新しい父の死(第3章)
新しい父は優しい人で、また資産家ということもあり、お金に不自由することはなかった
ただ新しい父は体が丈夫とは言えなかった
新しい生活の中で、母と姉は以前よりヒステリックになることがあった
シンデレラの存在は姉と母の心を揺さぶっていた
もちろん、わたしにとってもシンデレラの存在は「憧れ」と「嫉妬」があい混じり、また期待していた妹像とのあまりの乖離にわたしの心を揺さぶった
彼女の存在がわたしが素直になることを怖がらせた
それでもその微妙なバランスを平穏に保たせてくれてたのは新しい父だった
でも新しい父は、病気になると呆気なく天国へと旅だった
父が亡くなると、母と姉は隠していた感情を抑えきれなくなった
それは、わたしもだった
シンデレラの存在そのものを否定したかった
それほど彼女は魅力的過ぎた
彼女がいる限り、姉に光りがあたることがないような気すらした
それは今までのわたし達を否定することになりかねない
わたしはわたし達の為に姉の陰で生きてきたのだから
それがわたしの生きてきた証だったから
母と姉はシンデレラに辛くあたった
シンデレラを家政婦のように扱って、家に閉じ込めた
とにかくシンデレラが長く人目に触れることを嫌った
食事の買い物にシンデレラを市場に行かせる時も、ツギハギだらけの服しか着せずにみすぼらし格好をさせた
それも、なにかと用事をいいつけて急いで家に帰らせた
わたしも率先してシンデレラに辛くあたった
シンデレラに辛くあたればあたるほど、母と姉は喜んだ
今まで通り、それがわたしの存在意義だった
それでもシンデレラは全てを持っていた
シンデレラはただ魅力的なだけでなく、優しい心も持ってた
ただ、どんなにツラクあたっても、彼女の凛とした雰囲気が変わることはなかった
時おりみせる彼女の強い目線は更に美しさを際立たせることがあった
シンデレラは弱い女性ではなかった…
それが余計にわたしの心を暗くさせた




