ダークウルフ出陣
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イメリア大陸の最北に魔王城がある。
二年近く前に50万の大軍で聖王国アランドブルクとイメリア公国とアラルド共和国の3国に奇襲攻撃を仕掛けたが聖都の防壁は厚く崩せなかった。
しかしイメリア公国は比較的脆く、深部まで食い破れた。
魔王フルフルはラパンの森に伏兵を放ち、聖都アランドブルクを北と南西の2方面から攻める手を考えていた。
ラパンの森の大半を領地に持つラウリア王国を破り聖王国アランドブルクまで攻めるには伏兵とはいえ一万は必要だ。
この際ラパンの森を支配してしまうのも面白い。
だがあまりに大軍すぎてもイメリア公国に気づかれてしまう。
「ヘルハウンドを呼べ」
闇之狼族(ダークウルフ族)とは魔王フルフルの力で産み出された闇属性の狼である。
彼らは闇や毒の効果を加えた爪攻撃を主体に群で敵を狩る。そのダークウルフ族長がヘルハウンドである。
「魔王様お呼びでしょうか。」
ヘルハウンドは座る魔王の前で傅いた。
「ヘルハウンドよ!そなたにラパンの森侵攻作戦を命ずる」
「は!兵はいかほど頂けるのでしょうか?」
「ダークウルフ全軍だ!ラパンの森占領後、第二次聖都アランドブルク侵攻作戦を行い南西から攻めてもらう。」
ヘルハウンドはようやく我らに任務が与えられる事になりニヤリとする。
「王命しかとお受け致しました。
では一万のわが軍出撃致します。
イメリア公国はどうなさいますか?」
「イメリア公国は夜間に端からこっそり抜けてラパンの森へ入れ。
今公国とやり合い犠牲は出さない方が良い。」
「かしこまりました。」
〜ラパンの森北端
ダークウルフ族は夜の帳に紛れながらイメリア公国を横断しラパンの森の最北端に着いた。
道中は順調ではあったがダークウルフ族長ヘルハウンドは思案していた。
森の侵攻以前に森に多重の結界が張られていたからだ。
闇は良いが聖結界は触れると昇天しかねない非常に強い結界である。
しかしヘルハウンドは慌てない。魔王様に通信をとった
「こちらヘルハウンド!
魔王様に緊急通信!ラパンの森に闇、土、聖の多重結界が張られて通行不能!
至急対処をお願いされたし」
通信を受けて魔王城では幹部会議が行われていた。
さすがに魔王とはいえ最北端から魔法を撃って結界は破れない。なので現地に結界を破れるものを転送しなければならない。
「魔王であるワシが自らその強力な多重結界を見る必要があるかもしれないな」
その言葉に幹部達はざわつく!そんな犬の散歩程度のような任務で魔王様が出ていては我ら幹部のメンツ丸つぶれだ。
「いえいえ魔王様自ら行かれる程ではないかと思います。
四天王の一人である私マジシャンズアークが結界の一枚や二枚すぐに打ち破って参ります」
「であるか!任せる」
マジシャンズアークはすぐにヘルハウンドの座標軸まで転移した。
「ヘルハウンドよ!私が来たからにはもう大丈夫だ!作戦はすぐに移れるぞ」
「マジシャンズアーク様ありがとうございます。こんな強力な結界初めてです。何卒よろしくお願いします」
マジシャンズアークは四天王にも会えて興奮気味だ。
今日1日で魔王様にも四天王マジシャンズアーク様にも会えたぞ。尻尾がフリフリしている。
「うむ任せろ アンチマテリアルブレイカー あれ?なかなか破壊でいないなぁ
もう一丁セイクリッドアンチマテリアルブレイカー なに!我の強力な魔法でもヒビが入る程度とはなかなか厄介だな」
マジシャンズアークは一晩中魔法を撃ちまくっていた。
マジシャンズアークの魔法でラパンの森に激震がもたらされる。
眩い光線と地震で鳥や小動物は慌てふためいた。
「ラビビ!神殿の護りは任せる。私は外層の結界が壊されようとしている箇所を見て来る。念のため神殿にも小さな結界は張って置く。私が必ずみんなを守るから」
「マティーニ」「ゴッドファーザー」
桐斗は感じとっていた。この結界を壊す魔法の威力は今までの敵の中では魔力に関しては段違いだ。
今神殿まで来られたらうさぎ達を護りきれない。
神殿から遠い場所で遠距離攻撃かゲリラ戦をしなくてはならない。
ラパンの森北端 肩で息をしてヒーハー言いながら魔法を撃つマジシャンズアークは数時間の格闘の末に土結界を破壊する事に成功した。
「フハハハハ!どうだ我が深淵の魔法は」
「流石マジシャンズアーク様!聖の結界も続いてお願いしたします」
どうと言われても困るヘルハウンドは精一杯ヨイショして続きを促す。
「ゲホガハゴホもうMPがないわ!今日は休憩じゃ」
マジシャンズアークは拠点に引き上げてしまう
なら聖の結界から壊してくれよなぁ。
狼族だから土結界にはある程度抵抗あるんだよ。
1人愚痴るヘルハウンドだった
しかしここは草原なのでダークウルフ1万もいると流石に目立つ。
イメリア公国の暗部はそれを見逃さなかった。
至急イメリア公国の対策会議が行われた。
2年前の悪夢を知ってる重臣達にとって魔王軍一万
は非常に警戒すべき大軍だった。
「魔王軍の思惑がなんであれ勇者を呼ぶしかないだろ」
イメリア公国公王であるイメリア16世は呟く。
2年前の魔王軍侵攻で聖都アランドブルクが持ちこたえたのは鉄壁だけでなく勇者の頑張りも大きかったからだ。
イメリア公国 公王イメリア16世は勇者招致をすぐに重臣会議で決めた。




