第3回世界同盟会議
是非ブックマーク、お気に入りお待ちしております。
桐斗は焦っていた。
もう自分も5歳だ。前世のうさぎで最長まで生きたモカですら12歳が限界だったからだ。
自分が死んだら誰が聖うさぎ王国を守るのだ?
下手したらうさぎ達は滅ぼされてしまうかもしれない。
だから空いた時間を全て魔法入りシェイカー作りに費やしていた。
生涯をかけてうさぎ達を護ると誓っていた桐斗の
その誓いが死んでからもうさぎを護るとの誓いに変わっていた。目標魔法入りシェイカー1億本。
壮大な目標を掲げて邁進する桐斗の元にイメリア公国との貿易から帰ったモカが歩み寄る。
「桐斗はどんだけ魔法入りシェイカー作るんだよ!またどっかの国滅ぼすつもりか?」
「いや私が死んだ後の為に魔法入りシェイカーは大量に貯蓄しておく必要がある。
忘れたか?前世でのうさぎの寿命を」
桐斗は残りの寿命を気にして焦っている。最長12年と思っているみたいだ。
「知らなかったのかよ?
この世界のうさぎは進化すると寿命伸びるらしいぜ。イメリア公国からの貿易品で生き物に関する書物があって、読んでみたらうさぎに関する記載もあった。
何でも精霊術士にまでなると人間と変わらない寿命になるらしいよ」
「何だよ!早く言えよ!俺が勘違いして一人先走り過ぎただけかよ」
桐斗は冷や汗ものだったんだぞとジト目をモカに向ける。
「悪い悪い!あーそうそう何でも聖王国アランドブルクからイメリア公国に手紙が来たらしい。
何でも向こうさん桐斗を世界同盟の会議に呼びたいらしいよ。」
「多分この魔法入りシェイカーの取引がしたいんだろうな」
桐斗は完成した魔法入りシェイカーをさする。
これには一本一本うさぎを護ってくれるよう祈りを込めて作られている。
「成る程ね!イメリア公国も偉く魔法入りシェイカーにはご執心で取引量増やして欲しいってかなり言って来てるしね」
「過去に作った魔法入りシェイカーの在庫は後どれくらいだ?」
「そうだね4万本ちょいって所かな」
おいおい他国にも貿易してたらすぐ無くなるじゃないか。貿易用の魔法入りシェイカーも新たに作る事になるかもしれないな。一体どれだけ魔法入りシェイカーを作ればいいんだ。桐斗は遠い目になった。
「んでその世界会議はいつあるんだ?」
「何でも桐斗が来るなら開くが桐斗が来ないなら開かないらしいよ。だから未定だそうだ」
桐斗次第という事は間違いなく魔法入りシェイカーの貿易で決まりだな。名探偵桐斗は推理の答えを導き出した。
「わかった。なら参加して良いと来月の貿易官に言っておけ。
俺はこれから初級魔法入りシェイカーの量産体制に入る。過去の最高級魔法入りシェイカーと現在の初級魔法入りシェイカーが同じくらいの威力なら貿易品は初級魔法入りシェイカーでも問題ないはずだ。
この世界の美味しい果物を鱈腹食べれるチャンスだぞ!!品評会も開いてバウムッド帝国以外の諸列強に美味しい果物の量に応じて魔法入りシェイカーの取引量を決めると伝えてやる。」
メリットとデメリットあるとして、メリットは果物と外貨でデメリットは魔法入りシェイカーの流出だが幸い作れるのは桐斗だけだ。
「なかなか良い案だが、大丈夫か?仮想敵国にまで魔法入りシェイカーを取引して?旧マウリアの皇子は聖王国アランドブルクにいるらしいよ」
「旧式の最高級魔法入りシェイカーと新式初級魔法入りシェイカーの魔法は俺には効果がないと以前に食らってみて証明済みだからな!
皇子に組みして聖王国アランドブルクが聖うさぎ王国を狙っても側面からイメリア公国が攻めてくる。だから聖王国アランドブルクは動かないはずだ。だから皇子はこの際どうでもいいが、
魔法入りシェイカーを使って倒した経験値が私に入るという事が重要だ。
勘だがまだ昇進できそうだからな」
「まだ昇進する気なのかよ!魔王も片手で倒せるんじゃないか?」
モカは桐斗のまだ強くなる発言に驚いた様子だ。
もうこの世界に桐斗より強い存在はいないのではと思えるくらいの強さはありそうだ。
「魔王になど興味はない。いいかモカ覚えておけ!魔王がいるから列強諸国は手を取って同盟を結んでいるが魔王が居なくなったら今度は列強諸国同士の覇権争いが始まる。それが人の業さ!
だからどの道戦争兵器である魔法入りシェイカーは売れるんだよ」
「なるほど桐斗は死の商人だな!」
いやまさか?この時桐斗はある可能性を示唆した。
だが証拠がないからその可能性は頭の片隅に留めておく。
「魔法入りシェイカーを他の列強諸国にも売りつけると決めたらマナナが怒りそうだな」
マナナにどやされるのが1番の難題だ
「あー確実に怒りそうだ!だから果物なのか?」
「そういう事。マナナに手紙書くか!今神殿より北側の拠点にいるから。あ!モカ届けておいてよ。今度かわいいうさぎ紹介するから」
「かわいいうさぎ!?しょうがないなぁ!なるべく俺も説得してみるよ」
モカは果物より可愛いうさぎに弱いな!こいつもちょろいなと桐斗は思った
「モカよろしく」
「はいフルーツ盛りを3人分お持ちしました。少し休憩しましょう。こんを詰めるのは良くないですわよ」
「モカ!飯にしよう」
桐斗はアンナの尻に敷かれてるなと思うモカであった。
〜イメリア公国貿易場所
一か月後
「うちの桐斗が世界同盟会議出席して良いらしいですよ。条件はうさぎ的に美味しい果物だそうです。」
「モカさん情報ありがとうございます。でもうさぎ的に美味しい果物って具体的にどんなのですか?」
「バナナ、パパイヤ、パイナップル、イチゴ、メロン、マンゴーは良く好まれますね」
「バナナ、パパイヤ、マンゴーは南国産の食べ物じゃないですか!イメリア公国では作れませんよ」
「バナナ、パパイヤ、マンゴーの木ならラパンの森に植林して管理してあります。
問題はまだ見ぬ美味しい果物!この世の全ての美味しい果物を桐斗は求めてます」←モカが食べたいだけ
「成る程我が国も精進します」
貿易官は果物の栽培促進を公王に進言しようとしているようだ。
「イメリア公国には建築などもご依頼しています。イメリア公王には助かっているとお伝えください」
「そう言って貰えて幸いです。
あーでは来月の貿易時に世界会議の日程がわかればお伝えします」
〜聖王国アランドブルク
統一歴140年8月10日 本日は第3回世界同盟会議が聖都アランドブルクで開かれる。
うさぎの見事な紋章入り馬車が聖都アランドブルクの城についた。
中に乗っていたのは桐斗、マナナ、モカの3匹だった。レッドカーペットをぴょこぴょこ進む。
あまりの可愛さに貴族や皇族の御令嬢は頬を赤くして眺める。女の子からのうさぎ人気は万国共通だ
イメリア国外務大臣、ブルク20世、アラルド国外相、バウムッド国外務卿、勇者、桐斗、マナナ、モカと他多数。諸列強の重鎮達が一堂に介した。
まずはブルク20世からのはじまりの挨拶だ。
「今回の世界同盟会議我が国の発案で来て頂けてとても嬉しく思います。」
「なぜ精霊術士がこの場にいるんですか?同盟国ではないはずです」
「こいつね!うちの国に攻め入って来てコテンパンにやられた間抜けな国の大臣は!プークスクス」
バウムッド帝国外務卿は顔を真っ赤にしてマナナに怒っている
「あれは旧マウリア国民が勝手にやった事だ。うちは関係ない」
「我々に旧マウリア人とバウムッド人の区別も出来ないとお考えですか?」
「バウムッド帝国外務卿よ!しらを切りたくば旧マウリア人のみで行くか、そもそも軍服を旧マウリア軍のものに統一すべきでしたな」
ブルク20世にもバレている。
「それはバウムッド国が悪いですな!
我が国は聖うさぎ王国を国として認めます。
だから魔法入りシェイカーの貿易を我が国ともお願いできませんか?」
アラルド共和国も魔法入りシェイカーを聖王国アランドブルクより入手しており効果を実感していた。
「我が国も同じく聖うさぎ王国を国として認めます。だから我が国とも魔法入りシェイカーの貿易をお願いしたい」
「聖王国アランドブルクとアラルド共和国には魔法入りシェイカーの貿易を許可します。
ただしそちら側がどれだけうさぎが食べれる美味しい果物を貿易で譲って頂けるかで毎月流通量を変えます。
来月から18日に聖うさぎ王国と聖王国アランドブルクの境界線付近で果物の品評会を開くわ!
両国は美味しい果物を用意してくださいな!
イメリア公国は我が国にとても協力関係の為来月より流通量を2倍に増やします。」
マナナは高らかに宣言した。聖うさぎ王国代表は自分であるかのようだ。
「な!!これはどういう事ですかな?聖うさぎ王国を国として認めると?
種族が違うのにですか?
更には何故我が国だけ貿易の除け者に?」
「バウムッド帝国外務卿よ!
貴方達は我が国に無断で攻め入った!
よって貴国を敵対国に相当すると判断致しましたわ。更には魔王国とは隣接してないので貴国には必要ないでしょ?」
「その通りですな。この魔法入りシェイカーは魔王軍との戦いにこそ使える軍事物資!
バウムッド帝国が仮に手に入れたとしてどの国に対して使用するおつもりですかな?」
「その通りです。しかしうさぎが食べれる美味しい果物ですか?
うちはメロンに葡萄とミックスベリーくらいしかないですな!」
ブルク20世もアラルド共和国外相はマナナに擦り寄りバウムット帝国外務卿を除け者にする。
人は素直なものだ。欲しいものがあれば世界同盟さえ亀裂を招いても構わない判断をする。
「ミックスベリーにメロンに葡萄!!
来月の品評会で好成績をお約束できますわ」
「うちはそれに加えて干し柿にマスカットもございますよ」
「マナナ!メロンとマスカットと葡萄はあまり食べちゃ駄目だよ。干してからね!水分多いと下痢になるから」
「さぁこれから我が国は果物の柵地面積を増やさねば」
ブルク20世は果物沢山作る法案を作るらしい。
「うちもですな」
アラルド共和国も同じらしい。
「今回は両国にお近づきの印としてこちら流通量最大を誇るココナッツドリーム入りシェイカーを100本ずつお渡ししておきます。」
モカからの魔法入りシェイカーのプレゼントのお返しにブルク20世からも大量の果物を頂いた。
「ところでこの場に勇者がいるので一つお尋ねしたいのですが、勇者はどうやって選ばれ、勇者はどうやって自分が勇者だと自覚するんですか?」
「桐斗殿突然如何した?まぁ守秘義務のある話ではないからいいが、女神の森の聖域に剣が現れそれを引き抜くと勇者として認められる。
勇者は死ぬと別の人の夢に女神が出てきて貴方が次の勇者だと囁く!
私も夢に女神が出てきて、
女神の森に入りこの聖剣を引き抜いた」
勇者クリムドはまるで俳優のように身振り手振りも使い演じる。余程名誉で嬉しい出来事だったらしい。
「過去に魔王を撃ちやぶった勇者がいるとお聞きしましたが、
魔王を打ち破って魔族を殲滅出来た勇者は居ないのですか?」
「魔王は死ぬとすぐに代替わりして新たな魔王が誕生する。あちらは多分世襲制か指名制なんだろう。魔王存命中に次の魔王は決まってるそうた。魔公爵なんかもいるからな」
「成る程、貴重なご意見ありがとうございます」
桐斗は勇者クリムドにありがとうとお辞儀をした。
「こちらからも質問だ。魔法入りシェイカーを貿易してそちらに何の得がある?何が狙いだ?」
「外貨の貯蓄により夢のうさぎの城の建築とうさぎ達の食生活に彩りを与える為ですね。
うさぎは多産なんです。
沢山増えるから皆を食わすにはその外貨で食べ物を輸入していかなければなりません。
精霊王も大変なんですよ」
「成る程もうすでに伝説の精霊王なってるか!魔王軍戦には参加しないのか?」
「ええ!我が国のうさぎを護るのが我が使命ですから。」
どんだけ勇者クリムドは魔王戦に参加させたいんだよと桐斗は思う。魔王を倒す事に聖うさぎ王国としては
メリットはない。むしろデメリットだ。魔法入りシェイカーが売れなくなり、美味しい果物が聖うさぎ王国に入って来なくなる。魔王軍と人との戦いは続いて欲しい。
バウムッド帝国外務卿は何やら思惑があるのか?動揺した様子はなくなった。
確かに魔法入りシェイカーとやら貰えぬなら聖うさぎ王国に侵略して奪えば良いだけの事
聖うさぎ王国に新たな災いが降り掛かろうとしていた。




