マウリア王都壊滅作戦
マナナが産まれて数ヶ月後、
成長したマナナは緊急会議を神殿で開催したいと言ってきた。
前世でも4匹のうさぎを産み、
リーダー的存在であったマナナは
真剣な表情でこの会議に臨む所存のようだ。
一同に集まれるのは久しぶりの為
桐斗の妻のアンナは全員分のフルール盛りを用意した。
「第一回緊急会議を開催しますわモグモグ」
『モグモグ』
「このパパイヤ前世のより美味いモグモグ」
ペロはパパイヤに舌鼓をうつ。
「私はこのメロンとやら初めて食べますが大好物になりましたわモグモグ」
「いやノンペ!乾燥メロンなら確実に食べてるぞモグモグ」
桐斗はちゃんとメロンも食べさせたとアピールをする。ケチだと思われたら癪だ。
「メロンて前世で果物の王様だったんでしょ高級であるだけで美味しく感じるわモグモグ」
バニラもメロンにメロメロらしい。
「前世での果物の王様はドリアンだぞ!
めちゃ臭い果物さモグモグモグモグ」
「みんなモグモグうるさいのよ!
いいみんな聞きなさい!
今回緊急会議を開いた理由はマウリア王国からの度重なる攻撃に対してみんな何も気づいていないという事!!
その前から度重なる冒険者共の襲撃にもあってきたのに
もうマウリア国からも戦争をふっかけられてるのよ!!」
マナナはモグモグうるさいうさぎ達に今回の会議の趣旨を伝える。
「えっ!!そうなのマナナ母様モグモグ」
「きっと気のせいですよマナナ母様モグモグ」
「ペロにノンペ貴方達大砲を使い試験発射しまくってたわよね?
感じるわ!この方角よ穿て砲弾よ てな具合で」
「あーだから魔法入りシェイカーの在庫数の減りがおかしかったんだ」
「みんな撃ってるんだし私も是非砲弾を撃ちたいわ!!
じゃなくてその試験弾でどうやらマウリア国軍の軍勢を運良く2回壊滅してるの」
「僕は人を殺したい訳じゃなく平和に暮らしたいだけなのに」
桐斗は例え護る為の魔法とはいえ知らないうちに大勢の人の命を奪った事に心を痛めた。
「はっきり言うわ!桐斗貴方は甘い!甘すぎる!
私達うさぎが何故桐斗を転生させたか忘れたの?
ラパンの森は危機が迫っている。
それを救う為に来たんじゃない。
喧嘩を売られたらやり返しこちらの攻撃力を見せつけないと舐められるわよ」
マナナはキッパリと桐斗に甘いと告げ、やり返す覚悟を決めろと迫る。
「戦いは戦いを呼びます。
傷つけられた者は更なる復讐の連鎖が生まれます。」
アンナは桐斗がまた戦場に出て復讐を受ける事を怖がる。
「アンナは私達の前世の世界を知らない。
現世より格段に科学技術が発展した世界で核兵器なるものが誕生したの!
それは一撃で数十万人を死滅させる破壊兵器よ。
これを戦争で使ってから世界は核兵器の使用禁止と戦争を確実に減らしたわ。
何が言いたいかというと桐斗の魔法はその核兵器に近いのよ。
世界にラパンの森の軍事力を見せつけて、
痛い目を見せると抑止力になるわ。
そうしないと幾らでもマウリア王国は軍隊を派遣する!
戦いを決める人と戦う人は違うのだから。」
マナナの言い分はもっともである。これで座視し続けてもマウリア王国はまた更に軍を出してくるだろう。
こちらの軍事力を見せつける事で世界に対して抑止力になる。
「桐斗...」
アンナは涙を浮かべながら桐斗を見つめる。
「桐斗!マウリア王国上層部は確実にラパンの森のうさぎを全滅させる気よ。
それでもこちらからは反撃をせずにうさぎ達を守れると思ってるのかしら?
桐斗この際だからはっきり言っておくわ。
貴方の優しさで迷いが生じれば
味方が死ぬ事もあるのよ」
「少し考えさせてくれ」
桐斗は会議の場から眺めの良い屋上で寝転がり
自分の手を眺めていた。
守る為とはいえ剣を魔法を放ち続けてきた自分の手はもう血に染まっている。
それどころか俺の魔法の威力は
核兵器にまで昇華されてるのか
桐斗は自分の手を空に掲げて見つめる。
そこにアンナもやって来て桐斗の手を握る
「貴方が私達の為に自分の手を血に染めて必死に守って来てくれた姿を私達はみんな知っています。貴方がいなければ確実にラパンのうさぎは壊滅していたでしょう。
マナナさんの意見を聞いて、
戦いには戦いを終わらせる為の戦いがあるのかもしれないとも思いました」
「前世で私が人間だったから何より人間の考え方や行動原理はわかる。
人間は欲望が実体化したような種族だから
ラパンの森に利益を人間が求めたなら
復讐して戦力を見せつけても戦いは終わらないよ」
「それでもです。
貴方はうさぎを護る為に戦うと決めました。
それをやり遂げて下さい。
貴方の優しい心で成した戦いなら
貴方の戦いなんです。
うさぎにも人間にも双方幸せな結末を見せれるかもしれません。
だって貴方は前世は人間でもあり
現世はうさぎでもある
この世界唯一の存在だからです。
私は貴方の妻です。
貴方がうさぎ達の主としてより良い決断してください。
貴方が決めた事に私はついて行きます。
きっとそれが一番良いはず。貴方は優しいのだから」
「ありがとうアンナ!
こんな優柔不断な私についてきてくれて!
私にどれだけの事ができるかわからないが
マナナの意見もわかる気がする。
今回は戦いを止める為に戦うよ」
時は統一歴138年10月10日遂にラパンの森軍は攻勢にでる。
総大将はマナナ 参謀にはジジ 雑用係モカに一兵卒に桐斗の4匹と大砲を乗せた馬車での出撃であった。
何故桐斗が一兵卒かと言うと桐斗は甘ちゃんで非情な決断は出来ない。
だからマナナがお手本をみせるとの事だった。
マナナ達は2日の行軍を経て
マウリア王都を一望できる丘にたどり着いた。
「これより王都殲滅作戦を開始するわ!
モカ雑用係!魔法入りシェイカーを10本込めた弾が100個以上あるわね!それを大砲の先に随時セットしなさい。
参謀ジジは点火用ブルーラグーン入りシェイカーをそちらにまとめなさい。
桐斗は敵がそばにいないか警戒を」
『イエッサー』
「第一砲撃撃て〜」ざぶ〜ん
「何で効果音がドカーンじゃないの雰囲気台無しじゃない!
発射角が甘いは上と左に少し方向をずらしなさい!
次第二砲撃撃て〜」ざぶ〜ん
「モカもっとちゃっちゃと用意しなさいよ!
どんどんいくわよ〜次はもう少し右を撃ち続けなさい上流階級層が居そうなら場所を積極的にね!」
マウリア王都は50万人以上が暮らすマウリア最大の町である。
突然の魔法砲撃で大混乱に陥っていた。
ココナッツは降り注ぎ、風刃は舞い、波は襲いかかる
「どこから撃たれてるのだ?」
マウリア20世は慌てだす。
「ラパンの森方面からです」
血相を変えて連絡兵が王の間に入り報告した。
「どうやらこれは無差別砲撃魔法のようですな!王よすぐにご避難を」
3時間にわたり砲撃を撃ち続けた結果、
マウリア王都は応仁の乱の後の京都の様な瓦礫の山になり、
宮殿もめちゃくちゃになった。
桐斗は自分の魔法の力に恐怖した。
もう核兵器そのものじゃないか。
この力は必ず更なる争いを呼ぶ気がした。
そんな中砲撃に飽きて寝ていたマナナはようやく起きて最終砲撃を命令した。
この日の為に作っていた、
ラパンの森に手を出すと必ずまた復讐をするとのビラ100枚を砲弾に入れて宮殿目掛けて撃ち込んだのだ。
「さぁ王都は綺麗になったし
私のストレスは発散したし、
砲撃は撃てたし皆帰るわよ」
皆内心ツッコンでいた。
マナナのストレス発散が目的だったのかよと
しかも大将軍なのにほぼ寝てたし
マナナ以外のうさぎ達は複雑な表情で帰路に着いた。




