俺のチート能力とその欠点
「俺の能力は『フラグ破壊』!!
俺の前ではあらゆるフラグが反転する!!
そう、死亡フラグ立てれば生還し、失敗フラグを立てれば成功する!!」
俺はいつものように大声で自分の能力を明かす。
自ら能力を明かすのはかませフラグ。しかし俺に立ったフラグは必ず折れる。
「なんだその能力?」
「フフフ…すぐにわかるよう説明してやるよ…お前の体でな!!」
雑魚のようなセリフを吐いて相手に銃を向ける。
魔法使い相手に銃は通用しない。そんなことは百も承知。
なるべく土煙が出るように。相手の姿が見えなくなるように持っている銃を乱射した。
銃はすぐに弾切れする。相手もそれは承知で反撃してこない。
「やったか!?」
このフラグを外すことはできない。
上がっていた土煙が徐々に消え、相手の姿が見えてくる。
「くっ…くそっ!!この俺が銃ごときで負傷するとは…っ!!この勝負預けるぞ!!」
予想通り相手に致命傷を与えることができていたようだ。
殺せなかったのは残念だが、無傷フラグを折っただけであって『必ず殺す』といったことはできないため仕方ない。
相手は捨て台詞を吐き逃げて行ったが、これに追い打ちを仕掛けることもできない。
銃の弾は尽きているし、そもそも相手のほうが格上。普通に返り討ちだろう。
そう、俺の弱点はフラグを立てなければ無力なこと。
俺自身の戦闘力は皆無。万能の魔法使いや怪力の戦士たち相手とまともにぶつかればあっという間に殺される。
相手が「おいおい、こんな貧相なやつが相手かよ」と言ってくれるなら別だが。
しかし俺はこの世界で『吸血鬼』と呼ばれるまでに有名な戦士となった。
血を吸うわけでも銀に弱いわけでもない。どんな極地に陥ってもただ死なない。それだけで。
こちらとしては事前に死亡フラグを立てているだけ。「俺、彼女に告白しようと思ってるんだ」と知人に言っておけばしばらくは死なない。
おかげで「詐欺師」「臆病者」と呼ばれてもいるが些細なことだ。
「あなたって私のこと好きなの?」
「え?」
付き合ってしばらくになる彼女から心外な言葉を受けた。
ディナーは一緒に食べるし、デートだってする。そんなラブラブな関係なのにだ。
結婚だって考えていた。
「ど、どうしてそう思う?」
「……その返し方どうなの?でも、そうね……私はあなたのことわからなくなっちゃった」
「そんなのこれからわかっていけばいいじゃないか!!」
深いため息をつかれる。返しかた間違っただろうか。
「付き合う前よりあなたとの距離が遠くなった気がする。
ごめんね。さよなら」
――またフラれた。もう慣れっこだ。
きっとどこかで彼女との恋愛フラグが折れたのだろう。
俺の能力は任意に発動できない。俺に立ったフラグは必ず折れる。
フラれたのは能力のせいであって俺がモテないわけではない。




