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3話 幕間 暗闇の陰
香の炊かれた薄暗い座敷に男と女の陰が揺れる。
男がきれいに整えられた女の茂みに顔を埋めるたびに、女はねっとりと濡れた瞳で男を睨め付け、ゆっくりと吐息を漏らす。
「誰こそが、お職にふさわしい女かい。わっちだろう。」
女は両の腿で男の頭を締め上げながら問いかける。
男は頭を締め上げられてもなお舌を這わせ、女に許しを請う。
「わっちの前に立ちはだかる雌豚どもが。忌々しい。あと少しでお職なんだよ、わっちは。あのすかした顔も見飽きたってものさね。」
女は足を解くと、ゆっくりと男の下腹部にその指を滑らせる。
「ねぇ、あんた。あの女もぽっくり逝っちまわないものかねぇ。」
女は、男の髪を鷲掴みにし、頭を上げさせ蛇のような濡れた瞳で男を見据える。
「あれ、まだ残ってるんだろ。」
男は何も応えず、上体を起こすと女の口を吸い、闇のなかで二つの陰を重ねた。