女神の森にて
マナと健太は女神の森で転生して気を失っていた。
統一歴139年の事である。桐斗とは4年のハンデを抱えている。
「マナに健太起きなさい。貴方達は桐斗より4年も遅くこの世界にやってきたのよ!悠長なレベル上げをしていては桐斗に勝てないから私が特別に手解きをしてあげるわ。ここから北に少し歩くと洞窟があるわ。そこに女神特製勇者楽々レベル上げダンジョンを作ってあげたからそこでしっかりとレベル上げをまずして来なさい。食糧と寝床はダンジョンの休憩エリアにあるわ!さぁ行きなさい」
女神は言いたい事だけを言い去っていった。
「マナ!桐斗って誰だよ?元カレが何で関係してんだよ?俺と二股かけてたのかよ?てか今まで何人と付き合って来たんだよ?」
「はぁ?付き合った元カレの数なんか10人を超えてから数えた事なんかないわ!いい?このルックスよ?中学からずっと彼氏が居なかった期間なんか無かったのよ!桐斗に関しては19歳から34歳くらいまで一緒に居た元カレよ」
マナは太々しく言い放つ。
「はぁ?少し俺と付き合ってた期間被ってねーか?何だよそれ俺とは全く違うリア充じゃねーか!
俺なんか青春はずっと勉強していて医者になっても勤務医でこのルックスだしあんま彼女も出来なかったのに」
健太は自分の過去を嘆いている。
「ん?期間が被ってたかどうかは思い出せないわよ!私はマッサージ店に勤めて4年連続売り上げNO.1になりその称号を引っ提げて社長から個人店舗を開業を許された唯一の女なのよ!男性からの人気だけはあったんだから。貴方も医者になって私と知り合ったからこそ私と結婚出来たのよ!自分の幸福を噛み締めなさい。」
マナはさも当然であるかのように言い放つ!
「なんか前世のマナと違う!もっとお淑やかで優しく包み込んでくれる感じがない!」
健太は前世の晩年のマナと今のマナの態度があまりに違う事をブーイングする。
「はぁ?何を言ってるの?私の身体が10代なったんだから心も10代なのよ!言っておくけど私の10代は強烈だったんだから!それを頑張って寄り添って矯正したのは桐斗よ!貴方の大好きな晩年のマナは桐斗が作り上げたのよ貴方も桐斗に感謝するのね」
「俺桐斗に同情するわ」
「はぁ?私の一番良い時期を桐斗は過ごしたんだから寧ろ泣いて感謝して欲しいくらいだわ!付き合ってくれてありがとうございますって」
さも当然であるかのようなツーンとした顔これぞ我が道みたいな態度だ
「ところで私の中に居るラビ!話があるのよ!
何でマナナ達は私より桐斗を選んだの?」
「マナ!怒らないで聞いてね!女神様が言う通り桐斗はマナより大分前に死んだの!マナナを筆頭にマナと桐斗が飼ってたうさぎ達は会議を開いてたの。精霊神といううさぎを護る神様が封印されたか滅ぼされたかで精霊術士であるマナナ達がマナか桐斗を助っ人としてうさぎを護る為に転生させるつもりだったんだけど、マナと桐斗の前世の行いを比べてみて明らかにマナはうさぎを可愛がりオヤツをあげたりするばかりで面倒は桐斗が行っていた。更には桐斗はマナと別れた後もうさぎを飼っていた。
それに対してマナは自分の事ばかり優先して男癖も悪く、2人を比べて、自分よりうさぎを大切にする。人間よりうさぎを大切にする。死んでもうさぎを護り通す意思がどちらにあるのかを判断した結果マナナ達は桐斗を迎えに行く事を決めたの。私は桐斗とあまり面識がないから、マメとハムとみどりでマナの方に来たのが真相です。」
マナはそれを聞いて複雑な気分になって黙り込んだ
桐斗は早くに亡くなっていた事更には一人であった事
色々後悔の念がマナの中に渦巻く
「そっか!つまりマナと俺は人間の世界を救う為にこの世界に転生したんだろ?んでもって桐斗とやらはうさぎを救う為に転生したんだ。何だそれそんな奴いんの?前世で人間なのにうさぎの為に転生してうさぎの世界を護るって正気を疑うな!それはつまり人間相手にも容赦しないって事じゃん!うわー精神おかしくなりそう」
空気を読めない健太は桐斗を馬鹿にする。
「マナナのバカ!!何で私を選ばないのよ!桐斗は優柔不断で怠け者よ!私の方が決断力も行動力もカリスマ性もあるはずよ!私が選ばれていれば...」
マナはマナナ達が大好きだった。どんな形であれ再び会えるなら会いたかったし頼りにされたかった。
「マジかよ!マナはうさぎを護る方に選ばれたかったのかよ」
「うぇーん!またマナナやジジやモカに逢えるなら逢って抱きしめたい。頼りにされたい。よしよししたい。私はあの子達の母親も同然よ!小さな時から育てて病気の時は病院に連れて行って最期は泣きながら火葬までしたわ!私だって転生してもうさぎを愛してるのに...」
マナの号泣があたりを包み込む。
健太はマナな背中を摩りながらある事に気がついた。それは女神の台詞だ。マナは桐斗を殺す使命があるのだ。つまりマナは前世飼ってたうさぎ達と戦う宿命を背負っているという事だ。
泣き止んだマナに
「まぁそうあまりクヨクヨすんなよ!俺達は人間の世界を護る為に転生してきたんだ。桐斗って奴も流石に人間を皆殺しにしたりはしないと思うよ。仲良く領土を決めて話し合いになるはずだ。ところでラビは桐斗やうさぎ達がこの近くにいるってわかるの?」
「いえこの大陸には気配がないです。恐らく違う大陸かと」
「そっかなら大丈夫だよ!俺達は前世と同じく人間を救おう!」
健太はさも当然であるかの様にマナに人類を救う旅に誘う。
「はぁ?私はうさぎを救いたいの!」
空気の読めない健太にマナはイラつく!なぜならこんなルックスの癖に生意気だし元カレを何も知らないのに馬鹿にしたからだ。
「それはやり方次第だって!とにかく俺達はレベル上げから頑張って行こう!こちらも強くならないと人類を救うどころかうさぎと交渉すらできないぜ!俺がマナを護るからさ!」
「...強くなる」
健太とマナはダンジョンへ歩き出した。
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