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市場(第10章)

妹はプリンセスとなり、民衆は「シンデレラ・ストーリー」と呼んで喝采した


わたし達はシンデレラを閉じ込めてた義母、義姉として中傷の対象になった


母と姉は外に出ようとしなくなった


わが家の家事はわたしがするようになった


わたしがシンデレラの代わりになっただけだった


 

わたしも外に出たくはなかったけど、買い物に市場に行かなくてはいけなかった


ただ、できるだけ顔を隠すように気づかれないようにした


「シンデレラの姉」のレッテルと人の目が怖かった


 

市場でも美しいプリンセスの誕生を、みんな我が事のように喜んでいた


わたしはわたしの存在が気づかれないようにするのに精一杯だった


 

ある日、いつものように人目に触れないように買い物をした


市場の隅にある露店の果物屋でリンゴを二つ買った


わたしがすぐに立ち去ろうとすると果物屋の青年がわたしにこう言った


「そんなに慌てないで!綺麗な人だから、もう一つおまけしとくよ」


そしてリンゴを一つわたしに手渡した


 

わたしは悔しくなった…


 

こんなみすぼらしい格好で、人目に触れないように生きてるわたしが綺麗だと?


わたしだって、こんな生き方を望んだわけじゃない


必至で頑張って我慢して…


 

「わたしのことを何もしらないくせに…」


わたしはつぶやいた


わたしは悲しみで怒りが込み上げてきた


わたしは果物屋の青年の胸にリンゴを投げ返していた


 


リンゴは床に転がった





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