騒ぎを起こしながら熱い夜を過ごしているからだけでなく、何よりレベル上げが上手くいっていない。


まだダンジョン4階層!本来ならもう10階層くらい進んでもらい、全50階層を予定していた。


このまま普通にダンジョン攻略をやらしていてもただのデートではないか?


この世界に転生した理由は人類を救う為だ。


「人選誤ったかな?嫌もうそんなことで言っても仕方ない」


ならば実際に人類を救う時間を多めにとって貰った方が良い。人類を救うという事がいかに誇り高い事か学ばせてからまたレベル上げさせても良い。


女神様のやり方には反するがアレを使い、ダンジョンを10階層までにするしかない。


更には10階層までだよと伝える事でマナと健太も終わりがわかりペースが上がるだろう。

更にはアレでレベルアップを迅速に促そう。


マナも健太もやはりレベルが命なのだから。


女神様はどんちゃん騒ぎをして眠るマナと健太の前に、追加の酒とツマミと手紙を置く。



次の日健太は珍しく先に起きた。

女神様からまた手紙だ。

親愛なるマナと健太 貴方達はこの世界にデートに来ているのですか?違うでしょ?人類を救いにきてるはずです。ダンジョンの攻略ペースが遅いので本来50階層だったのを10階層に減らしました。

そのかわり10階層では鋼鉄岩という岩系モンスターが沢山出るのでそれでレベル上げを沢山してください。前世のアレを思い浮かべたら経験値がいかにたんまりかわかるはずです。

by悲しみと嘆きの女神より



裸の健太は頭をポリポリ掻いてマナを起こして女神の手紙を見せる。


「はぁ?まだ頭痛いのよ!まずは水を頂戴!それからシャワー浴びてからよ」


マナは自由だ


健太はマナにあまり激しく言えない。

転生しても自分と居てくれるからではない。

今後のマナの運命を悟っているからだ。


俺とマナはこの大陸の人類を救った後、先に転生している元カレとうさぎ達と死闘する運命にある。


一応今後にも関わる事なので、元カレ桐斗の性格やどんな育ちをしているかをサラッと聞いた。


正直お世辞にも話が通じるとは思えない。

あまり良くない家庭環境で育ち、連れ子で虐待を受けて、家族と絶縁状態でマナがメンヘラだった為に友達を無くしてうさぎ達だけを愛して死んだ桐斗。それはまるでホラー映画に出てきて人間を呪い殺そうとする呪怨にも思えた。

それに比べて浮気三昧しながら最後は捨てたマナ。


俺とマナが何を言っても届かないだろう。

しかもマナの予想だと戦争だから人類に被害を受けたうさぎを見て桐斗はブチ切れて人類滅亡を企ててもおかしくないと来た。


マナも色んな意味で呑まずには居られないのだろう。

まずは元カレやうさぎ達と死闘する意味で!俺も元カノとペットと死闘する未来を考えただけで逃げたくなる。


次にマナは人間よりうさぎを助けたがっていた。

きっとマナは元カレ桐斗より上手くやる自信も選んで貰える自信もあっただろう。


最後は死期だ!きっとマナの元カレ桐斗は凄まじい執念でうさぎの世界の救援に挑んでいるはずだ。


何故ならうさぎ一匹死んだだけでブチ切れるなら一匹たりとも死なせない戦い方をしている。


つまり数十万の人間相手に一人で戦っているのだろう。凄まじい戦闘狂とレベルなはずだ。


俺なんかは人間少しくらい犠牲にして結果的に人類が勝てば良いやくらいの気持ちである。


俺とマナで勝てるのか?異世界転生して数年で死ぬとか想像したくない。出来れば桐斗には自分達と戦う前に死んでいて欲しいくらいだ。


女神様からこんなに催促があるということは生き続けていてそれだけレベルも執念も凄まじいのだろう。


マナVS桐斗になる前に何としても自分が桐斗を倒すしかない。


表現が殺すではなく倒すと言ってる時点でダメな気がするが、同じ女を好きになった仲だ!


どんな手を使ってもどんだけ話しても分かり合えると信じている自分がいる。



マナも泣きながら震えながらシャワーから出てきた。


「何で自分の子供同然のうさぎ達と15年も寄り添った家族も同然の元カレと殺し合わなければならないの?自殺する方が何十倍もマシよ!!そんな中頑張ってるのに遅いだのデート気分だの言われたくないわ!!女神は私の気持ちなんか全然理解してくれてない!!ただの駒扱いだわ!!死期が数年しかないならせめて自由にさせてよ!!」


健太は黙ってマナの魂の叫びを聞いていた。

健太もマナの胸の内をわかり泣いていた。


健太はマナの背中を摩りながら言葉をかける。


「マナと桐斗は15年も一緒に居たんだろ?ならば俺と桐斗は同じ女性を愛した仲だ!だから俺も精一杯話して分かり合える様に努力してみるよ。だから泣かないで!自信満々に笑ってるマナが好きだから!俺も桐斗も」


健太はまずマナを落ち着かせる為にベッドに運び、

温かいお茶を淹れる。


これから説得だ


「もしもだよ桐斗に説得が失敗した時は俺が桐斗を倒すから。だから桐斗に負けない力を手に入れる為に死なない為にまずは俺たちもレベル上げ頑張ろ!一歩ずつで良いからまずは前に進もう。別にこのまま女神の言いなりになる必要なんかない。マナの好きにすれば良い。うさぎを助けるも良しさ。

でもやはり何をするにも力がないと何も出来ないからね」


「うん!うさぎを助ける」


マナは余程うさぎを助けたいみたいだな

マナと健太はゆっくり立ち上がり荷物を纏めて出発をする。


「よしこの階層が終われば後半分で地上に出られるよ!折角の異世界なんだから色々回ろう」


健太は明るく振る舞う。こんな時こそいつも通りの楽しい旅が必要だ。


マナは怒りをモンスターにぶつけるかの如く、激しく魔法を繰り出す。


スタミナ配分なんか考えてないんだろうな。

何かあれば俺がマナを護る。


守られてばかりの健太はいつの間にかボスの扉前まで来ていた。


マナはスタミナ切れなのか端で休んでいる。

コップに水を入れてあげる。


「この大陸にうさぎ居たらさ!ティムして連れて歩こうよ!ティム魔法とかないの?」


「う〜〜ん今のところ無いわね。でも良い考えね!レベルあげてティム魔法を取得できたらマナナ達うさぎもティムして味方にくわえてやるんだから」


数時間後MPが回復したマナと健太は4階層のボスの扉を開ける。


ボスはセイウチみたいな水モンスターだ。

マナは開幕魔法を放つ


「アロマオイル魔法ミルラ」←ステup

「アロマオイル混合魔法(ゼラニウム×ジュニパー)←水結界


「トネール」

健太はメスにも炎の剣にも雷属性を追加させる。

「触診」「メス」「トネール斬り」


二連撃を健太は当てて前に出る。


少しビリビリしているセイウチは動けない。


健太はチャンスと見るやメスを遠目から投げまくる。


セイウチは怒り出した。


「岩爆弾」


セイウチの怒りの反撃魔法だ。

文字通り岩が爆発する。健太はダメージを食らいながらもメスを撃ち込む。


セイウチは水に潜った。


健太はトネールを水場に撃ちまくる。


セイウチは水の中から大きな貝を手にして壁を作る。


「アロマオイル混合魔法(ローズ×フランフラン)」


マナの魔法で風刃と棘がセイウチを襲う。何とか貝に隠れようとするセイウチに


「トネール斬り」


健太は上空にジャンプして貝ごと叩き割る


ガシャーン!ブシャ!ズサン!


セイウチは肩で息をしている。


セイウチは捨て身の突撃をマナに食らわす。

ドーン


「きゃあ」


「大丈夫か?マナ!トネール斬り」


セイウチは光の粒になって消えて、宝箱と先への階段が出る。


マナは無言で宝箱を開ける 鎧だった

マナは健太に着せてあげる。


「馬子にも衣装ね」


「やかましいわ」



密かな笑い声があたりを包む。

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