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下劣飯133  作者: 鈴木 一茶
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エヌ氏の畜生としての体験

 そもゝ食事とは、なんだろう。当たり前だけど餌とは、違う。餌を食らうは、畜生

であり。僕達は、人類である。

 彼は、エヌ氏。一見すると何処にでもいる極普通の人類であるが。そんなエヌ氏は、

少し変った趣味がありました。それは、ヌォ(一般的な愛玩動物)になりきり。

ヌォの餌入れに入れたヌォの餌をヌォの如く食らう事で自らが満たされる気持ちに

なり。そんな背徳的とも言える欲望は、収まるどころか日にゝ強くなるばかりで

ついには、週五でそれを実行する事になったのです。そんなある日の黄昏時の事。

目を凝らしても人の顔が薄っすらとしか見えず。汝は、誰彼と質問する程の闇に

あたりが包まれた頃。彼は、その異形なる者に出会ったのです。それは、一見すると

極普通のヌォに見えましたが。そのヌォは、影色をしていたのです。それは、黒い

毛並みという訳でなく。影その物の色であり。辺りがもう少し暗ければ闇に溶け込み

見えぬどころか。それそのものが闇になりそうなヌォでした。そのヌォもエヌ氏に

気付くと。なんとあろう事か、そのヌォは、喋ったのです。汝の願いを叶えて

やろうと。エヌ氏は、空耳…それとも夢と思いました。何せヌォが喋る訳ありません。

あるいは、近くで誰かがそのような事を呟いたのかもしれません。そんな思考で恐怖

から脱しようとエヌ氏が思想にふけるといつの間にか。そのヌォは、闇に溶け込み

消えていたのです。いやあたりを包む闇そのものになったのかもしれません。

エヌ氏は、恐怖に身をすくませながらも。あれは、空耳だ夢だ。誰彼の影だと思い

ながら床についた翌日。事もあろうかなんとエヌ氏は、ヌォになっていたのです。

最初は、錯乱したエヌ氏ですが。何を迷う事がある、コレこそが自らの望みで

ないかと。そして餌入れに入れられたヌォの餌をヌォの如くエヌ氏は、食らい

背徳感に全身が支配されると共に。記念写真とばかりにヌォの手でありながら起用に

写真機を操作して時限装置を作動させたのです。そのカメラから閃光が放たれた

瞬間。自らは、ヌォ畜生になったんだと遠吠えを思わずあげたのです。そして外に出る

や否や塵捨て場から食い物を漁り。それこそ畜生の如く口に入れて喉に通したのです。

ですが不思議な事に満足感は、得られませんでした。何故とエヌ氏は、考えると。

もう自らが畜生そのものになってしまからだという事に気付きました。そうあの

行為は、人であるが故に己を人だと思いながら畜生的行為をするから満たされるので

あって。本当の意味で餌を食らうようなればもう。そこに人としての何かを感じる

事等ないとエヌ氏は、嘆き途方にくれ長い時間呆然としていると。当たりが黄昏に

包まれ。影色の犬がまた通りかかり。再び汝の願いをかなえてやろうと…

これは…夢。

 そう夢だったのです。夢に違いありません。人がヌォになる事なんてありえないの

です。何故か丸一日と八時間程寝てしまいましたが。それは、それだけ長い夢を見て

いたという証拠なのです。そう夢に違いありません。だが…そう思いエヌ氏は、

写真機を確かめました。もし此処にヌォが写っていたらと。しかしそこには、何も

写っていなかったのです。これは…悪い夢…いや…いい夢だった。

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